表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の道具、治します!~小物好きOL、異世界でもふもふライフを過ごす~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/126

MIN-087「思いを飛ばす」




「というわけで、火山にいる精霊、今回は巨大トカゲ……は、わかってやってますね」


「ユキを疑う訳ではないけど、不思議過ぎる光景だったようだね」


 苦笑を浮かべるユリウス様に、私も頷くしかない。

 しばらく見ていたけど、休みなく延々と溶岩を吐き出していた。

 こう、公園とかの噴水みたいにだ。


「私たちにできることは、あまりなさそうね。精々、火山への信仰をなくさないぐらいかしら」


「元々難しいだろうけど、火山の採掘とかはやめた方がいいと思いますよ」


 この世界の技術だと、マグマまでたどり着くなんて不可能だろうけど……。

 どこが薄くなってて、すぐそこにマグマが!なんて可能性もある。


(後は、温泉、これが大事!)


「火山のそばには、温泉。えっと、既に温かいお湯が出ることが多いらしいです。温かったり、高温だったりするそうですけど。上手く集落に引っ張れば、お風呂に毎日入れます」


「このぐらい饒舌にユキがなるぐらいには、良いものということね」


 指摘され、ちょっと恥ずかしい。

 だけど、日本人なら温泉は外せない。

 何より、こっちに来てから満足にお風呂に入ってないのだ。


(一応、ローズで湯沸かしは出来るけど、風呂桶自体がね、うん)


「でも、遠いんですよねえ……」


「まあ、そうだね。さすがに向こうに住んでもらっては困る」


「ユキが望むなら風呂桶を作ってもいいのよ?」


 雑談がだいぶ横に反れたところで、地揺れの被害状況の話になった。

 結果としては、死者はなし、けが人が少々で最終的にまとまった様子。

 家屋の損壊は、これから直しつつ、みたい。


「木材で柱あたりは、贅沢なんですよね?」


「ええ、出来なくはないけど、石積みやレンガなんかが中心ね」


 怪物がどこにいるかわからない状況だと、おおっぴらに森には入れない。

 何より、陶器なんかを作ってた村のように、急な開発は精霊を傷つける。


「寝室や、貴重品を置く場所を補強するぐらいでしょうか……」


「確かに……そのぐらいにしておこう」


 気が付けば結構な時間がたっていた。

 ユリウス様の合図により、メイドさんたちが軽食を運んできた。


「次は―、冷蔵庫……冷気を入れ物の中に溜めるのを考えてみようかなと」


「それは素敵ね。部屋ごと冷やせるといいのだけど」


 クーラーかー、確かに、欲しいよね。

 1部屋だけだったら、前に見つけた魚型の精霊が宿る魔法の道具で良いんだよね。

 出来れば、方向性を決めて精霊を呼び出したい。


「全て使い捨てなのを、出来れば改善したい。可能であれば、他の何かから力を補充できるような」


「不可能じゃないですよ。魔法使いの手が必要ですけど」


 驚きの2人分の視線が突き刺さる。

 言ってなかったかな? どうだったかな?


「色々試し過ぎて、数が揃えられるかわからないのが多いんですよね」


「それは自慢するところではないね。それで、どういう?」


 説明そのものはそう長くないはず。

 要は、私が治す魔法の道具には2パターンあるのだ。


 1つは、折れたりして壊れてる奴。これは治さないとだめ。

 もう1つは、魔力が抜けきって、精霊が眠っちゃってる奴。

 こっちは、他から魔力を引っ張ってくればいいのだ。


「使ってない魔法の道具から移すか、魔石……宝石の類でもいいですけど。それから力が移せます」


「言われてみれば、盲点ね。お兄様?」


「ああ、試してみようじゃないか。ふふっ、ユキはいつも驚きの塊だね」


 イケメンなユリウス様にそんな風に言われると、ドキッとしてしまう。

 まるでそのまま【いけない子だ】、とか言われそうな雰囲気だったんだよね。


 ドキドキしつつ、窓から見える遠くの景色に視線を向ける。

 森、草原があり、町があり、湖と海が……んん?


「なんだか船がいっぱい出てますね」


「あら、本当ね。何かあったのかしら」


「報告はないから、何か魚の群れが来たとかではないのかな?」


 1つの窓に3人集まると、ちょっと狭い。

 近くにルーナとユリウス様、2人の体温を感じてしまう。

 作り物なんかじゃない、本物。


(私、この世界で……生きる)


 変なところで、変な実感を抱いてしまう。


 その後は、こまごまとしたお仕事のお手伝いをすることになった。

 そろそろ、私が覚えてる限りの筆記とか、書類の形式とかをまとめるだけまとめておこうかなあ?


 正直、そのうち忘れてしまうと思うのだ。

 この世界での思い出が増えるほど、地球のことは過去になる。

 何がどう、この世界で有効かはわからないけど、もったいない。


 そんな気持ちを抱いていたのだけど、植物紙を多めにねだったら、ルーナに怒られたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ