Episode 38 "終わり"
「さて、ジョンきゅん.......何でこんな事をしたんですか?」
家へと連れ戻された瀬名は正座をさせられ前にはコーヒー肩手に蔑む様な視線を送る母、一。
(なぜに敬語ですか......怖いんですけど.....)
「ほ、ほら?オレってモテるでしょ「ジョン、アンタ、ワタシガシツモンシテルンダカラシンジツヲイイナサイ」は.....はい。」
言い訳をしようとした矢先、一はそれを見透かしたかの様にどす黒い眼で自分を見てきた。次、下らない事を言おうとすれば犯すと目が語っている。
「友達が出来たって前に話ししただろう?」
「えぇ、真一くんだったわね。」
これまでのあらすじを素直(ちょっと改ざん)に全て話をすると一はため息を吐き瀬名の頭へと手を置いた。
「アンタ、中学まではいろんな事に手をツッコンで迷惑を掛けて来たけど、高校では大人しかったから心配してたのよ。」
母モードの一はかなり常時とは違う雰囲気になる。正直、この状態のままでいて欲しいと切実に思う。
「でも良かった。ジョン、アンタがまだ、困ってる人を助けようとする男で。」
嬉しそうに自分を抱きしめる。だがその抱きしめる力に更に力が込められる。
「か、母さん...痛い」
痛がるが一は止めない。
「......でも、ダメよねぇ。真一くんを助ける為にしたことはしょうがない......しょうがないけど.....何処の馬とも知れない雌共とあれだけ密着をされているのを見ると.......ワタシ、アタマガクルッチャイソウ」
瀬名は胸に押し付けられ、一の表情を見る事は叶わなかった。だがもし仮に見ていたとすれば、瀬名は母を得体の知れない何かだと感じていただろう。
「今回はあの雌達は生かして上げる」ボソ
ボそりと小さく漏らす母の台詞に恐怖を覚えるが、同時に安堵も感じた。そしてこの体勢は午前十時から午後四時の間、ずっと行われた。勿論、その日の学校は無断欠席である。
「はぁ.....はぁ.......真一っ」
瀬名達と別れてから駅へと辿りついた海斗は真一が大きなカバンとトランクケースを持ちながら自分の電車を待っている姿を確認する。
「.......海斗」
つまらなそうに海斗を見る真一。
「オレは.......全部、無くなった.....友達も好きだった女性達も.......自業自得だろうって思うだろう?」
息を整え真一の眼をしっかりと捉え自身の気持ちを聞かせる海斗。
「........それでも、オレはお前とは友達でいたいッ!!」
それが海斗にとっての全てなんだろう。だが真一は眼を瞑り首を横に振った。
「......海斗、オレ達はもう友達には.......戻れない。」
真一は眼を開き通り過ぎる反対路線の電車が過ぎるのを目で追う。
「海斗、オレはお前に裏切り者呼ばわりされてから、お前のイジメを止める為に動いていた。」
海斗は眼を見開き涙ぐむ。
「最初は最後のダチとして出来る使命を果たそうと動いたさ.....だがなぁ、お前が、お前のハーレムを崩れて行く姿を見て行くうちにオレは面白いと思っちまったんだ。」
「それは......」
「だってそうだろう?アレだけお前の事を好いてた奴らが尻尾振って違う男の所に行くんだぜ?それも簡単にだ。もうさ、バカバカしくなっちゃってさ、」
「それでも........いい。」
海斗は小さく声を出す。
「お前が俺のことをどう思おうが、助けようと動いてくれた事に嘘はない。」
真一は苦虫を噛むような表情をとる。
「何でお前はッ......いい加減諦めろよ!!もう、てめえの尻拭いは懲り懲りなんだよ!頼むから、オレを放って置いてくれよ!」
話す事は無いと後ろを振り向き歩き出そうとするが海斗により掴まれる。
「ッ......離「オレは、........お前の友達だから、諦められないんだよ。」
優しく笑う海斗に気を許してしまいそうになる真一。
「お前が諦めるのを諦めろってか?はっ!笑わせんな!」
掴まれた手を振りほどき先へと進もうとするがトランクケースに足が引っかかり真一は足を挫く。
「いっ!?」
体勢を崩した真一は路線へと向かい倒れようとしていた。そして運が悪い事に電車は物凄い速度で駅を駈けようとしていた。
(ほんっと、ついてねぇなぁ、オレ)
真一はこれをカルマだと感じ眼を瞑るが叫び声が聞こえ眼を開けると手を伸ばす海斗の姿があった。
「真一ッ!!」
海斗は真一を助けようと手を掴むが真一の重さに引っ張られ海斗自身も路線へと落ちる。既に電車は眼前にあり、助からないだろう。真一は悔しみの表情を浮かべ最後の言葉を海斗へと向け言い放った。
「バカヤロウッ」
その日、二人の男子高生は命を失った。
さて、次話からは逆転の世界へと戻るぜ!感想よろしく(必須)!




