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【書籍発売中】そんなにも彼女が大事なら、私からあなたを捨てて差し上げますね WEB版  作者: 風見ゆうみ


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16  態度が変わった婚約者

 夜会当日の朝、ミフォンを迎えに行く前のディルがファラスを訪ねてやって来ていた。本当の目的はリリスと今晩についての話をするためだったのだが、お互いにまだ婚約者がいる身だ。名指しで訪ねるわけにはいかなかった。


「リリス嬢とお前が兄妹で良かったよ」

「僕もお前があの色ボケ令嬢の婚約者で良かったと思っている。末永くお幸せに」

「結婚させようとすんな!」

「冗談だよ、ははは」

「冗談に聞こえねぇんだが」


 仲の良い二人を微笑ましく眺めていたリリスだったが、時間も限られているので、話に割って入る。


「あの、ディル様、今日のことについて、話をさせていただいても良いでしょうか」

「もちろん。そのために来たんだ。ファラスは無視しよう」


 ディルは頷くと、ファラスが口を出す前に話し始める。


「調べた結果、レーヌ男爵令嬢とジョード卿が深い関係になったのはつい最近。俺が調べた時のことだな。それまでは君の前でのみ仲良くしていた。だが、君の反応が薄くなっていくうちに、レーヌ男爵令嬢は我慢しきれなくなったみたいだな」

「どうしてリリスに嫌がらせをするんだ? リリスがこの世のものとは思えないくらい可愛いからか?」

「その理由は絶対に違います!」


 眉根を寄せて尋ねるファラスの腕をリリスがつねるのを見ながら、ディルは答える。


「それもあるだろうが、瞳の色が珍しいからリリス嬢は目立つんだ」

「気を遣っていただいて申し訳ございません。そのことは私もわかっていました。ですが、どうして今、その話をされるのですか?」

「レーヌ男爵令嬢は俺と婚約の解消をする気がまったくない」

「でしょうね」

「だろうな」


 ファラスとは違い、他人事のように答えてしまったことを申し訳なく思ったリリスだが、それ以外に言葉が思い浮かばなかった。

 少し考えて、リリスはフォローに入る。


「ディル様とシン様でしたら、ディル様が良いに決まっています。ミフォンにとってシン様は自分の優越感を満たすための道具のようなものです。どれだけ調べたことを浮気の証拠だと突き付けても、彼女は嘘だと言い張るはずです」

「で、そのために彼女は今のところ、ジョード卿を遠ざけている」

「尻尾を掴まれるのを恐れる頭はあるんですね」


 リリスは重い表情で頷いたあと、ディルに尋ねる。


「今日の警備は騎士団の方が担当されるのでしょうか」

「ああ。うちのチームのメンバーも非番なのに志願して警備に出るそうだ」

「ど、どうしてですか?」

「ジョード卿が打ちのめされるところを見たいんだと。他のチームも興味津々みたいだな」

「うう。プレッシャーが」


 リリスは弱音を吐いたが、すぐに気持ちを切り替える。


「今から弱気になっていてはいけませんね! あ、そうだわ。期待にお応えするためにも、お願いしたいことがあるのです」


 リリスの目を見つめて、ディルは首を傾ける。


「俺は何をすればいい?」

「不本意なことかもしれませんが、騎士様たちにミフォンよりも私を褒めるように伝えてほしいのです」


(ミフォンが警戒していられなくなるくらいに、私が目立てばいい。そうすれば、ミフォンの場合は警戒心よりも私よりも目立ちたいという気持ちが勝つはずだわ)


「わかった。俺はさすがに婚約破棄に不利になるようなことは言えないが、騎士たちにわざとミフォン嬢の前でリリス嬢を褒めるように伝える」


 リリスが何をしようとしているのかわかったディルは、口元に笑みを浮かべて頷いた。そして、横においてあった革袋からシルバートレイを取り出す。


「これ、お祖母様がもしもの時のために持っておいてくれって。ジョード卿はこれを見ただけで大人しくなるだろうってさ」

「ありがとうございます! 心強いです。それから、なるべく早くにお返ししますとお伝えください」


 リリスはありがたくシルバートレイを受け取り、胸に抱きしめた。


********


 それから数時間後、リリスの元にシンが訪ねてきた。いつもおろしている前髪をオールバックにし、白のタキシードに身を包んでいる。

 昔のリリスは彼の外見に騙されていたわけだが、今となってはただの浮気男だ。冷ややかな反応のリリスに対し、シンの反応もいつもと違った。


「今日のリリスはいつもと違うな。なんか……、うん。可愛いよ」


 今日のリリスは、瞳と同じ色のプリンセスラインのドレスに身を包み、シニヨンにした髪には小花の形をした宝石が輝いている。これはステラからのプレゼントで、夜会にはぜひこれで来てほしいと言われていた。


「ありがとうございます」

「今日はしっかり君をエスコートするよ」


 シンがリリスに向かって手を差し出した。

 今までこんなことをされたことがなかっただけに、リリスが手を置くのを躊躇った時、紺色のタキシードに身を包んだファラスが現れた。


「僕をエスコートしてくれるって? ありがとう」

「え」


 間抜けな声を上げたシンに、リリスは吹き出しそうになったが、何とか堪えると、シンの首根っこを掴んで歩き出したファラスの後を追った。


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