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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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再会

ある日ソニアは庭園で美しく咲き乱れるピンクのバラの花を摘んでいた。その薔薇のピンクは優しい色でソニアのお気に入りだ。毎日その薔薇をテーブルに飾りその色と香りを楽しんでいた。

 その夜ソニアはお気に入りの薔薇と同じピンク色のリボンが無くなっていることに気がついた。昼間に薔薇を摘んでいた時に落としたのかもしれない。ソニアはそのリボンを探しに夜の庭園に出かけた。その夜はお城でパーティーが開催されていた。楽しげな笑い声と優雅な音楽が聴こえてくる。ソニアはお城を見上げジェラルド三世も出席しているのかな?と二階の広間で開催されているパーティ会場を見つめた。さあ、リボンを探して部屋に帰ろう!ソニアはバラを摘んだ場所に進んだ。リボンはすぐに見つかった。バラの蔦に引っかかっていた。棘に気をつけながらリボンを掴み一息ついた。「このリボンは幼いジェラルド三世様が下さった大切なリボンだから二度と無くさないように気をつけなきゃ」ソニアはリボンを手に部屋に戻ろうと来た道を戻り始めた。その時誰かに腕を掴まれた。「何?!」ソニアは驚いて振り向くと見たことのない男の貴族が腕を掴んでいたる。ソニアはその男に言った。「あの、手を離していただけませんか?」その男はソニアを見て言った。「あなたは何処の令嬢でしょうか?今まで見た事がありませんね」そう言いながらも腕を離さない。ソニアはこの時代に入りジェラルド三世以外の男性から触れられたことがない。少し恐怖を感じ言った。「あの、私は令嬢ではありませんがここに住んでいる者です。どうかその手をお離しください」ソニアは腕を引こうとした。「ハハハ貴方のような美しい人の手を離したくありませんな」そう言って男は強引にソニアを引っ張り抱きしめようとした。ソニアは恐怖に身がすくんだ。怖い!ジェラルド三世様!!「それ以上動いたら殺す」突然目の前にジェラルド三世が現れその男の首に剣が突きつけられた。男は突然の事に驚きソニアの手を離した。突然手を離されバランスを失ったソニアは倒れそうになったがジェラルド三世が片手でソニアを抱きとめた。もう片方の手には剣が握られており男の首に当てられたままだ。「ジェラルド様!後はお任せ下さい」近衛兵が現れ男は連れてゆかれた。ソニアはジェラルド三世の腕の中で震えていた。「ジェラルド三世様、ありがとうございます」ジェラルド三世は震えるソニアを抱きしめ、「怖い思いをさせてすまない。ソニア、もう私がいるから大丈夫だ。」 そう言ってソニアを抱き上げ部屋へ戻った。ソニアは部屋に戻っても先程の恐怖が忘れられずジェラルド三世の腕の中でずっと震えていた。ジェラルド三世はパーティーの最中だったが何も言わず震えるソニアを抱きしめていた。ソニアはジェラルド三世がパーティーを途中で抜けてここに来ていることに気がついた。「あ、もう大丈夫。ごめんなさい。ちょっと驚いてしまって。」ソニアはジェラルド三世を見つめた。ジェラルド三世は不安な表情を隠しきれていないソニアの顔を見つめ「ふぅ、」と息を吐き、マントを脱ぎ首のボタンを外し、グローブを外しソニアを抱きしめそのまま横になった。ソニアはジェラルド三世がそんな行動を取ることに驚き言った。「あ、あの?ジェラルド三世様?戻らないのですか?」ジェラルド三世は胸の中にいるソニア見つめ言った。「ソニア、戻らない。」「え?ダメですよ、ジェラルド三世様がここにいてはダメです」ソニアは起き上がろうとした。しかしジェラルド三世は抱きしめる腕を強めた。「ソニア、私は戻らない。」それでもソニアは起き上がろうと言った「どうして?まだパーティーは終わっていません」ジェラルド三世は腕を緩め起き上がり同じように起き上がったソニアと向き合い言った。「ソニアを一人にするつもりは無い、私は何が一番大切なのか痛いほど知っている。だからここにいる」ソニアはそう言い切ったジェラルド三世が大人に見えた。いや、ジェラルド三世は幼い頃から大人だった。ソニアはジェラルド三世を意識し愛し始めている自分を隠せなくなっていた。

 


「ソニア、一緒に出かけたいところがある」ジェラルド三世は突然ソニアに言った。

ソニアは三百年前ジェラルドが言った言葉を思い出し同じように返事をした。「ウフフ、ジェラルド三世とデートだわ!」ソニアは笑顔を浮かべ返事をした。ジェラルド三世は嬉しそうに微笑みソニアの頬にキスをした。翌日ジェラルド三世はソニアを連れて馬車に乗り郊外にあるススキの丘に行った。


 ソニアはそのススキの丘を見た瞬間泣き崩れた。三百年前ジェラルドと一緒に行ったあの思い出の場所。三百年前と何一つ変わらぬその場所はソニアとの思い出を大切にし続けたジェラルドがこの場所を保護し代々皇室が守ってきた。ジェラルド三世は泣き続けるソニアの手を取りススキの中を歩いて行った。


 「ソニア、あの時と変わらずここのススキは美しいな」


 ジェラルド三世はソニアに微笑んだ。

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