九条香久耶の恋色 EP3
リクエストにありました九条香久耶ルート始まりますよー!
因みにこのルートは真一と海斗が事故で死なない世界にのみ起こりうるルートだ!
「会わせて下さい。」
九条香久耶に頭を下げられる。真一はため息を吐きポケットから携帯を取り出す。
「懲りないな、アンタも。他の奴らは何があったかは知らんが瀬名さんを見守る会とやらを連盟したぞ?其れに加入しなくても良いのか?」
瀬名母の制裁を受けて以降、海斗の"元"ハーレム一団は静かになっていた。其れもその筈、ぶりっ子である蒼井花が此れは何かの間違いだと再び瀬名家へと訪問し撃退されているからである。其れも完膚なきまでに、だ。
「私くしはあの方々の様に諦めたつもりは有りません。瀬名様に許可を貰い頂くまで私は挑戦して行く所存です。」
因みに九条は制裁時に居合わせなかった為、鉄拳制裁を受けていない。そのお陰か、未だに瀬名を追い求めている節がある。そんな九条を見て覚悟が硬いなと笑う真一。
「もう既に半年は俺の所に通い詰めているが、俺は俺が一人前になるまでには連絡しない約束をしてるんだ。其れを破る訳には行かない。」
真一は眼を瞑り考える素振りを見せるとポケットから鉛筆を取り出し九条へと訪ねた。
「だから、瀬名さんの番号を特別に教えてやる。何か書くものはあるか?」
本来ならば教える事はしないだろうが、流石の真一も九条の熱意にやられ降参する事にした。
「真一さん!」パァ
表情を輝かせ真一の手を取る九条。真一は其れを振りほどき早く紙を貸せと言う。
「一応注意はしておくが、此れは"誰"にも言うな、良いな?」
元ハーレム団員を指し"誰"と言う真一に深く頭を下げる。
「此れは少しばかりの気持ちですが、受け取って下さい。其れでは御機嫌よう。」
九条は自分の財布からチケットの様な物を取り出し何かを書き込んでいく。そしてその紙を真一へと押し付けると即座にその場を後にした。
「一体何なん.......一、十、百、千、万.................一億........」
真一が受け取ったのは九条家の紋章とサインが書かれた小切手だった。
「受け取れねぇよ、こんなの、」
真一は床へと倒れこみ空を見上げる。
★
その日の夜、九条は屋敷の寝室にて自身の携帯を眺めていた。真一から受け取った番号は既に自身の携帯に入れている。後は掛けるだけだ。だがその一歩を踏み出せないでいた。
「うぅ、わたくしにゆうきをくださいぃ」
子供の様に甘い声を出す九条。そして着信のボタンへと手を掛ける。
プルルルルル プルルルルル
緊張の余り九条は携帯の周りをぐるぐると回っていた。
「.........もしもし。」
瀬名の声が携帯から聞こえてくる。其れも自分の携帯からだ。
「?」
「は、はぅ!」
言葉を噛んでしまう九条。
「はう?.......もしもし、どちら様でしょうか?」
流石に此の儘では切られてしまうと九条は自身の頰を叩き喝を入れる。
「お、おほん、せ、瀬名、さま、お久しぶりで御座いますわ。わ、わたくしのことを、お、お覚えでしょうか?」
噛み噛みながらも何とか言葉を出せた事に胸を撫で下ろす九条。
「...........えぇっと、ごめ「く、九条家次期当主、香久耶でしてよ。」
謝られる前に名乗りを上げる九条。
「九条、さん?.........電話番号は教えていなかった筈だけど、」
九条は警戒されていると感じ即座に真一の名を出す。
「真一さんが教えて下さいましたわ。」
「そうか、真一が。」
感慨深く言う瀬名。
「あ、あの!もし、よろしければ今度の休日に会っては頂けないでしょうか?」
「其れは........「真一さんから許可は貰いましたわ!」..............はぁ、分かった。」
勿論許可もクソもあったものでは無いがこれ以外に瀬名を確実に誘う方法が見つからない。
「夜分遅くに連絡をしてしまい申し訳有りませんでした。其れでは後日、連絡をさせて頂きますわ。お休みなさい。」
これ以上は話が持たないと即座に会話を畳む九条。瀬名もおやすみと言うと着信は切れた。
「や、やりましわ!私はやりましたー!!」
携帯を胸へと抱きガッツポーズをする九条。そしてベッドへと寝そべり録音をしていた瀬名の声を繰り返し聞く。
「うふふ、諦めない女!其れが九条なのですわ!」
★
「其れで俺の名前を出した、と。」
翌日、真一に対し頭を下げる九条の姿が其処にはあった。
「え、えぇ。どうか許しては下さいませんか。」
「はぁ.......もう言っちゃったもんは仕方が無いが、今度からは事前に連絡をくれ。俺の名前を出して好き勝手されると瀬名さんからの信頼が無くなるだろうが。」
真一は嫌悪感丸出しで九条へと睨みを効かせる。
「わ、分かりましたわ。次回からはそうさせて頂きます。」
頭を再度下げる九条。
「其れで九条は今度、瀬名さんと出かけるんだよな?」
「ふふ、そうですわね。」
心底嬉しそうに言う九条に真一は釘を刺しておく。
「余り瀬名さんが嫌がる事はするなよ。あの人、ああ見えてセンシティブな人だから。」
「分かっておりますわ!わたくしが最高の"でぇと"と言うおもてなしをさせて頂きますので心配ご無用!」キリ
(余計に心配を感じるんだよなぁ、)
真一はジト目でデートの概要をウキウキと話す九条を見る。
(嘘........でしょ?何で彼奴にっ)
二人は屋上にて会話を繰り広げているのだがその会話を盗み聞きされていることに気づかない。
ブクマ千件取ろうと思えば取れる事に気付いた。勿論、テンプレ貞操逆転を書いた場合のみだが。




