第十六話、美味しいパンが食べたいな
「町長〜」
「ゴウ!やっと来やがったか、つっ立ってないでサッサと入って来い!」
帰ってきた町長の顔を見にきたら怒られた、解せぬ。
客間に入り町長と向かい合わせで座っていると、奥さんがお茶を持って入って来た。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「ゴウさん、先日はありがとうございました」
「え?」
「あれを、取り上げられないようにして頂いたこと。私、あれとても大切にしていて毎晩眺めてから寝ているのですよ」
「そうですか、それは良かった」
「ん゙んっ」
邪魔が入った
奥さんはお茶を置いて部屋を出て行く。
「ゴウ、あれはこれからどの位作れるようになる?」
伯爵様から貰って来た褒美が凄い事になっていたので町長の目が金になっている。
「町長、あれは暫く様子見だよ。今のままで量は増やさず絹糸だけ貯めといて」
「なっ!」
町長の顔色は青くなったり赤くなったり見ていて飽きないな。
「まぁまぁ町長、それよりも他の事を進めようや」
「馬車か!」
「いや……馬車も、まだ先で」
「何でだ!」
「いや、ジーンも鍛冶屋の……えーっと」
「バルトか?」
「そうそう、ジーンもバルトさんも忙しすぎて、これにさらに馬車の改良の話なんか持ち込んだら、オレ二人に殺されてしまうよ」
「……だろうな」
町長は椅子に深く座り直し、お茶を一口飲んで落ち着くと
「次は、何を考えているんだ?」
待ってましたとオレは頷き。
「町長は、町のパン屋で新しいパンが流行っているのは知っているかい?」
「パン?、そう言えば今朝の朝食でやたら美味いパンが出ていたが、それか?」
「そう、この町では今、新しいパンが大流行りしているんだよ」
「それで?、町中でパン屋でも始めるのか?」
「まさか、そんなにパンだけ作って誰が食べるんだ、パンを作るには小麦だろ? 小麦をもっと沢山作れるようにするんだよ」
驚いたような訝しむ顔をする町長
「どう……知っているって事か?」
オレの事を理解して貰えているようで助かる。
「もう少しで麦の刈り取りの時期だろう? その後に畑である事をして貰いたい」
と言うわけで、次は麦の収穫量を増やすためのノーフォーク農法といきますか。
美味しいパンをたくさんの町の人が食べられるように、小麦を増やす大作戦ですね。
次回は、ロバちゃんを借りてお出掛けですか?




