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とはいえ、流石にそろそろ切り上げないといけないか。イエリオは別に眠そう、とは、そういう風には見えないけど、休ませるために横になってもらっているのだから、いつまでも話しているわけにはいかない。
もう無事に生活出来るようになったわけだし、続きは元気になってからでもいいだろう。
今一番大事なのは、やっぱりイエリオの休息である。
「そろそろこの話は終わり。イエリオも休まないといけないでしょ?」
「まだ大丈夫、と言いたいところですが、早く治して仕事に戻らないといけないですし」
しろまるを使って綺麗に治そうか? という提案をしたにはしたのだが、イエリオには断られてしまった。
しろまるを使ってフィジャを治療したとき、へろへろになってしまったのを見られていたからか、そこまで緊急事態じゃないから大丈夫、と言われたのだ。休めば治ります、と。
しろまるの紙を作り直してしろまるを呼び出して……とするのは時間がかかる。イエリオの為にならやるのは苦じゃないけど、その時間を短縮するのはどう頑張っても無理だ。
完全に治るまでには結構時間がかかるかもしれないが、安静にしていれば十日から二週間程度で仕事に復帰できる、と言われている傷では、しろまるで治療するのも自然治癒に頼るのも、そこまで変わらない。
まあ、流石に作り直すのに十日もかからないとは思うが、二、三日で作り直せるかも微妙なところ。不可能ではないが、わたしの体調を優先してやるなら無理。なので、自分で治す、と言ってくれるのなら無理にしろまるで治すこともないかな、って。
そんなわけで、自然治癒を選択したイエリオには、たくさん休んでもらわないと。
「――でも、残念です」
「もう、元気になったらいくらでも話すって。……そりゃあ、時間と場所は、考えてほしいけど」
「話をもっと聞きたい、というのもありますが……マレーゼさんが、楽しそうだったので」
思ってもみない言葉に、わたしは思わず「えっ」と声を漏らした。
「楽しそう? わたしが?」
聞き返してみるが、肯定の言葉が返って来る。
自覚はなかったけれど、言われてみれば……確かに、楽しかった、かも。いや、そんなに考え込むこともない。うん、楽しかった。
イエリオはイナリさんと違って、どんな仮説にも意見を返してくれるし、あれは、これは、と会話が続く。
イナリさんなんて、面倒そうに、必要のない会話はばっさり切られたし。いやまあ、話題のチョイスを間違えたわたしの問題なんだけど……いや、それ以前の話のような気も……。




