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ショートショート7月~

まるで似てない

作者: たかさば
掲載日:2020/07/13

夏至生まれの私と、冬至生まれの弟。

私と弟は、まるで性格が似ていない。


美術が得意な私に対し、弟の不器用さと言ったら。

音楽が得意な弟に対し、私の音感の無さと言ったら。


太ましい私に対し、細ましい弟。

炭水化物好きの私に対し、肉好きの弟。


騒がしいのが好きな私に対し、静かを好む弟。

派手にしてなんぼの私に対し、シンプルイズザベストの弟。


同じ姉弟だというのに、こうも趣味嗜好が違うのか。


あまりにも性格が違い過ぎて、ケンカにならない。

ケンカなど、一度もしたことがない。

欲しいものの取り合いなど一度もしたことがない。


したことがないというか…言い争った記憶がほとんどない。


話す必要がなければ、ほとんど会話はしなかった。


けれども、たまに一緒に出掛けることはあったのだ。

例えば、車の免許を取って運転の練習に行く時。

例えば、親戚の集まり。

例えば、引っ越し。


とりわけ、ドライブは良く出かけた。

目的地に行くまで無言で向かい、無言で目的を果たし、無言で帰宅する。


恐ろしく会話のない姉弟であった。


ずいぶん大人になり、旦那に合わせた時、弟はかなり面食らっていた。


「よくしゃべる人だね。」


旦那の人懐こさはずいぶん弟を翻弄したものだ。


そのあとずいぶん経った頃、弟が嫁を連れてやってきた。


「よくしゃべるひとだねえ。」


弟の嫁の人懐こさにずいぶん翻弄された。


あれほどまでに似てない性格の姉弟だったが、選んだ伴侶のタイプはそっくりだったのである。

思わぬところで血のつながりを感じた。


今、弟一家は比較的近所に住んでいる。

しかし、ほとんど会う事は、ない。

弟の嫁とはかなり話をする機会があるというのに。

弟とは年に一度会話するかどうか。


たまたま時間があったので、食事をすることになった。


「でね、会合とかに行かないし、出ても全然しゃべらないのー。」

「うちもだー。井戸端会議もすぐ逃げるよ!!」


旦那と弟の嫁が、私と弟の前で盛大に愚痴っているのだが。


…私も弟も、何も言わずに、ただテーブルの上の枝豆をもぐもぐと食べている。

それを見て、娘と姪が大笑いしている。


「枝豆の食べ方がおんなじだ!!!」

「あはは!!おんなじ!!おんなじ!!」


…まったく似ていない姉弟だと思っていたけれど、そうでも、ないらしい。


「「いいから早く食え!!」」


ずいぶん、似ている、かもしれない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他人から見たら似てるんですよね。 当事者はわからないんですよね。
[良い点] しみじみ。なんとも言えない何かが心にきます [気になる点] 兄弟かぁ……妹いますけど、だいたいこの小説の通りになりそうでこわい
2020/07/13 20:23 退会済み
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