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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来

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1093/1120

再開へ


  そうして、どれくらい時間が経っただろうか。


「────……最悪です」


「おぉ……珍しいワードチョイス」


 アルカディアの感情表現は、現実比極端に表へ出てしまうことが常。


 けれどもソレは『誇張』というばかりではなく、大袈裟は大袈裟なれど『どこまで大袈裟にするか』は正しくプレイヤーの感情値によって上下するらしい。


 つまるところ、大袈裟ではあるが決して嘘ではないということだ。


 で、あるからこそ……腕の中。数分前から少しずつ泣き止み、心を落ち着けて、喉と声音を整えて。ようやく一言、彼女にしては珍しい言葉をぽつり。


「最悪です……!」


 重ねて呟き、泣から恥へ。


 涙に代わって朱で頬を染め上げているソラは、頭から湯気まではいかないまでも。俺の胸元へ顔を押し付け隠すまま、見たことのない様子で怒っていた・・・・・


 いや怒っているというか、拗ねているというか。


「……まあ、気にすんなって。俺……は、別に悪くないってか今回のことは完全にアルカディアとかいう謎存在の好き放題が悪いわけで、そこは全員わかっ」


 ぼっすん・・・・。お黙りとでも言うような金色ヘッドバッド。


 はい、黙ります。


「…………っ────────最悪です……!!!」


 然して、再三ぽつり。


 本当に珍しい、ソラらしからぬ単語の連呼。なんか聞いている俺の方が落ち着かなくなるというか、やや乱暴な言葉が殊更に際立つというか……。


「……、あの」


「ぁハイ」


 と、言外の命に従い黙ったままソワソワしていれば。


 整えてなおも涙に濡れている……といった風に聞こえるのは、気のせいというか俺が『記憶』に引き摺られているだけだろう。


 あまり上手に隠せていない横顔から既に仮想の涙が消えているのは見えているし、仮想の身体アバターの喉は例え号泣しようと枯れることはない。


 ので、やはり────


「わ、わかって……はい。わかってます、からね」


「う、うん。……うん?」


「わかってます。今の状況、ちゃんと納得、してますから」


「おう……?」


「私も、戻るって言いました、し。……ハルも一緒で、嬉しいですし」


「あー……はい」


「ですから、……………………その、あの」


 普段とは違って聞こえる声音は、受け取る俺が先程の涙を引き摺っているだけ。そしてソラさんも実際のとこ、普段と異なる様子であることに違いはないから。


 結論。


「……────そっかそっか、わかったわかった」


「ぇ、まだ何────っもふ……」


 なにを言いたいのやらサッパリまとまっていないまま一生懸命に言い訳を始めたとこまで含めて、もう本当にウルトラ可愛くてスペシャル尊い。


 俺もまだ動揺している部分もあるが、そんなんどうでもよくなるくらい愛おしい。語彙力を喪失しつつ抱き締める以外に一体なにをすべきというのか。


 ────幸い、


「……、………………」


 言葉も身体もギュウと潰されたソラさんは、俺の抱擁続行を拒まなかった。


「……心がビックリしたんだよ。ってか、ビックリしたのを気付かない内に忘れちゃってたんだよ、きっと。そりゃ、こうもなるってもんだろ」


「…………」


「むしろ、こうなってくれて良かった。本当に、気付かないまま貯め込まずに良かったよ。俺としましては『よくぞ泣いてくれた』まで────ごめんて」


 手の甲を抓られ、苦笑いを零しつつ。


「不安があれば、さ。……いや、あるに決まってるだろうから」


「……はい」


「別に言わなくていいし、また泣けとかも言わないから」


「……はい」


 抱擁の任を解いた片腕を、そっと相棒の頭に乗せた。


「頑張って、気付いてくれな・・・・・・・。俺も気付けるように頑張るから。そんで……まあ、俺に限らなくていいから。誰かの傍に────いや、うん」


 本当に、時たま忘れてしまいそうになる。


 三つも年下。まだ十五歳でしかない女の子に寄り添い、慰めるように。



「俺に限る。俺の傍に来てくれよ。いつでも、一緒にいるからさ」



 頭を撫でながら、大変に格好付けたこと……けれども、偽らざる本心を宣えば。


 ソラは言葉なく、もう一度。俺に可愛らしい頭突きを見舞った。



 ◇◆◇◆◇



 ──────……


 ────……


 ──……


 ◇【緑繋】の盟約が結ばれました◇


 ◇ワールドのフェーズが移行します◇



 ◇『レベル』システムがアップデートされました◇


 ◇『ステータス』システムがアップデートされました◇



 ◇『四柱戦争』がアップデートされました◇




 ◇スキルが成長しました◇

 ・《英傑ノ縁環アサインズ・フェイト》⇒《英傑ノ縁冠アーサーズ・フェイト


 ◇称号を獲得しました◇

 ・『緑縁』


──────────────────

◇Status◇

Title:星架クラウン

Name:Haru 

Lv:110⇒121【11】

STR(筋力):300

AGI(敏捷):300

DEX(器用):0

VIT(頑強):0(+100)

MID(精神):350(+450)

LUC(幸運):300

──────────────────



「ふぅむ……?」


 ────はてさて、である。


 諸々が落ち着いたところで、ようやくもようやく。俺は『緑繋』第二幕の攻略当日より手から放っていた〝結果〟を手繰り、向き合っていた。


 ズラリ、眼前に並べるのはリザルト関係の過去ログ等々。



 まず最も身近な変化として、スキル成長やら新規称号の獲得やら。


 こちらは『色持ちカラード』攻略という大事を成したと考えれば乏しい収穫と見えなくもないが、一方で「だろうな」と頷けてしまう部分もあるので特に感想ナシ。


 そりゃ弱体化された状態で数十時間の冒険は〝頑張った〟さ。しかし極論を言ってしまうと、ソレは本来の全力を行使して限界を超える云々の〝経験〟ではない。


 上手く言い表せないが、なんとなく感覚でわかる。おそらくだが今回の攻略において、俺たちが取得した『経験値』は大したことのない枠に留まっているだろう。


 まあヨシ。元々そういうのを期待して臨んだわけでもないのでね、と。


 なので、そんな些事はハイハイと軽く流し置いとくとして────ついでに、四柱アップデートとかいう数日を経てなお詳細不明のアレも置いとくとして。


「…………ふぅむ」


──────────────────

◇Status◇

Title:星架クラウン

Name:Haru 

Lv:121【11】

STR(筋力):300

AGI(敏捷):300

DEX(器用):0

VIT(頑強):0(+100)

MID(精神):350(+450)

LUC(幸運):300

──────────────────



 ────Lv.121。


 目下、飲み下すべき新要素はココに集約されていると言っていいだろう。


 ……と、いうことで。もうなんというか入院やら何やらアレコレ本当いろんなことがあったが、重ねて、ようやく。本格的に戻る・・としようか────



 理解は及ばねども、不明を夢で補って余りある娯楽の堪能ゲームプレイへと。






 なお、外出は諸々を鑑みて暫らく先延ばし。


 やるべきことは山ほどあるが全部まるっと後だ後。今更一、二時間程度スタートが遅れたところで誤差だろう。通知解放も怖過ぎるので延長である。


 ゆえに……。


「ソラさん、レベルいくつになってた?」


「ん、ぁ、えと……108、でした」


 とりあえずのとこ相棒を膝上に抱えたまま。


 まずは自室で、のんびりステータスウィンドウとの睨めっこから始めよう。






壁になりたい。




忘れてる人もいるだろうから補足。

主人公の元レベル110は【九重ノ影纏手ナインテイル】の+10あっての110だよ。

装備補正抜きだと現在レベルは『主人公:111』の『ソラさん:108』だよ。

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― 新着の感想 ―
>とりあえずのとこ相棒を膝上に抱えたまま。 なおこの部屋の家具事情。 地べた直座りの上で膝に座らせる、、、それもまたヨシ!
2026/01/18 08:42 一般底辺読者
…完全に忘れてたわ、あったなナインテイルさんにそんなイカれ効果!!完全に影としか見てなかった。
            /j^i            ./  ;!           /  /__,,..          /  `(_t_,__〕          /    '(_t_,__…
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