Episode 50 "オレの物?"
「それで此れからどうするんだ、瀬名さん?俺たち二人じゃあ正直、瀬名さんを守りきれるか分かんねぇ。もちろん、ダチである以上、命を賭けてでも守ると誓うが。」
男らしい発言とは裏腹に真一の容姿の変化か、可愛く見えてしまう。
「勿論、俺も君を守る剣となろう。」
凛々しく言う海。瀬名は頭を掻きながら二人へと言葉を向ける。
「ありがとう」
手で口元を隠しニヤける姿を隠す瀬名。友達が少ない影響か瀬名は友情と言う物に弱い。もっとも真や海のソレが友情なのかは別として。
「.........もう殆どの生徒に顔が割れたと思う。何人か写メってたしなぁ」
瀬名は校舎裏から体育館を除く。
「何時もなら、ケイト達が近くにいるんだけど......何故か今日は来なかった。」
「ケイト?誰だい、それは?」
海が尋ねる。
「俺の従兄弟で同じクラスなんだ。なんやかんや言って、ケイトとクラスメイトの秋山って女の子が中心に俺を守ってくれてたんだ。」
「へぇ!瀬名さんの従兄弟って事はすげぇー美人さんって事だな!」
真はウキウキとした表情で言う。
「確かに。オレも見るのが楽しみになって来たな。」
海も何処か楽しそうに微笑む。
「...........取り敢えず今日、何でこうなったかを説明するよ。」
瀬名は真剣な顔もちで二人へと説明を始めた。今朝のレッドカーペット事件、そしてi3が暗躍していた事などを。
「「許さない!」」
二人は拳を握りしてめギロリと目付きを鋭くする。
「.......ん?待てよ、i3って........確かメンバーの中の二人が海斗、じゃなくて海の事が好きだったような?」
真が何かを思い出したようにそう口を開く。
「............あまり言ってくれないでくれ。」
海は沈んだ顔をする。
「この世界でもモテるんだな。」
瀬名が笑いながらそう言う。
「君ほどではないよ。それに男にモテても嬉しくない。勿論、君を除いてね♡」
あざとい!それに、お前は男だろ( 中身)
「オレだけじゃないよ?真も実は男子からモテるんだよ。i3の一人、レンって子が確か真にプロポーズした筈だよ。」
「うぇ、思い出させるなよ、気持ち悪い。」おえ
以外や以外、この二人は如何やらi3等から好意を向けられているようだ。すると自分達がいる校舎裏へと二人の人影が近づいて来た。
「「見つけましたよ!瀬名ジョンッ!!」」
I3の一人であるレンである。その横にはガクと呼ばれるメンバーの一人もいた。
「........おまえら、何のつもりであんなことをした?」ギロリ
瀬名は鋭く二人に対し睨みつける。二人は一瞬たじろぐが気を取直し瀬名の正面へと立つ。すると二人は瀬名の両サイドにいる真と海を発見し驚愕の表情を上げた。
「な、な、な、何故、真さんが、こ、こ、こ、こんな、、所に!?」
「う、う、海様、までも、な、何故、」
驚きのあまり腰を落としてしまうレン。ガクも同様、顔を赤面させもじもじとしだした。
「おい、聞いてんのか?」
「貴方は少し黙ってなさい!」
「は??」
こいつ、一体何様だよ?
「一体、何故ですか、真さん。私は貴方をお慕いしております。私の身ならば好きにして下さってかまわないと、以前お誘いをした際に申し上げました........が、貴方様は其れを断った。とても淑女的で聡明な方だと尊敬の念を感じております........何故、貴方は彼の近くにいるのですか......私には魅力がないのでしょうか?」
下を俯くレン。真は複雑な表情をとるが瀬名の存在を再確認し、彼の腕へと引っ付く。
「な、何し「気持ちは有り難いけど、オレは瀬名さん以外の男に興味がない。其れにアンタらが瀬名さんに迷惑を掛けたのはこの目で見てる。悪いけど、仲良い奴イジメる奴に向けられる好意程気持ち悪いもんはないわ。」
レンは涙を流し瀬名を睨みつけると今一度真へと視線を戻す。
「容姿だけの男よりも私を選んで下さい!不快な点があるのなら、私は其れを直します!真さんの望む男になりますから.....」うぅ
両手で涙を拭いながらも気持ちをぶつけるレン。
「ごめん」
こんな少女漫画的なシチュに巻き込まないでくれと言いたい。いや、この世界だと少年漫画か。
「海様も、なのか?」
「俺かい?もちろんだよ♡」
ガクも恐る恐る尋ねると真とは反対の腕に海は引っ付き身体を押し付ける。
「そんな........馬鹿な」ブワァ
ガクは静かに涙を流す。
(うわぁ.....泣いちゃったよ。てか泣きたいのはこっちなんだけど。)
現実世界で考えるこの状況は女の子二人を泣かせているのと同義なのだ。そして原因が敵視していた女の子に好きな男を取られると言うものだ。それも二人も。
「被害者ぶるのやめてくれないかな?アンタらのせいで、此れからの私生活に影響が出るの俺なんだけど。」
瀬名はストレートにそう告げる。
「......言い様ですね。貴方のその言葉が聞けただけで復讐のしたかいがあると言うものですよ。」ぐすん
鼻を啜りながらレンは瀬名を嗤う。瀬名は呆れたように溜息を吐くと海と真を自分へと引き寄せレンとガクへと見せつける。
「アンタらの好きな真や海は俺の物だ。羨ましい?羨ましいだろぉ?え?ほらほらほら!こんな事だって俺の自由だ!」チュチュ
瀬名は見せつけるように真と海へと頰づりをしたりほっぺへとキスをしたりした。される二人は顔をトマトの様に真っ赤にし蕩けるような視線で瀬名を見つめる。
「も、もう、やめて、下さい」うぅ
「やめてくれ.....お、俺には、た、耐えられ、ない」バッ
ガクは耐え切れづその場を走り出してしまう。レンはその場へと崩れニヤけ顔をする瀬名を殺意のある視線で見上げる。
「此れが、復讐の復讐返しって奴だ」ムフン
「くっ、........覚えておいて下さい。絶対に私は貴方の毒牙から真さんを救い出してみせます!」
レンは立ち上がりガク同様にその場から逃げるように走り出す。瀬名は鼻を高くし気分を良くした。すると抱き締めていた真が自分の制服をくいくいと引っ張る。
「せ、瀬名さん、さ、さっき行った事は、ほ、本当なんですかぁ?」
「?」
「俺が............瀬名さんの物だって事//」
上目遣いで聞く真を一瞬可愛いと思う瀬名だが中身が男である事を思い出し邪念を捨てる。そして瀬名は一度、二人から離れて頭を下げる。
「ごめん!さっきは勝手な事言って!嫌だったよな、男の俺が無理やりほ、ほっぺにキスしたり......其れに俺の物だ何て言って軽い仕返しの為に使ったりして.......」
二人は携帯を取り出す。
"真や海は俺の物だ"
瀬名が顔を上げると録音された音声が真の携帯から再生されていた。
“言質は貰った♡”
「へ?」
二人はジリジリと自分へと近づいてくる。瀬名は一歩下がるが壁へと押し付けられてしまった。欲に言うダブル壁ドンである。
「オレは瀬名さんのもんだ、違う何て言わせねぇーぜ♡」
「真の言う通り、オレ"達"は瀬名さんの所有物だ。いつだって犯してくれて構わ無いよ?」
「は?瀬名さんはオレが瀬名さんの所有物だって言ったんだ!海はどっか行ってろ!」
「君は昔から意地が悪いね?瀬名くんは真と海は、と言ったんだ。理解力もない君にはほとほと呆れるよ。」
「あ?」
「ん?」
言わなくても分かるだろうが二人は取っ組み合いを始める。瀬名はただ黙って其れを傍観した。
(..........オレで争ってるようで悪いけど、お前ら男だよね?)
Episode60以内にこのストーリ終わらせたいから次話から文量を増やそうと思う。




