堕天使、世界を往く~フュンフ~
あんれぇ?終わらない……マジ話進まない(´Д`)
結局、転生者の娘は居座る事になった。
一宿一飯の恩を返す、みたいなことを言っていたが、返す前に恩は溜まる一方になる気もしている。
娘は名前を名乗ることは無かった。わたしに気を使っているようだが、不要な気遣いとはいえ悪い気はしない。
で、今は何をしているのかだが、娘は街へ行かせた。正直煩わしくなったからだ、そうわたしを狙う奴隷商が。ここのところ頻繁に森にはいり、木々を伐採し、道を開き、遂にはわたしの楽園である、崖の近くまでやってきてしまったのだ。
なので、同じく狙われている娘を街へ行かせ、森まで奴等を引っ張り、壊滅させる事にしたのだ。そう、自身の楽園と自由を脅かすモノには容赦など不要だと。
なぜだろう。神界にいたころはこのような事は考えたことが、なかったのに。今では自由を脅かすモノは何人たりとも赦せない。その様な思考になっている。ただ、いきなりではなく、徐々に変わっている様な感じもするのが腑に落ちない。
ふと、情報管理課の神と環境管理課の神が脳裏に浮かぶ。バランスのために、いじられているのかな? まぁ、自由を脅かさないなら些細な事。むしろ、これから行うことは正当なバランスと言うことだろう。よし、やってきた奴隷商は一人残らず消そう♪
森の一番高い木上で、初夏のすこし生暖かい湿り気を帯びた風を受けながら堕天使は、微笑む。
森の中に、奴等が入ってきたからだ。広範囲に薄く広げた魔力が、破られながら、ここに向かって線が走るように引かれていく。
娘がうまく釣ったのだろう。魔力を破れるのは魔力をある程度持つ者だけ、つまり、娘が破りながらこちらへ走っているのだ。
きっと、魔力で筋力増強をしているのだろう。速度は森にも関わらず落ちることはない。いや、立ち止まった。なるほど、見失わない様に待っていてあげているのね。いい娘ね♪
今度は魔力を眼に集め、転生者の娘を視る。息が上がっていない事を見て堕天使は、勝ち確定を確信し、彼女の元へと飛ぶ事にした。
「―――――っけんなっ!」
「獲物らしく、おとなしくしてろっ!」
息を荒げながら、叫ぶ汚い声が聞こえだす。
「あら、新顔ね♪ 全く、奴隷商と言うのは人の入れ替りが早いのかしら?」
娘の元に、ようやくたどり着いた男達の頭上に滞空しながら堕天使は告げる。
「まぁ、どちらでもいいけど♪ あなた達は消させてもらうわよ♪」
「「「「な、上から?」」」」
ようやく堕天使に気づいた男達は、次の言葉を待たず地上から消えた。
「ねぇ、堕天使さん。何をしたの?」
「ん? 魔法で反物質を作ってぶつけたの♪ いい感じに作用して対消滅したわ♪」
嫌な予感に従い、風魔法でその場を飛び上がり事なきを得た転生者の娘は冷や汗を流す。
堕天使さん、魔王とかじゃないよね? と。
「ところで、あの人たち消して問題にならないかな?」
「大丈夫よ♪ こちらの自由を脅かしてるのよ? その対価は命、それくらい払ってもらわないとね♪」
「え、いや、その社会的にって意味で」
「そこも平気よ♪ 例え報復しに来ても消えるだけだから♪」
御機嫌の堕天使は、全く娘の懸念を気に留めず笑顔で地上へ降りていく。
この数日あと、街へ仕事を探しに行った転生者の娘は見事に指名手配され、貴族の軍と騎士に追われて逃げ帰って来たのは彼女の運の無さの現れとも言えた。
いや、悪運の高さの証明だったのかもしれない。
閲覧ありがとうございます。堕天使さん、仕事しすぎ……どんどん話が膨らむんですが……。あ、別枠で立ち上げればいいの……か?
だがしかし、そんな余裕がない(-_-;)
次回更新は明日夜。の予定です。




