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ちゅうかんてすと

 「じゃあテスト範囲配るよ〜」


 そう言いながら楓先生がプリントを配り始めた。


 5月も丸3週間ほど過ぎた月曜日、ついに中間テストの時期がやってきた。


 「プリントには大まかな範囲が書いてあるけど細かいところはそれぞれの授業で言って貰えると思います。日程は書いてあるように来週の月曜から現国、生物、現社、数学、化学、英語、物理、古典、地理、保健体育と3教科、数学のみ、3教科、3教科と四日間続いて金曜はテスト休み。今日からテスト期間ということで部活動は基本テスト終了まで基本禁止になるから気をつけるように。じゃあ今日のホームルームはここまで、化学はきっちり勉強するように。解散」



 楓先生が教室を出て行ったと同時に晴がこちらを向いて何とも言えない表情を作る。


 うん、まぁ言わんとすることはわかるよ。


 ちなみに席替えは楓先生がテスト終了ごとにするスタンスらしいので変わらずだ。


 「やっぱり高校って教科多いんやね。その分テストの日も長いし」


 紅羽が晴の気持ちも代弁して口にした。


 「そーそー、しかも化学の範囲って授業でやったとこ全部だよね!?無理だって、広すぎ。中学でやった理科の範囲全部と良い勝負くらいあるし」

 「たしかにね。他の教科も中学の時と比べられないくらい量あるし」


 晴の愚痴に姫も珍しく頷く。


 まぁ、高校初のテストってたしかに面食らうよね。しかも化学の範囲がそうとうやし。


 「あ〜、またテストの順位100位圏外になりそう」

 「そう言えばテストの結果張り出すって最近では珍しよね。やっぱり進学校やからかな?」

 

 紅羽の言うようにたしかに珍しいかも知れない。最近保護者が五月蠅いらしいからな。どうせ大学入試のときに模試で順位付けされるのにようわからんわ。


 「でも100位までしか張り出さないのはやっぱり気を使ってるんやないかな?」


 と姫。


 因みにテストの順位は全学科共通らしい。テストの科目が違ったりするが合計点が同じなのでそうしているらしい。不公平な感じはするが楓先生曰く「共通科目意外の平均点が同じもんやから単純に共通科目の順位に近い」らしい。得意不得意の科目によって多少変わる気もするがそこは仕様がないんやろう。


 「そーかもしれないけどさ〜。そう言えるのは姫が順位良いからだって。」

 「まだテストやってもないやん」

 「やらなくたってわかるって。いつも勉強教えて貰ってるんだし」

 「まぁまぁ晴ちゃん、一緒に勉強すれば何とかなるって。稟がおるんやし」


 私!?


 「稟、頼んだっ」

 「ぇと・・・まぁ教えるだけやったら」


 晴のキラキラお目々に当てられながらなんとか頷いてそう答えた。




 その後、今週末の土日に勉強会をすることになった。場所は私の家・・・まぁ学校の近くやしそうなるか。







 土曜日。


 今日は化学を重点的にやることになった。明日は月火のテスト勉強に時間を持って行かれるのはわかりきっているので先にボスの勉強をしておくことになるのは当然のことだった。


 因みに現況している場所は紅羽の部屋だ。


 「なぁ稟、どこらへん特に勉強したほうが良いかな?」

 「原子構造は絶対出ると思う。格子の問題とか。あとは重要語句を満遍なくやって理論も理解する感じでええんやないかな?無機の部分はやり始めたばっかやし元素の周期表を中心にやるだけで良いと思う」

 「なるほどな」


 私の応えに紅羽が頷く。


 ちなみに皆軽くではあるが一通り全ての教科を勉強してきている。


 「ねぇ稟〜、全部解説していってよぉ」


 晴がそう言いながら体を前後に揺らす。


 なんやこの可愛い生き物。


 「たしかに稟に解説していってもらえたら助かると思う」


 と姫も晴の意見に賛同する。


 「稟、お願い」


 紅羽からもウィンク付きでお願いされてしまう。


 う〜・・・。


 「わかったけど・・・分かりにくかったらすぐ言ってな?」






 どういうわけか私の解説は好評で化学だけでなく他の教科もやらされたあげく、日曜も問題を解くとき以外させられた。


 私なんかの解説聞くよりも自分で勉強した方が捗ると思うんやけどなぁ。


 




 


 テスト最終日。


 「終わった〜!!!」


 晴が最後のテストが終わると同時に叫び声を上げる。


 ちょ、晴、皆こっち向いてるやん。


 ただ、みんなの顔が怪訝な表情を浮かべているのでは無く笑みが浮かんでいるのは晴が人気者の証だろう。


 「姫、紅羽、稟、この後どっか行こうよ」

 「それは良いけど何処行く?」

 「お腹空いたしご飯食べに行ってからカラオケはどう?なんだか声出したい気分なんだよね」


 晴が紅羽の問いに即答する。まぁ声出したいって気持ちはさっきので十分伝わったわ。


 でもカラオケかぁ・・・。言ったことないなぁ。


 ・・・人前で歌うとか恥ずかしし。

 

 そうこう考えている内に紅羽も姫も賛成する。


 ・・・ここで反対するんもあれやしなぁ。


 恥ずかしい気持ちはあるが私も賛成することにした。











 ちなみに、先にテストの結果を言っておくと、私が満点で1位・・・・・・。やっぱり記憶戻ってから頭の調子が良すぎる気がする。


 姫と紅羽が同点で2位、晴も53位と今回は圏内に入った。掲示板でその結果を見たとき晴に「ありがと〜」と抱きつかれて恥ずかしい思いをした。その時何故か紅羽が不満げな表情をしていた。



誤字脱字報告いただけると助かります。


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