Episode 30 "ですわ口調は必ずアニメに一人は出る説”
「い、今、わたくしのお名前を.....お、お呼びに、」
九条は驚きの表情を上げその場へと膝を再び付ける。周りの群集も驚きの顔を上げ、九条へと視線を移した。
「えっと、君の同級生に真一君っているでしょう?彼がボクの友人で君の名前を聞く機会があってね。」
瀬名は爽やかな微笑みを浮かべながら九条へと手を差し伸べる。
(真一さんと、お知り合い.....でしたの....)
微笑みを直に受け頬を紅く染めると視線をすぐに避け瀬名の手を取り立ち上がる。だが、態勢を崩してしまい、瀬名の胸元へと倒れてしまった。
「も、申し訳ありませんっ//」
全身が熱くなるのが分かる。それ程までに目の前にいる男に欲情してしまうのが分かる自分に九条はこのまま彼に全てを委ねてしまいたいと感じた。麻薬の様に中毒性が高い色香、そして美しさは正に毒だ。
「.....離れなさい。」
一は瀬名と九条の中立に立ち冷めた視線で九条を見下げる。九条の父、家康はマズいと思ったのか九条を瀬名から引き剥がすが、九条は名残おしそうに瀬名だけを見つめていた。
「香久夜、眼を覚ましなさい!これ以上、九条家の面を汚すつもりか!」
九条の頭を抑え、申し訳ありませんと何度も一に対し二人は頭を下げる。
「面白い人達だなぁって思ったけど、気分が冷めちゃった。君達って何処の人だっけ?確か、九条だったわよね?聞いた事がない名前だけど、まぁ、何はともあれ、ジョンきゅんに働いた無礼は.....払って貰わないと、ねぇ。」
ゴミでも見るような視線に二人は手をその場に付き自分達、九条家の未来が閉じたことを理解する。だが、そんな自分達を助けるが如く人差の光が舞い降りた。
「母さん、彼女はボクの級友の友人だから優しくして上げて?」
「えー.....ジョンきゅんが言うならしょうがないわね!それと、九条だっけ?君、これから、私の傘下に入れてあげる。ジョンきゅんが初めて出来た友達の友達ですもの、恩寵を与えるわ。」
財閥以上の昇格。地獄から天国への帰還。いや、それ以上の報酬に涙を流しながら喜ぶ家康。一の下で働けばどのような貿易、取引にも手を出せ必ず成功がするように社会は動く。地位、異性、財力、全てに置いて成功を保証されたチケッ卜なのだ。しかし、誤った選択を重ねると一に見限られ傘下を脱体させられる可能性もある。そして、因果応報が如く数多の災厄が降り注ぐだろう。
二度、ニつの会社が彼女の元へと入った。その二つの会社は瞬く間に業界内の業績を上げ両社共に世界でも名を知らぬ者はいない程の会社へと登りつめた。しかし、その内の一社が先走り、いろいろと違法な物にも手を出してしまった。一は見切りをつけ即座にその会社を手放すと後ろ盾の失ったその会社は数多のライバル社から標的となり、ひと月も立たぬままに莫大な借金を抱え倒産した。
ちなみに、もう一つの企業と言うのは伊都の父が働く会社である。
「それと、貴方.......ジョンに手を出して見ろ.........殺してやるよ。」
香久夜の近くへと寄り一は耳元で小さくそう呟いた。まるで心臓を鷲掴みにされた様な気分になる。
「善処............しますわ」
一に怯えつつも瀬名の姿を捉えるとそれが無理である事を自覚し一礼をするとその場を去る九条であった。そして、時を見計らったかの様に数多の有権者達が一を取り巻く様に姿を現す。
「わ、私の名前は大前家、当主ッ「いや、わたくしの「オレは」
九条家に続き数々の有権者達が一からの恩寵を授かろうと名乗りを上げるが一は耳を押さえながら瀬名を引き連れメインホールを去る。その姿を追い掛け様と後を追うが黒服達により阻まれ各有権者達は散り散りになっていった。
「はぁー生き返るわ〜!」
身体を伸ばし外の空気を吸う一。瀬名は一の後ろ姿を見ながら問うた。
「ねぇ、......,..母さんの職業って何?」
母は自分へと振り向くとニッコリと笑う。彼女のバックグランドにはラスベガスの某ホテルの様に幾つもの噴水から水が噴射され、美しさをより際立たせる。そして彼女がいつもこの質問をした際に答えるであろう回答を口にした。
「ひ・み・つ」
どうやら、自分が母の素性を知るのはまだまだ先になりそうだ。
170突破ッ!!一話事にブクマ数が10増えるのは勿論嬉しいが.....
不屈の英雄への方も読みやがれーバカヤロー!
てか、ブクマしないなら感想を書いていきやがれー!!寂しいじゃねぇか.....




