オタクのミシェル
「おお!リトルマザーではないか。敬礼!敬礼!」
アイアンメイデンから声がしたと思うと、扉が開いて一人の女性が現れた。ハッキリ言うならダサい、傷つけないように言うなら平成のガチオタだった。
みんな大好き涼宮●ルヒが胸元にプリントされた白T、その上に紫のジャージを二の腕がチラッと見えるくらいに着崩して羽織っていた。ふくよかな足を強調させる短パンジーンズ、白と黒のシマシマ模様のニーハイには謎の0と1、外から繋がっていたカラフルなケーブルは彼女の髪だったようで、それを乱雑に結束バンドで2つ結びにしていた。シルバーカラーのヘッドホンに上の部分だけ縁がないメガネで、完璧な平成オタクだった。
「ミシェル氏、この者たちに専用武器を作ってあげたいのだが、いやはや君の箱庭は想像以上に複雑でしてな。宜しければ君のデータバンクをお借りしたい所存。」
「なるほどなるほど、承知でござるw」
今ではほぼ死んだような平成を思い出し、おじさんたちは少し昔の余韻に浸るのであった。ミシェルは来夢とドゥフドゥフ笑い、一旦落ち着くとジャージの前を閉めて黒澤たちに話しかけた。
「…はじめまして、ミシェル・カンパネラです。…なにをお求めでしょう?」
「え…!?あ、よろしく。えーっとでは私はスーツケースを頼むゾ。」
「俺はハサミか農耕具がある場所が知りたいな。」
「私はもう少し考えますね。」
3人の言葉を聞くと、ミシェルのメガネのレンズが光り出した。ケーブルも頭から光って箱庭全体に通達されていく。暫くすると解析が完了したようで、近くにあったプリンターから2枚の紙が印刷された。
「そちらにお二方がお求めの所在地が記入されています。私ができるのはこれだけです。」
「おお…!わかりやすいゾ、感謝するカンパネラ嬢!行くぞ、丸!」
「あ!ちょっと走んなよ!!!」
「待って僕もついていきたい!!!」
茶野とミシェルを残して3人は箱庭探検を始めてしまった。自分もついていこうと思ったけど、3人のテンポの速さについて行けなかった。気まずい雰囲気が2人を包む。無言の空間がキツいな茶野は口を開く。
「あのーー。もしかしてなんですけど、私たちどこかで会ったことありますかね??」
運命探してるみたいなナンパ口調になってしまい、茶野の冷や汗は止まらなかった。穴があったら入りたいと心底思った。
「会ったことないですよ。でもリトルマザーの体の中でなら、貴方の足にいるバトラーとは会ったことがあるのかもしれませんね。」




