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冬美雪の劣情 EP13

私は何をしているのだろう。


先輩にただ自分を見てもらいたかった。


ただそれだけなのに。


私は嫌われた、


理由なんてわかってる。


でも女の子は誰だって好きな人には見てもらいたいんだ。


嫌われたままでは終われない。


せめて、先輩の心に私が在り続ける方法。


何だろう。


...............


「................ああ、見つけちゃった♩」


「雪、良い加減に教えて頂戴。学校で何があったの?一月も部屋に引きこもって、虐められてたの?お母さんに言いなさい。もし虐めがあったのなら教育委員会に_」


「チッ..........うるさいな放って置いてよ」


冬美は部屋にある物を扉へと投げつける。


「邪魔しないでよ...............ふふ、先輩の元に向かいますから安心して下さいね」


部屋の隅で爪を嚙る冬美。母は心配して部屋の外から話続けるが冬美の耳には既に届いていなかった。


「.........雪」


母は朝食を起き一階へとおりて行く。



「あの、部長、瀬名先輩は今日、部活には来ますか?」


春風は三年の演劇部部長へと聞く。


「はぁ、またか。彼奴はもう来ないって言っただろ。一月前にお前が再入部する際にすれ違いで辞めたんだ。」


「わ、私は、信じられません!」


「信じる信じないの問題ではなく事実だ。彼奴にも事情ってものがある。」


春風は納得していないと言う表情をとる。


「一つ言うが、冬美の為でもありお前の為でもあるんだ。彼奴の気持ちも少しは汲んでやれ。」


複雑な心情だった。戻りたいと常に思っていた演劇部に瀬名先輩がいない。


(私は如何すればいいの.......先輩は私に何を感じたの?)


先輩が雪に対し一言言った後に私はある一言を言われた。


"お前は輝ける。逃げるな、自信を持て、奏。"


あの目は本気だった。


(ウチなんか、何もない.....先輩の期待に応えられるような凄い女じゃないよ。)


「そう言えば、瀬名が言っていたな。お前はしっかりと身嗜みを整えれば美人だと。取り敢えず、その邪魔ったい前髪を切って見たら如何だ?」


部長はそう言う。私は顔を赤くした。瀬名先輩が私を美人だと言ってくれたのだ。嬉しくない訳がない。


「わ、私、今日は帰ります......」


今すぐにでも瀬名先輩の希望に合わせたい。


「お、おう。」


言うまでもないが春風はこの後、美容院へと直行するのであった。



「此処が、冬美の家か。」


その頃瀬名は冬美の家の前へと立っていた。


(彼奴が不登校になって一月がたったと聞いた...........)


思いつめた表情を見せる。


「此れは俺の責任でもある、」


瀬名は頭を掻き覚悟を決める。


ピンポン!


冬美家の鐘を鳴らす。


「はーい」


インタホーンから母親らしき声が聞こえて来る。


「こんにちわ。雪さんと同じ演劇部二年の瀬名ジョンと申します。雪さんとお話がしたく伺いましたが、宜しいでしょうか?」


「.................ちょっと、待ってね。」


すると玄関の扉が開き母親らしき人物が出て来た。


「う、うわ、凄い男前ね、貴方。」


母は自分の顔を見るなり赤面する。そして何故か嬉しそうに家の中へと案内してくれた。


「雪は上にいるわ。あ、あの、少し、私とお話、しない?」


モジモジと冬美母は胸を強調して来るが用事があるのは冬美雪だ。


「雪さんと少しお話をしてからで良いでしょうか。」


「え?あ、う、うん!」


その母は冬美の部屋まで案内すると自室へと急いで戻った。何故かシャワーをする音が聞こえて来るが何故だろうか。


コンコン コンコン


「うるさいな!学校には行かないって言ってるでしょ!」


部屋から大きな物音が聞こえて来る。大方、何か物でも投げたのだろう。



「冬美」


先輩の.........声?


「瀬名......せん.....ぱい?」


「そうだ。」


静かに扉を開くと恋い焦がれていた先輩の姿が其処にはあった。


「ああ......ああ」


美しい。瀬名先輩の頰へと手を伸ばす。


「本物だ......えへへ」


「少し、やつれたか?」


私は瀬名先輩が来てくれた事、そして心配してくれている事に感極まり抱きつく。


「瀬名先輩.......瀬名先輩.....瀬名先輩...瀬名先輩......瀬名先輩」


優しく自分の背中を撫でてくれる先輩。私は死んでも良いとさえ思えた。いや、そのつもりだった。


(もし先輩が自分から会いに来てくれなかったら、私はきっと瀬名先輩の前で自殺していたかも知れない。)


「冬美、俺はお前に謝るつもりはない。だが学校には戻って来て欲しい。」


「戻っても、あの芋女と仲良くするんでしょ?もう見たくない、」


駄々をこねる私。虐めていた張本人が何を言っているんだと瀬名先輩は思うはずだ。


「芋女?春風の事を言っているのなら、安心しろ。俺は演劇部を辞めた。此れからはお前達が部活の主軸となれ。」


瀬名先輩は分かっていてワザと鈍感を通すつもりなんだ。


「そんなの嫌、です。」


瀬名先輩がいない部活など肉じゃがに芋が入っていないようなものだ。其れにあの芋女と仲良くするなど不可能だ。


「冬美、お前には演技力がある。その道を進めば女優になる事が叶うかも知れない。」


瀬名先輩が一緒に進んでくれるのならばもちろん喜んでついていく。一緒に東大へ行こうと言われれば全力で勉強だってする。其れほどまで私は貴方を愛している。


「買い被り過ぎ、ですよ。」


私の道は決まった。瀬名先輩が期待した以上、女優になるしかない。言葉では反対しようが魂が言うことを聞けと叫ぶ。其れほどまで私は瀬名先輩の言葉に忠実な女だ。


「雪〜?瀬名くんを少し貸してくれないかしら〜」


するとトントンと母が自分の扉をノックをし開けた。


「入って来ないで。今、大切な話、して!?」


母の姿に驚く。


「ふふ、瀬名くん、如何かしら?」


バスローブをワザと着崩し下着が見える様な姿で現れる母に殺意が湧く。


「其れじゃあ、瀬名くんを少し借りるわね〜。あ、引きこもっていたいのよねぇ?今はいいわよ♩」ガチャ


瀬名先輩の腕を掴むと部屋から出て行くクソババア。色気付きやがって。許せない。


「おい!!瀬名先輩は私のだー!!」


階段を降りリビングに行くと今まさに先輩の上に跨り襲おうとしていた。


「学校に行きます!」


「お、おう。其れよりもお前のお母さんを如何にかしてくれ。」


「照れてるのかしらぶはっ!?」


私は母へと向かいタックルをかます。その隙に瀬名先輩は家を出て行ってしまった。当たり前と言えば当たり前なのだが最悪な印象を与えてしまった事に後悔と失念を感じる。


「ねぇ、お母さん、私、転校する。」


いつか瀬名先輩に許して貰えるような立派な人間になる為にも、私は再スタートをしようと思う。


過去の事は水に流し前に進みます(ま〜ん)!と言う事で冬美雪編は終わりや!てかブクマ440超えたぞ!前話は430台へと突入したばかりやのに!一体如何なってるんや!?420台をずうっーと彷徨ってたんやぞ、ここ数ヶ月!お前らツンデレすぎぃ!!


次は誰書くか決まってない。感想で希望くれ〜

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