Episode 42 "アルセとイッチー"
井門アルセなる妹が此処に来てから早1週間。母は母で何処か様子が可笑しく常にそわそわしていたので様子を聞いて見たが何でもないとはぐらかされた。
(そもそもあの母さんが怒らず、逆に後ろ向きなところが可笑しい.....)
しかも何故か妹(仮)なるアルセはこの家に良く馴染んでいた。
「あ、アルセ!今日は私のTVのチャンネルを見る番デスよ!」
「イトコ......ニコロ◯オンは子供向け番組.....飽きた....ツマラナイ」
「はぁ此れだからシロウトは困るデス、世界的にもFamousなスポンジ◯ブが放送される児童向けテレビチャンネルデスよ?面白いに決まってまーす!」
馴染みすぎぃ!てか自分で児童向け言うとるやん!
(伊都さんも伊都さんで何んやかんやで仲良くしてるし.......ホント、ハサウェイ家はコミュ力に置いては天下一品だな。)
アルセが現れて次の日からケイトと良く一緒に行動をしているのを目にする様になった。つい昨日にはケイトがアルセを連れて秋山の家に行くのを確認したし。
「あ、セナ.......新学期からアルセもセナと一緒の学校に行く。」
裾を掴まれ耳元で小さく言うアルセ。正直、マジで可愛い......
(...........もぅ、いつも通り.....流れに任せて良いかな?)
瀬名はアルセについて難しく考える事をやめた。元来、瀬名という男は大雑把で明るい男だ。ただ、女性からの度重なるアプローチによりちょっと捻くれて目付きが鋭くなった美人に過ぎない。
話は遡りアルセが来た日、一は夜にアルセを自室へと招いていた。
「さて、リディアだかイチだかに名前を変えた逃亡者さん.......何?」
軽口を叩きながら入室するアルセ。一は自室にて真剣な顔をして正座をしていた。すると一はその場へと座り込み頭を地面へと頭を下げる。
「す、すいあせんでしたぁ!!!」
アルセは一をゴミを見る目で見下げ小さく告げる。
「セナは皆んなで育てるって言ったよね?」
「うっ.......それは」
アルセは小さく息を吐き一を罵倒する。
「何で連れて行ったの?バカなの?.........セナが赤ん坊の頃は可愛かったね....皆んなで成長して行く瀬名を愛でるって盟約を交わしたんだけどな........でもどっかの誰かさんがセナを連れて消えたから楽しめなかったなぁ........何で連れて行ったの?何一人で楽しもうとしているの?アルセイド'達'、皆んなの生き甲斐を何独り占めしようとしてるの?ねぇ何で?何で?何で?何で?何で?何でぇ?」
アルセは一に超至近距離でドス黒い眼を覗かせるそう口にする。一は涙目になりつつ立ち上がり幼児にの様に駄々をこねはじめた。
「だ、だって!ジョンきゅんが......すっごく可愛かったんですもの!愛おしかったんですもの!みんなで楽しむ?出来ないわ!私には....ジョンk「もういい」
蔑む様な目指しで一を見るアルセは一の発言を止める様に言う。
「.........そ、それに.....貞操は私が絶対一番に欲しかったのだし.......」ぐすり
一はその場へとへたり込み静かにそう口にした。
「そう.....では今からセナに貴方とセナには本当の血縁関「言わないでぇ!私はジョンとの関係を壊したくない......わ。」
懇願する様に縋る一にアルセはため息を吐き部屋に飾ってある瀬名の幼少の頃の写真立てを見て目を瞑る。
(アルセが黙っていれば誰も此処には辿り着けない。それにこの状況を利用すればセナの初めてはアルセのもの.......ふふ、あとリディアも消せれば完璧だね。)
アルセは一に見えない様に邪悪に笑い一へと振り返る。
「他の奴らには言わないよ.....でも、一番目は..............このアルセが貰う。」
沈む目を見開き首を横に振りながら拒否をする一。
「ダメよ!ダメ!絶対にダメよ!それは絶対にダメ!何がダメかって?ダメがダメでダメって事よ!わ・た・しが絶対に最初だわ!童貞を貰うのは私!そもそも私以外にジョンの身体に触れて欲しくないもの!」
一は断固としてアルセの宣言を拒絶する。
プルルルルル プルルルル カチャ
↑アルセが電話をかける音
「アルセだけど、レイ「ピッ!」
一は即座にアルセから携帯をもぎ取り着信を切る。
「ふー.......ふー.........ふー........ふー......」
一は息を整え天井を見上げた。
「あぁ.....此れも試練なのかしら.......幾度の死線を越え、ようやく花を摘み取る一歩手前まで来たというのに......邪魔をする収穫者が現れてしまったわ。」
まるで神にでも祈りを捧げる様に独り言を口にする一。
「........それで、どうするの?」
アルセは問う。
「.........ジョンきゅんが18までになるまでは手を出さないとお互いに協定を結びましょう。」
「今年で確か.....15になるんだよね。あと....三年。短くもあり長いね。」
アルセは顎に手を当てそう言う。
「童貞を貰う事は譲れない。だから.......18を超えて先に奪い取れた者がジョンきゅんの貞操を手にする事が出来る.....と言うのはどうかしら?」
一はそう言うとアルセは静かに微笑みを浮かべ言う。
「母親の立場に着いたぉまえが息子とセッ○ス出来る訳ないだろ、ばーか。」
一のこめかみに血管が湧き顔を赤くしアルセに言い返す。
「妹って宣言した貴方こそ、近親相姦ではなくて!!」
「ふ、甘いね。こんな可愛い妹がいたら手を出さない兄はいないよ?あぁ、溺愛されちゃうなぁ。」チラ
「あ?」
「ん?」
二人はとっくみあいを始め、まる二時間程それが続いたと言う。
「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」
「ふしゅ.......ふしゅ........ふしゅ......」
二人は息を上げその場へと倒れていた。
「いいよ、お前の条件に乗るのは癪だけど乗ってあげる。」
「.........感謝をするわ......それと、この事は'私達'だけの秘密にしてちょうだい。」
アルセは立ち上がり一へと言う。
「.....もちの、ロン」




