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我が子

「……ったく、なんやねんあいつら」

「いやいやいや先輩!流石に今日会ったばかりの人にこれはヤバいっすよ」

「じゃあお前はこの子が死んだみたいな目しながら、好き勝手にこねくり回されて、ええと思っとるんか?」

「そ、それは…」


『水原』と『紫村』が言い争っていると、それを遮るように来夢が立ち上がり話し始めた


「声の大きなお客様、あの2人に対して一喝入れてくださりありがとうございます

ですが僕は大丈夫です、彼らの行動を僕は全て受け止めなくてはいけないから…

だから見ず知らずの僕にそう熱心にならなくて結構です」


諦めたような顔で笑顔を浮かべる来夢は、どこか救いを求めているようだった

そんなことを察したのか『水原』は来夢の前まで行くと、膝に手を当てて来夢に目線を合わせて話しかけた


「君ぃ、まだ子供やろ。なんであんないい歳した大人のこと庇うんや」

「…………僕が」

「来夢!辛いこと思い出してまで言わなくていい。悪いけどお前らにいうことはできな…」

「お前に聞いとらんわ、俺はこの子に聞いてんねん。

…言いたくないんやったら自分の口で言えないって言わないとあかんやろ?」


真剣だが心配が溢れる声に来夢はどこか安心を覚えた

そしてポツリ、ポツリと言葉を口から落とした


「…僕があの子たちを作ったから…」

「え…?」

「だから僕はあの子たちのお母さんに、ママにならないといけないんです」

「作ったって…人間を…!?」

「あの子たちは人間じゃないです。あの日に沢山食べてしまった本や楽器、日用品に他にもいっぱいのものがぐちゃぐちゃに混ざって、意識を持った存在…そしてこの家に縛り付けてしまった哀れな僕の子供…

それが我が家の使用人たち、『バトラー』です」


まさかの告白に全員が驚いた

しかし『水原』はすぐ落ち着きを取り戻し、来夢の頭に手を乗せた


「小さい君が責任感があることはよぉ分かった、だけどな怒らない母親ってもどうかと思うで?

俺なんか自分の母親にめっちゃ怒鳴られて育ったんやぞ?自分の子供だと思っとるんやったら、子供がよく育つように行動を正してあげないといけんよ?」


そう言いながら水原は来夢の頭を沢山撫でてあげた

綺麗な髪が少しクシャクシャになってアホ毛がピョコッと出る姿はどこからどう見ても小さな子供だった


「…そうですね、ありがとうございます…!おかげで少し気持ちが落ち着きました」

「おう!ならよかったわ!」

「そういえば貴方の名前は…?」

「ミ…じゃないんやった。『太郎』!俺の名前は『水原 太郎』や」


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