第42話 マンドラゴラ
この階層には、どうやらゾンビとスケルトンしかいないようだ。スケルトンは相変わらずぼんやりとしていて反応が鈍く、攻撃も単調で、出来の悪いAIで動く雑魚モンスターみたいだ。ゾンビの方は小型のゴーマゾンビと、より人間に近い成人型ゾンビの二種類が闊歩している。こっちはスケルトンのように武器こそ装備していないものの、僕らを発見するや、奇声を上げて一目散に突撃してくるから厄介だ。
出会いがしらでかち合ったりすると、奴らは躊躇なく戦闘モードで飛び掛かって来るから、結構ビビる。でも、双葉さんはどんなに近い間合いからでも、冷静にゾンビを斬り捨てられるだけの対応力と度胸があった。今のところ、どんな奇襲に対しても適切に処理している。
索敵の失敗さえなければ、ゾンビもそれほど脅威ではない。先にこっちが発見できれば、あらかじめ通路に『腐り沼』を展開した上で、双葉さんの投石で注意を引きつければ、奴らは簡単に釣れる。
数が少なければ、そのまま沼の後ろで待っているだけでゾンビが勝手に飛び込んでは溶けてくれる。五体以上と数が増えてくると、沼の中で溶けている最中のゾンビの肉体が橋代わりになって、無事に渡り切る者も出てくる。もっとも、その場合でも生き残りは大した数じゃないので、双葉さんの斧の餌食となるだけ。
もっと数が増えた場合は、僕が『黒髪縛り』でフォローすれば、ある程度は安全に捌ける。流石にオルトロスのように、火を噴く能力もなければ、鋭い爪も刃のある武器も持たないゾンビでは、そう簡単に黒髪の戒めを脱することはない。
まぁ、足首一本程度なら、そのまま勢いで千切って拘束を振り解かれることもある。だから、縛る際はきちんと両足を捕えるか、グルっと胴体に回すのだ。
そんな感じで割と楽勝でゾンビを狩れるようになった僕らは、大きな通路を進んだ先に広がっていた、墓地の森、とでもいうべき大きな広間に集っていた結構な数の群れも、危なげなく殲滅を完了した。
「ふぅ、やっと片付いたね、桃川くん」
「楽に倒せるのはいいけど、やっぱり手間はかかるよね」
ゲームでも、群れる雑魚敵を少しずつ自分の方へおびき寄せては数を削っていく戦法はよくやるけれど、結局は単なる作業と化して来る。早くレベル上げるか強い武器を手に入れて、雑魚なんてまとめて薙ぎ払えるようになりたいな、と思うのは、それがゲームだからに過ぎない。
「私一人でも、あれくらいの数なら行けそうな気がするよ」
「楽に倒す方法があるなら、それに越したことはないよ。安全確実に。危ないのは、ボスみたいに、どうしてもって時だけにしよう」
だって、これはゲームじゃなくて、命がかかったリアルの戦いだから。安全というのは、これ以上ないほど価値のある贅沢品である。手間がかかろうが、時間がかかろうが、僕は喜んで作業をこなそう。
惜しむらくは、スケルトンは勿論、ゾンビからもコアの収穫は全く期待できないことか。
「それじゃあ、行こう。木陰とかにゾンビがまだ潜んでいるかもしれないから、警戒はしよう」
通路から見える限りのゾンビを殲滅した上で、僕らはようやく墓地の森へと足を踏み入れる。
墓地とはいうが、要するに森林ドームの地面に、墓のように木の枝が突き刺さっているだけ。パっと見では墓に見えるけど、もしかしたら、全く別の意味なのかもしれない。
少なくとも、枝はどれも折られたような跡があるから、人為的に刺したことは間違いない。ゴーマがここを墓と定めたのか、それとも枝を折っては地面に突き刺す習性を持つモンスターがいるのか、それは分からない。
でも、やっぱり枝が点々と地面に刺さっている光景は、墓地を連想させる。おまけに、ここの天井の発光パネルは壊れているのか節電しているのか、やけに薄暗い。そうやって雰囲気出すの、止めて欲しいんですけど。
「……ん」
魔法陣のコンパスで報告確認しつつ、周囲の木々にも警戒しながら歩いていたけれど、不意に、僕の視線は一点に吸い寄せられる。
「双葉さん、ちょっと止まって」
どうしたの、何ていう質問は飛んでこない。ただ「うん」と一言だけ肯定の返事をくれて、黙って僕の背中を守るような配置につく。双葉さんの護衛としての動きも、いつの間にか洗練されてきているような気がする。
「うーん」
と、双葉さんへの感想はさて置いて、僕は気になったあるモノを凝視する。それは一際太い木の枝の墓標が突き刺さった根元から生えていた、緑色の草。一見するとただの雑草っぽいけれど、その根元には如何にも毒々しい鮮やかな紫色をした果実みたいな部分が僅かに覗いている。どうやら、ニンジンみたいな感じで土に埋まっているものと推測される。
さて、その紫色から気になって、直感薬学で調べてみると……
「人型の不気味な根を持つ、魔物に近い植物。一種のテレパシーで、食べる者、引き抜く者に対して不快なノイズを発して抵抗する。古来より妙薬や霊薬として利用される薬草であり、毒草でもある。特殊な生態から、人の精神に深く作用する効能があるといわれる」
いつも投げやりな説明文をくれる直感薬学にしては珍しく、気合いの入った説明だ。どうしたんだ、ウィキペディアでも見たのか。
ともかく、そんな気まぐれな直感薬学の効果よりも、その説明から僕は一つの名前が思い浮かんで仕方ない。
「要するにコレって、マンドラゴラじゃないのか」
「あ、それって、何かで聞いたことあるよ」
まぁ、名前だけは有名だしね。ゲームではお馴染みの素材アイテムだし、他にもファンタジー作品でもよく登場する。
人型の根をしていて、抜くと絶叫をあげて、それを聞いた者は死ぬ、みたいな感じのファンタジー植物だ。マンドレイクともいう。同じ名前で、伝説の元となった植物も実在する。けど、説明を聞く限りでは、まず地球にある植物としてのマンドラゴラではないし、伝説上のマンドラゴラとも、微妙に違う。よく似た、この異世界特有の別種なのだろう。
「ちょっと抜いてみようかな」
「えっ、抜くと死ぬんじゃなかったっけ!?」
「即死する、とは言ってないから、大丈夫じゃない?」
テレパシーで抵抗する、という何ともファンタジーな生態である。それがどんなもんなのか、ちょっと気にもなる。勿論、呪術師として、由緒正しい立派な薬の材料であるというこの薬草を、手に入れないという選択肢はありえない。
「本当? 大丈夫? 危なくなったら、すぐ手を離してね!」
小さい子供を持つ過保護なお母様ですかってほどに心配してくる双葉さんを余所に、僕は好奇心のままにマンドラゴラの葉へと手をかける。
「えいっ!」
掛け声と共に、グイっと引く。すると、頭の中に「キョワーっ!」という甲高い鳥の鳴き声というか、声の高い人の絶叫みたいな、妙な声が響いてきた。
なるほど、これがテレパシーによる不快なノイズってヤツか。うーん、思ったより、大したことはない。これなら黒板やガラスをひっかいた音の方がキツい気がする。それにこれ、やけにボリューム小さくない?
「あっ、抜けた」
気が付いたら、ポンって感じで、思ったよりも軽く引き抜けた。
「桃川くん、大丈夫っ!?」
「ああ、うん、別に、全然なんともなかったよ」
ブラブラと振って、双葉さんに収穫したマンドラゴラをドヤ顔で見せびらかす。私が育てました、みたいな。
見れば、確かに人型っぽく思える。二股に別れた先っぽなんて、足に見えるし。エッチな大根、とかあったよね。まぁ、大体そんな感じ。
でも、ちょうど頭に当たる部分には目と口を表すような丸いくぼみがあるし、全体的に鮮やかな紫色で、ボコボコした質感からいって、とても食べようとは思えない不気味な見た目ではある。確かにコイツなら、何か凄い薬が作れそうな気がする。
「双葉さんもやってみる? そこにもう一本あるし」
「えーっ、大丈夫かなぁ」
大丈夫大丈夫、えーでもぉ、みたいな感じでちょっとキャイキャイはしゃぎながら、結局、双葉さんは抜いた。
「やった、抜けたよ!」
「おお、声はどうだった?」
「全然、何も聞こえなかったよ」
だよねー、とか言いながら、あっさりとマンドラゴラの収穫ができたことに喜んでいるところで、異変が起こった。
最初に気が付いたのは、勿論、狂戦士として鋭い感覚、みたいなものを発揮しつつある双葉さん。
「何かいるよ」
僕は素早く二つのマンドラゴラを鞄に放り込み、いつでも逃げ出せる体勢を整える。
「入り口まで退く。後ろは」
「まだ大丈夫、完全に囲まれてはいないみたい……でも、左右から気配を感じる」
残念ながら、僕にはその気配とやらは察知できない。右を見ても、左を見ても、静かな森が広がっているようにしか見えない。
チラリと振り返り見れば、数十メートルほど先の地点に、通路からこの広間に至る入り口部分が見えた。
「桃川くん、走って!」
未知の敵を相手に、背中を見せて逃げ出すのは愚策なんじゃ、とは思うけど、僕は双葉さんの判断力を信じる。すでに戦闘に関しての直感力は、狂戦士の彼女の方が圧倒的に信頼できる。僕の屁理屈じみた考えなんて、二の次でいい。
そうして躊躇なく走り出したその瞬間、ガサリ、と激しい音を立てて、周囲から魔物が現れた。
「バウバウっ!」
と、犬みたいな鳴き声をやかましくあげるのは、これまでに見たことのない姿の魔物だった。
一見すると、子供の頃に図鑑でみた肉食恐竜みたいな体格。大きさはちょうど人間と同じくらいか。二足歩行のトカゲのような姿で、手のような前足は小さく、尻尾は長い。体色はコンクリートブロックみたいな灰色で、背中の辺りには金属光沢のある鱗がびっしりと生えているのが見えた。
けれど、何よりも特徴的、というより異様なのは、頭がやけにデカいことだ。角ばった四角いブロックみたいな頭部の形状。それが真ん中からギザギザと割れるように、大きな口が覗く。鳴き声同様、犬みたいに長い舌を垂らして、汚らしく涎が滴る。
小さな赤い瞳をギラギラさせて、これ以上ないほど餓えた様子で僕らに向かって踊りかかって来た。
「ゴアだっ!」
初見のモンスター、けれど、名前は知っている。出発前に、魔法陣のメールをチェックした時に、この魔物の情報が更新されていた。
ゴアは群れを作る小型の地竜種。地竜ってのは、恐らく恐竜みたいなタイプの魔物を指す分類だろうと思われる。雑食性だが肉を好み、基本的に死肉を漁るが、手ごろな獲物を見つけると喜び勇んで攻撃を仕掛けてくる、好戦的で、獰猛な魔物。
特殊な魔法能力はないが、それでも地竜種特有の強靭なパワーと俊敏な機動力とでもって、体に不釣り合いな巨大なアギトで獲物を仕留める。
そんな危険なゴアだが、現れたのは五体。もしかしたら、まだ茂みの中で潜んでいるかもしれない。ともかく、結構な数だ。どう考えても、二人だけで捌き切れる量じゃない。
これはちょっと、ヤバいかも。
「ふんっ!」
気合いの入った双葉さんの声が上がる。見れば、彼女に飛びかかったゴアが腹を見せてひっくり返っていた。騎士の第二スキル『弾き』によるカウンターを食らったのだろう。
ドっと倒れ込むゴアは、ただ弾き飛ばされただけでなく、きっちり斧による一撃も叩き込まれていたらしく、鱗のない白い腹部がバックリと割れて赤黒い臓物と鮮血を噴き零していた。
鮮やかな手際で一体仕留められたが、お仲間はこの程度の損害で諦めるつもりはないようだ。
「双葉さん!」
「大丈夫、桃川くんは沼の後ろまで下がってて」
後続のゴアが正面と左右に展開し、包囲するような陣形で踊りかかってくる頃には、全力疾走のお蔭で僕はどうにか、通路入り口の辺りまで戻ってきた。
ここには、ゾンビの群れを安全に始末するために展開させた、通路の端ギリギリまで広がった大きな『腐り沼』がある。この呪術は任意で消せるわけではなく、一度作ったらそのまま。ただし、空気に触れるとペンキみたいにどんどん乾燥していって、固まり切ると毒性は失い無害な土となる。
さっきまで使っていた毒沼は、まだまだ効果の継続時間内。赤黒い水面はゴボゴボと不気味に泡立ち、さらなる獲物を求めていた。
「よっ、と!」
自分が沼には落ちないように、ギリギリ端っこを渡り切る。一応、この猛毒が僕の体には全く効果がない、ということは確認済み。だから、誤って僕が落っこちてもドロドロにはならない。
けど、それは僕本人の肉体に限った話で、衣服や装備品はその限りではない。僕限定で服だけ溶かすエロい消化能力のスライムに襲われた、みたいなサービスはいらない。割とマジで、装備の損失は死活問題だし。
ともかく、これで貧弱な呪術師である僕は安全な場所まで退避完了。ゴアの体格からいって、両端のギリギリ沼のない部分だけを歩いて渡るのは不可能だ。
「――その身を呪えっ! 『赤き熱病』っ!」
後衛の配置についたなら、あとは双葉さんの援護に徹するのみ。とりあえず、速攻で全てのゴアを対象にかけられる呪術を放つ。効果のほどは相変わらず微妙だけど。少しでも相手の動きが鈍くなることを、祈るより他はない。
「やあっ!」
果たして、僕の支援効果があったのかなかったのか、いまいち不明だが、双葉さんは見事なフルスイングで、ゴアの胴体をぶった斬っていた。
これで二体、残りは三体だ。双葉さんは入り口からやや離れた位置に陣取っている。僕が『黒髪縛り』でギリギリ援護できそうなくらいの距離だ。あの調子なら、僕のフォローがなくても、そのまま倒し切れそうだけど――あれ、双葉さんを囲っているゴアが、二体しかいない。あと一体はどこに。
「うわっ!?」
「バォオオオオっ!」
とけたたましい雄たけびを上げて、通路の前に一体のゴアが飛び出してくる。コイツ、双葉さんをスルーして、僕を追いかけてきやがった!
「桃川くん、一体抜けちゃった! すぐに――」
「何とかするから、双葉さんはそのまま倒して!」
ここで双葉さんが背中を向けて僕の救援にかけつけるのは、立ち位置的にあまりよろしくない。二体のゴアはすでに間合いのギリギリで飛び掛かるタイミングを見計らっているような距離感だし、何よりも、森の奥からさらに三体、四体と新手が顔を覗かせているのが見える。あの後続組にまとめて襲いかかって来られたら、流石の双葉さんでも持ちこたえられない。
だから、雑魚の一体くらいは、自分で始末をつけないと。
「どうした、来いよっ!」
沼の反対側に立ち、僕は震える声で挑発する。対するゴアは、明らかに『腐り沼』を前にして警戒している。
ちっ、低能なゾンビだったら怪しい真っ赤な泥水も気にせず突っ込んでくるけど、流石はマトモな野生動物に近い魔物。生物としての本能がきっちり働いて、危険物を警戒しているんだ。
フンフンと荒い鼻息を鳴らしながら、通路の前をウロウロ。すると、一転してゴアは後退。もしかして諦めたのか、と思いきや、もう一度反転して、勢いよくこっちに向かって走り出してきた。
そのまま勢いに任せて突っ切るつもり――否、ヤツの思惑が、僕には一瞬で分かった。
「さ、させるかぁーっ!」
予想通り、ゴアは強靭な脚力を生かしてジャンプしていた。沼のサイズは4メートルほど。男子高校生だって、走り幅跳びで5メートルくらいは飛べるのだから、脚力に優れたモンスターなら、余裕でもっと飛べるだろう。つまり、この大きさの『腐り沼』では、ゴアにとって一足飛びに越えられる程度の低い障害物でしかないってこと。
勿論、飛び越えられたら、こんな本物の恐竜みたいなモンスターを相手に、僕が接近戦で仕留めることは不可能。『痛み返し』による道連れは、勝利に含まれない。
「落ちろぉおおおおおっ!」
だから、落とした。まだ飛んでいる途中、ちょうど沼のど真ん中を飛び越すあたりで、僕はゴアを引きずり落とす。
それは初めから沼地に潜んでいたモンスターのように、漆黒の触手が飛び出した。無論、その正体は三つ編みの『黒髪縛り』だ。
ここに来るまで、ゾンビ相手に繰り返し繰り返し、別に双葉さんにフォローが必要なくても、練習がてら無駄に使いまくってきたから、オルトロス戦の時よりも成長している。より長く、より太く、そして、より力強く、相手を縛る。
「ギャオォアアアアアアっ!」
激しい水音を立てて、ジャンプ中で無防備なゴアは黒髪触手に捕まり、猛毒の沼地へと引きずり込まれる。ゾンビが突っ込んできた時よりも、盛大な溶解音がたつ。まぁ、明らかにゾンビよりも体の体積は大きいから、当然かもしれないけど。
「ォオアアアっ! バウっ! バォアアアっ!」
「うっさい、大人しく……沈んでろっ!」
さらに、黒髪触手でのたうつゴアを縛り付ける。新たに呼び出した三つ編みは二本。ビタンビタンと激しく水面を叩く尻尾を縛り、もう一本は、牙を剥いて唸りを上げる頭を抑える。合計三本の『黒髪縛り』が、強烈な溶解力を誇る沼へと縛り付ける。
どうだ。僕の体と同じように『黒髪縛り』もまた『腐り沼』の影響を受けないことに気づいて編み出した、今の僕が持ちうる最強の必殺コンボだ。
「バオっ! バッ……オォ……」
拘束を破られかけない、危ういところで勝負がついた。まだまだ、魔物のパワーを真っ向から封じられるほど、僕の呪術は強くない。
あれほど暴れていたゴアが、すっかり生気を失い毒沼の真ん中で倒れ込んでいる姿を、緊張感の解放から、ちょっとぼんやりと眺めてしまう。
「はぁ……はぁ……あっ、双葉さんはっ!?」
ハっとして、僕の戦いはまだ終わってないことを思い出して、慌てて顔を上げる。
「桃川くん、大丈夫? 群れはもう逃げていったよ」
見れば、周囲に七体ものゴアの惨殺死体をまき散らして、双葉さんが一心に僕の身を案じているような表情で振り返っていた。
うわっ、僕が生きるか死ぬかの一騎打ちを演じていた間、余裕で七体も仕留めるなんて……やっぱり、本物の戦闘天職は凄い。
「ああ、うん……大丈夫、何とか生きてるよ。怪我もしてない」
「そっか、良かった。それじゃあ私、コアを探してみるね」
朗らかな笑顔で、ナイフ片手にゴアの死体を漁り始める双葉さんを見て、僕はもう、彼女なしには生きていけないかも、なんて割と本気で思ってしまった。
双葉さん、いつもありがとう。




