瀬名一の嫉妬 EP27
あれから一月が立った。高校には残席はしているのだが、事実上行っていない。そもそも自身は日本にすらいない。渡米し訓練中である。
歌手としてのボイストレーニング、体力づくりの為のジム通い。正直に言うとやる気がないぶん、物凄くだるい。
(人前に立つ事自体が本当は嫌いなんだよな、オレ。)
「ほら、ジョンくん、次は此処にアクセントをつけて発声をしてみなさい。」
「はい。」
専属のトレーナーが数十人と言る。其れも世界的に有名な方々を指導した事がある一流どころばかりだ。
「一様はRapを希望のようですが、まずは基本の歌を歌って貰ってから決めましょうか。」
各トレーナーの方々が相談しあい最終的にその意見になった。
「好きな曲があるのでしたら、歌って貰って構いませんよ?」
「今、歌うのですか!?」
「はい、勿論。」
えぇ、何の準備もしてないのですけど........
「曲の方は勿論英語をベースとするのでenglishの歌をお選びください。」
(うぅ、無茶振りし過ぎじゃあありませんかねぇ、)
携帯を取り出し歌えそうな曲を探す。
(そもそもカラオケすら行った事ないんだぞ、)
「............Ju●tin Bi●berのWhat do you m●an?でお願いします。」
勇逸スローテンポで何とか歌えそう、と言う理由で選曲した。
「あぁ、確かに声質は近い物がありますから良いですね。」
全然違う気がするのですが........
「其れでは準備が整いましたので、レコードの方に行きましょう。」
※トレーナーは全員男である。
What do u mean♪
Oh, oh, oh, what do you mean?
恥ずかしすぎる。結構な人の前で歌っているのだ。其れもど素人である自分が。
「はい、OKです。」
トレーナーさん達は各自に耳打ちをしたりコソコソと何やら話をしている。不安でしょうがないが、此れが今の俺の全力の実力なのだ。
「ジョンさん、..............」
一人のトレーナーが顔をうつ向け自分の名を呼ぶ。
(..........ダメだったか?)
冷や汗を流す。
「ジョンくん、貴方、本当に素人ですか?」
「素人ですよ。」
各トレーナーは目を見開き拍手をし始める。
「素晴らしい!本人が歌っているのかと錯覚してしまいましたよ!!」
「一月の訓練でこうなると、半年後に控えるビッグステージは凄い事になりそうです!」
トレーナーさん達は何やら興奮気味に自分の歌唱能力を評価してくれた。
「其れでは来月に放送される『アメ●カズ・ゴット・タレント』、収録は明日ですが、既に枠はとってありますので頑張りましょうね!」
「知名度を上げるにはうってつけの番組ですので。」
「ちょ、ちょっと待ってください!収録、明日?いやいやいや無理ですよ、いきなり!」
「気合があれば十分に行けます。其れに審査員二人は女性ですので、確実に殿堂入りしますよ。」
「うっ、そ、そうだ、オーディションは?確か、あの舞台に上がるには数段のステップが必要のはず!」
「一様が全て手配をされておりますので心配ご無用。特別枠というものですよ。」
不正ではないか!
「其れでは先ほど歌われた曲ともう一つの曲を歌って頂きましよう。」
話がどんどん勝手に進んでいく。
(...............自由が欲しい)
Animeの世界からようこそ!40件もブクマが行ったぞ!嬉しい!




