第4楽章 地下室迷走中 前編
「ふぅ…………。眠い。」
あれから数日。怪人が現れることなく、平穏な日々を過ごしている。
「ケイスケさん。おはようございます。」
「シズク。おはよう!」
音楽室に行くと、いつもの面々がそろっていた。
カイとフウヤはオセロで遊んでいる。
「なかなかやりますね。」
「そっちこそ。実力は本物だな。」
エミリとマコトは自主練をしていた。
「うん…………。そうね。良い感じ。」
「ありがとう。エミリさん。」
ライアンはというと、音楽室の窓際で遠い眼差しで景色をみつめていた。
「ライアン。おはよう。」
「……………………おはよう。」
何かに気づいたのか、フウヤがライアンに声をかける。
「どうかしました?」
「ちょっとあいつらのことが気になってな。」
「あいつらって?」
「いや…………まあ、俺たちの前にいた学校の部活の仲間でな…………。」
「大切な仲間がいたのね。」
気づいたエミリが声をかける。
「ああ。そうだな。」
ライアンがしみじみしていると…………ピアノが鳴った。
「あいつら…………!?」
「現れましたのね…………!」
浅見先生もやって来る。
「みんな! この街のどこかに怪人が現れた! 手分けして探してくれ!」
「はい!」
僕たちは二手に分かれて、学園の辺りを探す。
「おい。いたか?」
「いや…………。」
「おかしいな…………。」
「エミリさん。いましたか?」
「見つからない…………。このままだと…………。」
「ケイスケ。どうしますか?」
「…………浅見先生に報告しよう。」
僕とエミリとシズク。そしてフウヤは一旦、学園に戻ることにした。
「ふふふ…………順調か。パイブ。」
「はい!学園に潜んで、そこらじゅうのパイプに仕掛けしてあります。」
「ほぉ。なかなかだな。」
「そう…………ドロイはこんなことをしているのね。」
「ミーナ。余計なことはするなよ。」
「ええ。今、とても面白いことを考えているからね。」
「ふん…………興味はないがな。」
「ふふふ…………。」
「…………という訳なんです。」
「そうか…………すると残っているのは、地下室だな。」
僕たちは浅見先生に報告をすると、意外な返答があった。…………地下室?
「この学校に地下室が!?」
エミリは驚く。それもそうだ、僕も驚いた。
しかし…………この学校に地下室があるなんて、初耳だ。
「それで…………この学園のどこに地下室があるんですか?」
「いや…………それが…………私にもわからないんだ。」
「浅見先生も…………ですか?」
「ああ。…………しかし、何か臭うな…………。」
「……………………? そうですか?」
「いえ…………ケイスケさん。この学園に何か強烈な臭いが漂っていますよ!」
「えっ…………? 言われてみれば…………!」
僕たちは、学園の外に出ると、臭いで学園のみんなが倒れている様子が見える。
「これは…………!」
「浅見先生!!」
「…………深本先生。」
この人は深本先生。浅見先生を目の敵にしている。
「これは一体、どういう騒ぎですか?」
「わ、私に言われましても…………。」
「この件は、我々の方でも調べさせていただきます。浅見先生は生徒の避難を指示するように。」
「……………………はい。」
深本先生はああ見えて、体育会系の先生で、教科は体育だ。そんな先生で僕たち生徒への対応も冷たい。
そんな深本先生はこの場を離れる。
「先生。大丈夫ですか?」
「ああ…………。気にしていない。ひとまず私は避難指示をしてくる。みんなは地下室を探してみてくれ。」
浅見先生は生徒を避難させる。
「…………ケイスケ。提案があります。」
「提案?」
「この臭いをたどれば、地下室の場所がわかるのではないですか?」
「なるほど…………。探してみようか。」
僕たちは、この臭いをたどって、地下室を探すことに。
場所は変わり…………どこかの場所。
「はぁ…………はぁ…………。」
「ふぅ…………。」
「くっ…………。うう…………。」
私たちは、何者かに拘束されている。
得体のしれない怪物に…………。




