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秋山紅葉の初恋 EP2

俺の心は揺れている_


逆転世界に来てからと言うもの常に外出時は警戒をしなければならない。


母は過保護で中々一人では外へと行かせてくれない。たが最近では秋山紅葉を多少は信頼してか外出時にボーデイガード代わりに任せる時もある。もっとも其れは母が忙しいときのみだが。


其れでもあの母から信頼を勝ち取った事には間違えはない。


(...........この胸に来る様な感覚はなんだろう。)


秋山の事を考えると胸が切なくなる。そんな感覚が瀬名を襲う。


(勿論答えは分かってる............)


恋なんだろう。半年近く共に過ごし自身の身を常に案じてくれるのだ。惚れない男がいたら其れは薄情者かカマ野郎だ。


確かに身を案じて守ってくれようとする女性は逆転する世界以前にも無数にいただろう。だが彼女達は最後には肉欲を欲し自分を襲う。何度も裏切られて来た。


(でも..........)


何故秋山は自分に手を出さないのだろうか。ご褒美として手を握るやら頭を撫でたりなどはしているものの彼女からは一度たりとも手を出された事は無い。


「...........もうちょっと甘えてくれても良いのに、」


秋山が自分に対し猫の様にじゃれてくる姿を想像する。


「瀬名くぅん?紅葉を愛してにゃあ♡」


瀬名は顔を赤くさせ机へと頭を伏せる。


「うぅ......俺は何を考えているんだ。」


此れでは童貞見たいでは無いか。いや、勿論童貞なのだが。


ピンポーン!


家の鐘が鳴る音がする。瀬名は急いで一階へと降りドアスコープを覗く。


「...........秋山さん?」


瀬名は急いで扉を開けると秋山が元気良く挨拶をした。


「今日もいい天気ですね!瀬名くん!」


その笑顔に瀬名は胸を高鳴らせる。今直ぐに抱き締めたいと言う邪な感情を捨て秋山へと返事を返す。


「いや、曇ってるよ?」


西側の空は晴れているのだが反対側は曇っており数時間もすれば雨が降って来るのは確かだろう。


「瀬名くんにお出掛けの誘いを掛けようと思ったんのですが、気づきませんでした、」


おめかしもばっちりと決めており此処に辿り着くまで気が付かなかったのだろう。


「せっかく来たんだし、上がって行きなよ?」


「え!?そ、其れは.......」


瀬名は秋山をこのまま帰すのは可哀想だと思いそう言葉にする。


「大丈夫、母さんはいないから。」


「..................」


秋山は何故か深呼吸をすると自分の頰を叩いた。


「良し!女秋山、参ります!」


流石にこの反応を見れば気づく。彼女は何かしら自分に期待しているのだろう。だが自分的には彼女から手を出して欲しい。


「あはは、秋山さんは何時も面白いね。」


「もぅ!紅葉って呼んで下さいって何時も言ってるじゃあないですかぁ!」プンプン


秋山を自分の部屋へと連れて行きお茶の用意をする為に一階へと戻る。彼女が来るのは初めてじゃ無いがこうして二人きりと言うのは初めてかも知れない。



「お、男の子の部屋.......何時もリビングだったから来たことなかったけど......ぐふふ、いい匂い」ジュルリ


秋山はヨダレを垂らしそうになるのを抑え瀬名のベッドの近くによる。


「す、少しくらい、に、匂いくらい.......嗅いでも良いよね?」くんくん


ふぁあああっと嬉しそうな表情を浮かべ瀬名の枕の匂いを嗅ぐ。


「どう?俺の枕の匂いは?」


「はい!最高で.............................」


秋山は尋常ではない汗を流し、ゆっくりと首を後ろに曲げていく。


(うそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそ...........せっかく此処まで築き上げて来た淑女のイメージが)


首を曲げた先にはトレーを持った瀬名が立っていた。


「............ちゃうねん!」


思わずそう口に出す秋山。瀬名はプスっと笑うとトレーを机へと置き秋山の頭へと手を乗せた。


「安心したよ、ふふ。秋山さんもやっぱり女の子だ!」


うぅと恥ずかしそうに顔を俯かせる秋山に思わず抱きつく瀬名。そして付けていたマスクと伊達メガネを外す。


「...........そんな物なんかで良いの?」


「え?」


訳が分からないと言った表情をする秋山に瀬名は苦笑をするとオデコを引っ付け言う。


「紅葉は鈍チンさんだな。」


「い、今、私の名前っ..........」


秋山は鼻血が出そうになるのを気合いで止める。


「紅葉が嗅ぎたいなら物なんかじゃなくて自分で言いじゃんって言ってるの。」


秋山はトマトの様に頰を赤くし唇を噛み締める。


「.......我慢、出来なくなっちゃいますよ?」


挿絵(By みてみん)


ちゅ♡


瀬名は秋山の唇を奪い優しく笑う。


「あれ、今、私、え?はれ?え」


秋山は突然の事に訳が分からず意識を失った。


「うん、望むところだよ。」


そして瀬名は彼女の頭を自分の膝の上に乗せ小さくそう言うのだった。

秋山紅葉の話は此処までや。次回は誰にしようか迷ってる。誰かリクエストない?

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