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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来

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白と銀の常


 と、いうことで。


 やって来たのは我らが東陣営序列持ち憩いの場こと円卓────ではなく、


 【異層の地底城 -ルヴァレスト-】内に在る……在るというか、管理権限さえ持っているならば必要に応じて作り出すことが可能な臨時談話室インスタンスルーム


 然して、城へ到着するや否や。


 飛んできたルーム招待の通知に応じて転移を梯子した俺を、ふんぞり返った尊大不遜も甚だしい様子 on the ソファで出迎えたのは……。


「おいっす」


「よう」


 銀髪片目隠れ、性別不詳の麗人こと【銀幕】ゆらゆら。


「いやはや、此度は多大なる心配および心労を掛けたものと存じますが」


「誰の話してんだテメェ。寝惚けてんのか」


 緩いプレイヤーネームに反して剣呑な性根を隠そうともしない毒舌の徒。適当な戯言を挨拶代わりに放ってみれば、これこの通り絶好調なようで何よりだ。


「まあ、報告メッセの通り特に心配いらんだろうとのことで。一応の共有な」


「そうかよ。そりゃ結構」


 言いつつ、ゆらの対面へ俺もドカリと着席。出会いから何からを経て『遠慮』というものを辞書から排斥した俺たちの関係は、これが平常運転。


 平常運転にして、最適解。


「────ん、で?」


 然らば戯れも本題も分け隔てなく、挙げるに揃って遠慮ナシ。


 二人揃って、例えば天使ソラの前でならば絶対に見せないような、優しさも思いやりも不必要と脇へ放った取り繕いゼロパーセントの顔を晒し合いながら。


「まさか、俺に会いたくて顔を見せに来たってわけじゃねぇだろ? 先輩」


 それでこそ示せる親愛を以って用件を問うた俺を、静かに片目で一瞥した後。


「……────報酬は・・・払う・・


 銀色の天邪鬼は、謎に先手で俺へのメリットを置いてから。



「依頼だ。お前の〝脚〟を使わせろ」



 相変わらず、ふんぞり返ったまま。


 笑えるくらい様になっている尊大かつ不遜なポーズを見せ付けるままに、俺の態度を気持ちよく鏡写しにする形で端的直球に用件を告げた。



 ◇◆◇◆◇



「────『ご自由に溺死ください・・・・・・・・・・』が複数存在する???」


五箇所・・・だ。私が……ぁー、私とルクスルーの奴が、知る限りはな」


 斯くして、ゆらが持ってきた『依頼』とやらの内訳は甚だ予想外のモノだった。


 求めるところは簡単、仮想世界最速の名を頂戴している俺の移動能力を頼りたいというもの。けれども理由・・の方が全くもって簡単でも単純でもない。


 まずもって、現在も攻略不能ダンジョンとして知られる通称ってか渾名ってかギャグ名『ご自由に溺死ください』────もとい、


 完全水没型ダンジョン【青源の深域】が、世界マップに幾つも在るという前提から。


「まーた限界旅人どもは特大のマル秘ネタを……」


「他人の得なんて知ったこっちゃねぇし、どの道どれも同じく攻略不能だったことに変わりはねぇ。共有する義理どころか意味もねぇなら誰も困りゃしねぇだろ」


「それはそうかもしれ……────ん?」


 要は、それら五箇所あるという【青源の深域】を回り巡って片っ端から確認していきたい。ただし自由奔放ソロ旅人トップ二名が数年にも亘って拡張し続けた超々広大な行動領域の中で、それぞれが途方もなく離れているというのが大問題。


 そのために俺タクシーを使いたいって話なわけだが、ちょっと待とうか。


「気のせいかもしれんけど、攻略不能だった・・・って言った?」


「言ったな」


「気のせいかもしれんけど、そういう風に聞こえる・・・・・・・・・・んですが?」


「鬱陶しい話し方すんな。そうだ・・・っつってんだよ」


 然して、引っ掛かった部分を一応つついてみたらコレである。特大マル秘ネタに続く大スクープ、流石に思考が止まった俺を【銀幕】は「ふん」と鼻で笑った後。


「────【青源の深域】は名に冠している〝色〟そのまま、今いきなり現れて()()()()()を決め込んでやがる『青点』ゆかりのダンジョンだ」


「怒涛の情報連打やめてくれる?」


「そんで顕現に際して何か変化があるかと覗きに行ってみりゃ、まさしくだぜ。判断材料の詳細は省くが、今あのダンジョンは攻略可能状態に移行してやがる」


「怒涛のミステリアス匂わせ連打も勘弁してくれるか?」


「なら、とりあえず他の四つが連動してんのかも確認しといて損はねぇだろ。お誂え向き、数千キロ数万キロ程度の散歩なら秒でこなせるアホがいるんだからな」


「流石に『秒』は厳しいっすけどね???」


 つらつらつらと、この始末。一から十まで「なに言ってんだ」とツッコまざるを得ないことばかり宣い続けるもんだから、流石に手を挙げ言葉を止めさせる。


 俺を超天才アーシェの眷属だとでも思ってんのかコイツ。そんな唐突にビックリ情報爆弾を連打されても瞬時に理解了解さぁ行こうなんて無理に決まってんだろと。


「チッ、メンドくせぇな。なにが要んだよ黙って従っとけばいいものを後輩がよ」


「清々しいまでの極悪パワハラ先輩ムーブを『バカ似合ってる』の一言で呑み込みそうになった自分を嘆くべきか反旗の握り拳グーを作るべきか……いや、あの」


 まあ、とはいえ別に。


「いいんだけどな? 別に、いいんだけども」


 現状、驚き慄いてはいるが断る理由に関しちゃ一切ない。だから追々あれこれ情報を渡してくれりゃ文句も何も言うつもりはないのだが……。


 戸惑いの大部分が、予想外というかなんというかで。


「ゆら、意外と攻略に興味なくもない感じか?」


「あ?」


 これまで集会の場には、ほぼ欠かさずに義理堅く参じていたものの。


 それはそれとして会議の輪へ入ってくることなどは稀も稀、てっきりゲームとしてのグランドクエスト云々には興味がないタイプなのだと思っていた。


 ゆえに、わざわざ俺を呼び出してまで『調査』をするべきだのと言い出したことに驚いた。なんだコイツ、これで割とゲームに乗り気なのかと……────



「ねぇよ。んなもん、やりたい奴が勝手にやってろ」



「わっかんねぇわぁコイツ」



 思ったのだが、どうやら違うらしい。なんなんコイツ。


 人物構成が難解ったらありゃしねぇ────然らば、振り回されっ放しゆえ間違いなく無罪放免となるであろう剣呑返し。


 ジロっと強めに睨んでやると、今度は舌打ちではなく溜息が返ってきた。


「……私が追ってるもん・・・・・・については、()()()()()()()()()機会がありゃ話してやるよ。前に言っただろうが、知らねぇことは語れねぇって」


「先に語っといて、後から違うってなったら恥ずかしくなっちゃうのって話?」


「ぶっ殺すぞ」


「マジで世界有数の『それが人に物を頼む態度か』案件だろコレ……」


 流石の気遣い全OFFモード意図的ノンデリ状態の俺でもドン引きの傲岸っぷりだ。拗らせ過ぎてて益々のこと好きになってきたぞ、どうしてくれようか。


 いやまあ、どうしてくれようも何も────


「いつだ?」


「あ?」


「『依頼』よ。いつ所望よ」


 重ねて、遊びの誘い・・・・・を断る気など最初から更々なかったわけだが。


 と、ようやくだが当然の如く言葉で伝えれば。ゆらは僅かながらも毒気を抜かれた様子で、開きかけた口を一度そっと閉じて数秒の沈黙。


 そうして再び、銀の瞳で俺をジッと眺めた後。


「……予定は、これからだ。助かる」


 ミリ単位で表情を崩しながら、形だけではないと分かる声音で礼を言った。



 ────なお、


「助けるともさ。親友の頼みとあらば」


「誰が親友だ、寝言は寝て言え」


 らしくない笑みは、数えて五秒で剣呑に消えたが。







死ぬほど勘が良くて尚且つ曲芸師の変態機動ばりに発想が柔軟な人であれば、現時点でもチョロチョロの特異性云々について辛うじて考察可能かもね。


やれるもんならやってみろよ。




あと予告通り暫くコイツらのイチャイチャ続くんで、よろしく。

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― 新着の感想 ―
とりあえず仲良さげな2人です。中に入る入らないはどうするか気になるところですね。雑な絡みが好き。二人?旅も楽しみですね。 さて、ダンジョン名、「青源の深域」なんですね。青の源とか怪しいにも程があったの…
ゆらゆら氏が性別不詳の麗人らしいからさ。映えるよね。ハルくんでもハルちゃんでも。 ……関係ないけど観賞用としてゆら氏とソラさんのショット欲しいや
ゆらハル二人旅助かる 次の機会があれば、おソラ様込みの猫被りver.とか、ルクスや虎を交えた3人漫才とかも見てみたいですね!
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