新年特別編:普段神社に参りにいかないのに新年だけ神様に祈るって調子がいい件について
「「新年明けましておめでとうございます!」」
新年早々、第一声から声を荒げ瀬名の部屋ドアを破壊し入室する馬鹿三人。
「うるさい.....しかもさっきそれ言ったよね?」
夜の12時まで四人で起き新年を迎え挨拶をして床へとついたはずなのだが......
「もう今日は寝ようよ.....朝の3時半だし......」
目をこすりながら愚痴を漏らしているとケイトと伊都が身を乗り出し瀬名へと訴えかける。
「ジョン!ヒノデを見に行くデス!」
「日の出を見に行きましょう、ジョンくん!」
「.......パス「ジョンきゅんは寝てて良いのよ、私がお姫様抱っこで連れて行くから❤︎」ちょっ!?離して、ねぇ、母さぁーーん!!」
瀬名は一に抱き抱えられるとパジャマのまま外へと連れ出された。外は暗く人は余りいなかった為かマスクや伊達メガネは渡されなかった。
「一叔叔母さん!!ズルいデス!ケイトがジョンを持ちたいデス!」
「そうだそうだ!ジョンくんをよこせー愚妹!」
二人は一へと文句を言う。
「叔母さんだと?お姉さんだろうが!」
軽くキレる一。瀬名は一のお姫様抱っこと言う拘束から抜け出そうとするが圧倒的膂力の差に抜け出せない。
(どんだけ力が強いんだよ、母さんは)
大和撫子な容姿とのギャップに瀬名はため息を吐く。
「よし、後はこの裏山に登るだけだ!懐中電灯は持ったかぁー!「「おー!!」」
一がそう聞くと二人は元気よく答えた。外は未だに暗くそしてこれから森の中に入ろうと言うのだ。
(もうやだ.......この人達、頭が可笑しい.......めっちゃ暗いし怖いし、葉音が不気味すぎる。)
裏山と聞くと先ず第一に頭に来るのがドラ○もんだよね?
「ジョンきゅん.....もっと強く抱きしめても良いのよ?えへへ」
少し怖くて母へと抱きつくとズゲぇ嬉しそうに言って来た。その言葉を聞き恐怖とかバカバカしく思えて脱力した。
「さて、頂上に着きましたよ!」
(いや、はぇーよ!)
入ってから10分も経っていない内に頂上へと着き瀬名は驚愕の表情を浮かべる。
「..........き、綺麗」
そこには街全体と海から今、まさに日の出が姿を現し感動に近い物を胸に感じた。
「良かった、ジョンきゅんにこの景色を見せる事が出来て。」
一がお姫様抱っこをする自分のオデコへと口づけをすると涙を流した。
「何時迄も二人で......一緒にいたいね.....」
瀬名は涙を拭い一へと告げる。
「大丈夫だよ!母さんが寂しいなら、オレが側にいる。だから何時もの元気で綺麗な母さんの顔を見せて。」
(成人しても時間を作って会えばいいし......って言えば確実に拘束、監禁されかねないから言葉を濁して...)
一は瀬名の言葉を聞き心底幸福を感じ笑みを浮かべる。
「ジョンきゅん//」
「一叔母さん、安心して下さい!ケイトがジョンと結婚したらある程度は会いに来まーす、だから心配ご無用デスヨー!」
ケイトは一の手からジョンを強奪するとムフンと鼻を高くしそう宣言するが、
「「は?」」
一と伊都は声を揃えギロリとケイトを睨みつけた。
「おばさんにジョンは興味ないデスヨ?ジョンはケイトみたいなグラマラスでヤングガールが良いデスよね?」
喧嘩腰にそう言うとあろう事か自分に同意を求めて来た。
「............明けましておめでとう!」
だがケイトの質問に答えず皆の祝福を願い瀬名はそう口にするのであった。言うまでもないがその後、数時間にも及ぶ三人の取っ組みが始まり裏山から帰宅したのはその日の夜だった。




