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【悪逆の翼】  作者: 渦目のらりく
第三十三章 死灰、未だ猛火に焼かれ精錬と
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第266話 魔物使い


 庭園を抜けると、ラァムは人々の阿鼻叫喚する都へと飛び出した。

 そこでダルフが目にするは、数多の魔物が人々を喰い荒らしている光景。抵抗する者もいるが、一方的に人間が蹂躪されている。

 何故こんな悲劇が巻き起こっているのか?

 そんな疑問などつゆ知らず、目を剥いたダルフを乗せて車椅子は疾走していく。オレンジの空の下、人の悲鳴や血液飛び交う狂乱の都の最中を抜けて。


「ケェエエエエエイ!!」


 髪を逆立てたヘルヴィムが後を追って来ている。


「どうしよう! 何処に行ったらいいかわからないよ〜っ!」


 魔物が雄叫びを上げてヘルヴィムに飛び掛かっていくが、塵芥(ちりあくた)でも払い除ける様にその聖十字で一閃されていった。

 ラァムは立ち並んだ民家の方へと進路を変えていくと、連なった家から家へと壁を抜けていった。


「あの人あれでも神父様なんだよね? だったら人間に危害を加えたりは出来ない筈! ここには入って来ないよね!」


 家の中には身を潜める民が見受けられた……だがそんな淡い期待はすぐに水泡に帰す結果となる。


「ホザンナァァァアッッ!!」

「え、えええーっ!!?」


 ヘルヴィムは振り上げた聖十字をブンブンと振り回し、何の迷いも無く壁を打ち砕いて直進して来る。まるで戦車でも通り掛かった様な道筋は連なった民家を突き破り、何処までも続いて地響きを立てた。

 連続した民家を抜けたラァム達のすぐ背後で、壁が打ち崩される。


「う、うう、うわぁあー!!」

「ユダぁぁぁあ!!!」


 間近にまで差し迫ってきた神罰代行人の恐ろしい形相に、ラァムはまた駆け始めた。


聖釘(せいてい)ィィアッ!!」


 ヘルヴィムが空に釘の一本を投げ放つ。するとそれは急激に進路を変え、ラァムの肩を撃ち抜いていった――


「――ぁッ……!」


 肩を貫かれたラァムは車椅子を投げ出して地に伏せた。


「ラァ……ム……!」

「いたい……イッ……!」


 苦悶の表情をした少女は、突如風穴を開けられた肩を抑えてうずくまる事しか出来なかった。


「カァァァアア――ッ!!」


 吹き抜けた大通り。そこに走り込んで来る神罰代行人の影。そして捉えた標的を押し潰さんと、大槌が構えられていく。


「ぅう……ううう、痛いよ」

「……ラァムっ」

「鉄槌ぃイイイ――!!」


 ラァムの赤い瞳が、憎々しくヘルヴィムを射抜いて照り輝いていった。


「どうして私達ばっかり……なんで人間に虐められなきゃいけないの」

「――ぬぁ!?」

 

 幼き少女の激情に呼応する様に、ラァムの周囲には黒いモヤが無数に立ち上り始めた。


「フゥア――ッ?!」

「なんで私達ばっかり!!」


 モヤから現れた数十匹の魔物が、ラァムを守る様にしてヘルヴィムに組み付いていた。


「雑魚ぉおおおッ!!!」


 だが即座にヘルヴィムは雑魚を一蹴してしまう。そして鼻息を鳴らすと、恨みがましい視線を向けた少女を見やる。


「絶対許さない……」

「んッ!?」

「お兄ちゃんを、妹を、友達を……私の家族を殺した人間を……絶対に許さない!!」


 涙目になったラァムを守護する様に、また黒きモヤから魔物が湧き出していた。


「また助けてくれるの魔物さん?」

「ぅな……ッ?!」


 その異様な光景にヘルヴィムは面食らう。そして彼を中心に取り囲んでいく魔物の大群を見やると、()()()()()()()()()に目尻を吊り上げ始めた。


「お前が原因かユダぁあ……」

「え、なに?」


 訳の分からないでいるラァムに向けて、ヘルヴィムは迫真の怒号を解き放っていた。


「お前がこの騒動の元凶カァァァッ!!」


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↑の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると意欲が湧きます。 続々とスピンオフ、続編展開中。 シリーズ化していますのでチェック宜しくお願い致します。 ブクマ、評価、レビュー、感想等お気軽に
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