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【旧】転生先が現代日本人ってふざけんなっ! って思ったけどそれが普通だし案外充実してる  作者: せん
幼稚園年少

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#082 お返し

大変遅くなり、申し訳ございません。

話の組み立てが思ったようにできず…若干スランプ気味に…

 バレンタインで貰ったお菓子たちを、カロリー過多にならないように毎日コツコツと、飽きないように食べる順番を調整しながら(スズカが選び)、スズカと協力して食べ切る頃にはバレンタインデーから一ヵ月が経っていた。


 そしてやってくるのはホワイトデー。


 皆さんはちゃんとお返しをしているだろうか。

 どんなお返しが良いかと頭を抱えている男性も多い……かどうかは分からないか。返したくても……


 なんかごめんね……?

 配慮が足りなかったかもしれない。来年はきっと……


 まぁそんな方々は置いておいて。


 前世でのホワイトデーにはロクな思い出が無い。


 社内での大量配布の(ばらまき)チョコに対するお返しの労力とかさ。返す側はまとまりがないから個々で用意するんだよね。そんなことになるくらいならいらないよ、って思うんだけど、「お疲れ様です~」って一席一席回られて他の人が受け取ってると拒否しづらいから……。誰かがお返しの音頭をとるにも、義理の底辺のチョコでテンション上がっちゃったちょっと可哀そうな奴みたいな感じに見えて……


 そして返したら返したで、あっちが良かっただのセンスがないだの売っても二束三文だの、女性社員から陰でこそこそと言われている部ちょ……おっとこれは色んな意味でマズいお口にチャック。


 もはや好意に対する感謝ではなく、行為に対する義務になりかけている方々もいるんではないだろうか。


 それを僕は元の形に戻したい。

 と、世界平和を願う次の次のちょっと離れて次の次くらいには考えているかもしれない。


 今世では愛が溢れているので、もはや頭の片隅からも消え去りそうではあるが。


 しかし今年はすごかった。

 貰った数が数だったので、その場でお返しをする陽ノ森幼稚園の伝統が無ければ今頃困っていたかもしれない。主に母上やミオさんが。あっちへお返しこっちへお返しに走り回ることになっていただろう。


 それでも先月は大変だった。

 準備したら他から連絡が来てまた追加で準備の繰り返し。誰が何をどのくらいの金額かをメモしながら、途中からはこちらから条件を指定して。


 それに根気よく対応してくれた母上とミオさんに感謝の意味も込めて、先週末ミツヒサさんとスズカと一緒にショッピングモールへと買い物に行き、ホワイトデーのお返しにと生キャラメルを贈った。無難だね。そのお金の出所は母上ではあるが……


 もちろん手形チョコクッキーをくれたスズカにもお返しを。

 ミオさんから事前に指定(オススメ)されていた缶入りキャンディを。


 蓋と側面にボタニカル柄が描かれたピンク色の缶をいたく気に入ってくれたようで、今も大事そうに手元に置いている。

 元々入っていたキャンディはさっさと取り除かれて、今は髪留め入れとなっているようだ。


「…………♪」


 お気に入りのおもちゃ?が増えてご機嫌なスズカをぼーっと見ていると、その視線を感じ取ったスズカが振り向いて目が合う。

 

「……まーくんありがと……むふぅ」

「どういたしまして」


 お礼を言われるのはこれで何回目だろうか。

 こんなにも気に入ってもらえるとは思っていなかった。ミオさんありがとうございます。


 バレンタインでチョコを貰えたことよりも、ホワイトデーのお返しでスズカがご機嫌になっている方が嬉しいね。


 そんな平和なホワイトデー。

 缶を開けたり閉めたり眺めたり、中の髪留めを綺麗に並べたりして遊んでいるスズカを眺めながらくつろいでいると、唐突にチャイムが鳴った。


 それを聞き、眠っている双子の傍でスマホをいじっていたミオさんが玄関へと向かっていった。


 てっきり宅急便か何かかと思っていたが、その予想は次の瞬間に違ったと判明する。


「――まこぉっぽ!」


 玄関の方から元気な子どもの声が聞こえてきた。

 大声で()()を呼ぼうとして、近所迷惑になるからと母親に口を塞がれた光景がありありと目に浮かぶ。


 そんな状況になる奴はひと……クラスメイトに何人かいるが、声質からしてもアイツだろう。

 で、呼ばれたのは僕だね。


 それが正解だというように、


「まーくん、ちょっとおいで~」


 来客対応していたはずのミオさんリビングまで戻ってきて、ちょいちょいと手招きをする。


 しかしどうして戸塚家に?

 遊ぶ約束はした覚えは無いのだが……


 家に遊びに来ないから、しびれを切らしてやって来たのだろうか。


 ――などと考えながら、僕はスズカを腰に引っ提げ玄関へと向かう。


「まこと! またあったな!」

「うん、こんにちは。どうしたの?」

「きた!」

「……そうじゃない」


 玄関先にいたのは、やはり今井さんちの末っ子だった。


「あっ、かーちゃん、あれ、はやくっ!」

「ちょっと待ちなさいって」

「はーやーくー!」

「はいはい……」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、サナエさんが鞄から何かを取り出すのを待ち構えるジュン。


 幼稚園終わりによくもこう元気が余っているなと思わなくもない。

 こっちはお前たちに振り回されて、燃え尽きているというのに……


 あ、現在背後霊となっているスズカに振り回されるのは別腹。命燃え尽きるまではたぶん大丈夫だ。


「まこと! やるよ!」


 サナエさんから渡されたラッピング袋をジュンが差し出してくる。


「え?」

「ばれんたいんのおかえし!」

「……む?」

「……あ、うん、ありがと」


 そういえばバレンタイン(学芸会の日)にお菓子あげたっけ……

 律儀な奴……というよりはサナエさんが覚えててくれただけだとは思うけど。




 そうして僕は初めて、バレンタインデーのお返しを貰った。


 ちなみに中身はスペインで誕生した有名な棒付きキャンディだった。


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえばホワイトデーのお返しって物によって意味が違うとかあったけど、キャンディは恋愛感情寄りの好きって意味らしいので……。マコトはやはりモテモテですねぇ。
[一言] スランプですか、あまり重く考えないで自分に楽しく書いてください。良い作品なので毎回ホノボノとして拝読しています。 戸塚家の3姫を筆頭に、」マコト君ファンクラブの裾野がどんどん広がります。
[一言] 一人だけ、一方的に貰っていたもんなあ… ちゃんとお返しして偉いけれど、男女逆だな/w すーちゃんは。それが何であってもまー君からもらったものなら宝物だろうな。
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