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よにんでのほうかご

 今日のロングホームルームはゴールデンウィーク明けの週末に行われる遠足について決めることになった。一応来週の水曜も学校はあるのだがゴールデンウィーク中なので来れない生徒もいるだろうとのことでそうなった。もちろんゴールデンウィーク明けの水曜も直前の確認として遠足の為に用意されている。


 委員長に不幸にも指名された新子さんが司会、板書を東君が行うように言い天連先生は「あとは自由に班とクラスの目的地決めといて、班の人数と数は自由でそれぞれの班の人数もバラバラでもいいから。ただし一班の最低人数は4人な、除け者を作らんように。異性と組みたい奴は自分の力でがんばれ。あぁ、あと目的地は現実考えてな、日帰りやで」と言うと教室を出て行ってしまった。


 先生が出て行った瞬間は皆ポカーンとしていたが新子さんが気を取り直し目的地を決める為に意見を募り始めた。


 「えぇっと、取りあえず目的地を決めたいと思うので希望があれば挙手してください」


 「USJ!」


 1人の女の子が挙手して当てられると同時にそう言った。


 USJなぁ。そういや中学の遠足でも行ったな。班について行っただけでなんも面白なかったけど。最後で後味も悪かったし。


 正直そんなに賛成の気持ちはないがクラスの大半が賛成する。どうやら候補一つ目にして決定のようだ。


 「ほとんど賛成のようなので行き先はユニバーサルスタジオジャパンということで、班決めは・・・自由でいいですか?」

 「男女で班作って合わせたらいいんやない?」

 「やね、折角の遠足なんやし」


 前の方の席の男の子と女の子がそれぞれ発言する。名前は・・・覚えてない。だって初日の自己紹介の時私居てなかったし。


 クラスから結構な賛成の声が上がる。


 これも決まりなんかな・・・。はぁ・・・前のこともあるし嫌なんやけど。


 「確かにその方がええ人もいるかもしれんけど嫌な人のことも考えて希望者は後でクジでも何でもしてくっつけばええんやない?」


 隣から聞こえた声に驚いて顔をそちらに向けると紅羽が笑みを返してきた。


 紅羽・・・気配りできすぎやない?いや、嬉しいけど。なんかね、うん・・・自己嫌悪というか・・・はぁ、私もあんなふうになりたいわ。意識年齢的に自分の半分以下の娘に気を使われっぱなしていうのもなんや情けないわ。




 紅羽の意見にもそれなりの数の賛成の声が上がったため、最終紅羽の意見が採用された。


 決まった時の男子の表情は皆さんのご想像にお任せします。


 「燈、晴ちゃん、班一緒でいい?」

 「もちろん」

 「うん、取りあえずこれで4人は揃ったね」


 どうやら紅羽の中では私と同じ班なのはもともと決定事項やったらしい。なんやこそばゆい感じやな。


 「私たちは班これで決定でいいかな?紅羽は男女班意外に反対みたいやし」

 「うん。稟、嫌みたいやし。やったらもちろんうちも嫌やからな」

 「へ〜稟ってこんなことあんまり気にするタイプじゃなさそうなのにね〜。なんで?」


 晴が興味津々で聞いてくる。


 う・・・まぁこの3人にならええか。


 「実は中学の遠足でもUSJに行ったんやけど・・・その時最後に嫌な感じになってもて」

 「稟の中学って遠足でUSJ行ったんだぁ、いいな〜。あ、大阪だし近いから?」

 「うん」

 「それで嫌な感じって」

 

 紅羽が続きを促してくる。


 「ぇと・・・ユニバから返るって時に一緒の班の子に急に告白されたんやけど」


 紅羽の表情が一瞬強ばる。


 「その子のことあんま知らんし恋人とかにも興味なかったし、それにうちなんかに彼氏おるわけないからって一緒の班やし告白したんやろうけど、付き合うってそんなんやないなと思って断ったんやけど、帰りの電車で何とも言えん空気になってもて。その男の子も私なんかに断られたのがショックなんか暗なってもてたしな・・・」


 途中なぜか安心した表情を浮かべた紅羽だったが最後には少し怒った顔をして口を開いた。


 「稟、あんまり自分を低く見過ぎてたら変な男に騙されてまうで?」

 「そうそう、その男の子も普通に好きだった娘と一緒の班になれたから意を決して告白したけど断られてショック受けてたんやと思うし」


 紅羽の言葉に姫も同意する。


 いや、別に低見てないやん?


 「逆に2人がうちを高く見てるだけやって」


 「はぁ、まぁこれが稟なんやろうけど・・・こうなると紅羽の気持ちわかるなぁ。ものすごい庇護欲がそそられるというか」

 「守ってあげたくなるやろ?まぁうちは単純に稟が好きってのが大きいけど」


 紅羽に肩に手を回されて抱き寄せられる。


 え?私ってそんな小動物的な感じなん?それって晴やないの?


 「稟、なに考えてるか目で分かるから」


 どうやら考えに気づかれたようで晴がジト目を向けてくる。


 「まぁ晴も守ってあげたい方の娘やね」

 「うん、晴ちゃんは見た目からそうやしな」

 「私を落ちに使うな〜!」






 班決めは希望したところは男女混合になり何組かは異性とは組まずに少人数班となった。

 そこで丁度時間となり天連先生が教室に戻ってきて決定したことを確認すると解散となった。






 今日は4人とも放課後に用事は無かったので先週の日曜に紅羽と行ったファミレスに4人で寄ることにした。



 女子高生らしくドリンクバーだけ頼む。らしくって言うてもこんなふうに友達と放課後にファミレスなんか来たの初めてやしようわからんのやけどな。


 それぞれが好きな飲み物を入れて席に戻る。


 姫が紅茶花伝で晴がコーラ、私と紅羽がオレンジジュースだ。


 「あたし達の班が男女混合組に入らなかった時の男の子達の顔面白かったよね〜。目に見えて気落ちしてたし。まぁあたしも男だったらこの3人と一緒になりたいだろうし気持ちもわかるけど」


 確かに紅羽に姫、晴の3人は可愛いからな。


 「稟〜、多分勘違いしたこと考えてそうやから言うとくけど晴ちゃんがいった3人って多分私と姫と稟のことやで」


 ?


 なわけないやん。


 「信じてないみたいやね。ホントどうしたらこんな天然が生まれるんだか」


 なぜか姫にまで呆れられる。


 もう、そんなずっと私が可愛いとか言われたらほんまに自分のこと可愛いと思ってまうやん。


 「そう言えばUSJに行ったことあるのって稟だけ?」


 晴が紅羽と姫に聞く。


 「うちは行ったことないなぁ」

 「私も」


 2人の返事を聞いて晴が「じゃあさ、稟、前に行ったときどんな感じやった?」と今度は私に話しを振ってきた。


 「班の子について行ってただけやからあんま覚えてないなぁ。確か期間限定のは一応行ったとは思うんやけど・・・」

 「ふ〜ん。じゃあほとんどあたし達と同じで初めてみたいなもんなんやね」

 「そんな感じ」


 「あ、話は変わるんだけど・・・今週の土曜って皆暇?」


 晴の問いに私たち3人が頷く。


 「じゃあさ・・・前にうちの親が皆を連れてきてって言ってたって言ったじゃん?それでさ、土曜に連れてきてよって言われて」


 「うちはええよ?」

 「私も」


 2人に合わせて私も頷く。


 「ホンマ!?よかった〜。じゃあさ、今週の土曜はうちで遊ぶってことでいい?」

 

 晴の問いに私たちは同時に頷いた。

 


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