Episode 43 "進級日の朝"
妹、それはアニメ界へと深く関わる諸君からすれば偉大で尊き存在だと感じるだろう。例えばだが、君達に友人がいたとする(いない人はイマジナリーフレンドを思い浮かべてくれ)。そして、その友人に妹がいると仮定しよう。
「お前、妹いるって良いよなぁ!」
「あ?別に良くねぇーよ。彼奴、いつもキモいとか言ってくるしよ、」
此れが現実で何度起きた事だろう。この質問をする度に似た様な返答が返ってくるのだ。ごく稀に仲が良いと言う回答があるがラノベやSS程の仲の良さは幻想だ。
「お兄ちゃん!起きて、朝だよ!えへへ、起きないと毛布の中に一緒に入っちゃうんだから//」
此れをもし妹がいる人が想像すれば気色悪いと感じるのは確かだが、二次元になるととてつもなく威力がある。それでは弟の場合はどうだろう?
「おい、兄貴(姉貴)!遅刻するぞ!起きねぇなら俺も毛布の中に入るからな//」
犯罪である。どちらの意味でも。
「さて、今日から中学三年生な訳だ!」
伊都がケイトの頭を撫でる。
「子供扱いするなぁーデス!ぷんぷん」
伊都の手を振り払いリビングへと向かうケイト。伊都はその姿を目で追い微笑む。
(.........あれ?この家に来てから、ケイトの奴........口がもっと悪くなってね?)
表情は微笑んでいるのだが目が笑っていない。
「おはよようございます、伊都叔母さん。」
ふあ〜と欠伸をしながら階段を降りてくる瀬名。その可愛らしさに伊都はじゅるりと涎を垂らしかけるが直ぐに袖で拭き瀬名へと挨拶を返す。
「おはよう、ジョンくん。今日もいつにもまして可愛いわね?食べても良いかしら?」
「ダメです。」
ガクリと首を前に倒すと背中をポンポンと優しく叩かれる。
「朝ごはん.....食べに行きましょ?」
上目遣いをする瀬名。
(ぐはッ!?なんつー威力をしてやがりますかージョンくんはー!)
目を逸らし赤面する伊都。
「親戚じゃなかったら此処で確実に犯してたわ。」
「聞こえてますけど........」
苦笑いをしつつ言う瀬名に優しさを感じる伊都。そして二人がリビングへと着くとケイト、アルセ、一が席に座り朝食を取っていた。
「グッドモーニングデース!」
食事を放り出し瀬名へと飛び掛るケイト。
「おーよしよし、良い子だ!」
それを綺麗に受け止め頭を犬の様にワシャワシャとする瀬名。
「絶対に愚姉の娘の事、ジョンは犬か何かだと思ってるわね。」
ケイトの生態を共に過ごす事で理解した一は瀬名の反応を見てそう分析していた。
「そう、じゃあアルセも混じるね?お兄ちゃんー!」ダキ
アルセもケイト同様、瀬名へと抱きつきマーキングをする様に瀬名の身体へと全身を使って擦り付ける。
「あ、アルセ//」
流石の瀬名も大胆なムーブに翻弄され距離を取ろうとするが、アルセにより抱き止められる。
「お兄ちゃん、にぃに、兄貴、お兄、にいちゃん、ジョン........どれが良い?」
目をキラキラさせながら聞くアルセに瀬名は苦笑いをするが瀬名もアニメを嗜む一紳士。勿論願望はある。
「じゃあ.......にぃにで、お願いします//」
「にぃ........に?」
興奮のせいで鼻息が出そうになるところを気合いで食い止める瀬名。
「おばさん、何してるデ「にぃに//」かぁーーーー」ドサ
一により投げ飛ばされるケイト。そしてアルセとは反対のもう一つの腕に引っ付きにぃにと瀬名を呼ぶ。
「.........えっと、母さん「にぃに//」........ちょっときつ「にぃに!」....................「にぃにぃ!?」
母親が自分の妹を演じる姿を想像してほしい。何とも言えない気持ちになるのは、当然だろう?
「おばさ、あ、間違えた......お母さん、"にぃに"が嫌がってるから離れた方が良いよ?」ニヤ
ドス黒い笑みを浮かべ瀬名の見えない後部から言うアルセ。一はギリギリと歯軋りをし小さく文句を言い返す。
「貴方もにぃになんて呼べる年じゃあないくせに」ボソ
二人は瀬名から距離を取り視線をぶつける。
「あ?」
「ん?」
二人はレスリングが如き取っ組み合いを始めた。瀬名は先に食事を取っている伊都の隣へと座り朝食へと手をつけ始めた。
「今日も平和ねぇ」
ニコニコと微笑みながら瀬名の太ももをいやらしく撫でる伊都。
「............平和を下さい」
ブクマがされたり解かれたりが頻繁に起きてるんですけど!誰だ解いてる悪い奴は!!応援しやがれー!てめぇーの家に遊びに行くぞコノヤロー!!




