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Episode14 "狂いの序章“

僕の名前は天海夕(あまみゆう)。目を覚ませば自分はこの世界にいた。


世界は価値観が逆転していて今年から中学三年になる自分からしたら正に天国のような世界だった。


「あ、天海くん、おはよう//」


「うん、おはよう、委員長。」


「はぅ//」


学級委員長という役職的リーダーにつく新井三日月さんは僕に挨拶をしてくれた。その挨拶を返すと新井さんは顔を紅くし俯いてしまう。


「大丈夫?風邪でもひいたの?」


新井さんのおでこに手を当てながらもう一つの手で自分のおでこを触る。


「少し熱いね、保健室行こうか?」


手を繋ぎ保険室へと連れて行こうとするが彼女は動かなかった。クラスの女子達はその様子を恨めしく見る。


「委員長、ずるい....」


「天海くん、メガネ系の女の子が好きなの?」


「委員長、調子乗りすぎ。」


その小言が耳に入った委員長は手を離し一礼すると自分の席へと戻って行った。


(新しいゲームが出そうだし、またアレしてお金稼ごうかなぁ。)


天海夕と言う男も新海拓海同様に売りをしているのだ。その外見は細く女の子のようだと言われる程に肌も白かった。欲に言う中性的な容姿を兼ね備える美少年である。


「あ、天海くん、一緒に帰らない?」


「あーずるい!私も一緒に帰りたい!」


「抜けがけ禁止だって約束したじゃん!」


天海はその様子を見ながら笑みを浮かべる。女子はその反応を見て頬を紅くしもじもじとし始めた。


「ゴメンね、今日は少し用事があるから一緒には帰れないんだ。」


両手を合わせゴメンねと謝る姿を見て女子一同は可愛いと心の中で思うのだった。


「最近、新海くん、電話出ないけどどうしたんだろう?」


街の人が通らないような裏路地を歩きながら携帯を弄る天海。


「どうしのー?困り事ー?」


「私達が手伝って上げるよー」


金髪に髪を染めた女性と背の高い女性から声をかけられる。


「ふふ、今日は決まりだ。」


下を俯きニヤリッと口を緩ませる天海。


「お姉さん達怖くないよ〜。」


「そうそう、お姉さん達程優しい人はいないよぉ。」


下を俯いた事でどうやら自分が怖がるっているのではないかと勘違いされたようだ。


「お姉さん達さぁ、僕と今から「おー天海〜!」........」


肝心な台詞の途中で遮られイラつきを感じつつ、声の方向へと顔を向ける。


「新海くん!」


新海である事にイラつきを忘れ嬉しそうな表情へと移る。


「えー何なにー友達〜?君も可愛いねぇー」


「今日はツいてるな、私達!」


チャラい女性二人は嬉しそうにハイタッチする。その様子に新海はため息を吐き天海の顔を見る。


「お前さぁ、まだこんな事してたの?」


塵を見る目でそう言う新海に鋭い目つきで返す天海。


「.....どう言う意味?」


「そのままの意味だよ、バカ野郎。」


「はは、援交の事を言ってるの?あぁそう言う事。君、バレたんだね、さては。ふふ、僕は新海君と同じミスはしないから安心していいよ。」


何も問題ないと言う表情で二人のチャラい女性二人へと視線を戻す天海。


「ちげぇよ、ダセぇーって言ってんだ、バカ。」


その言葉を聞き天海は新海の方へと再び向き直り近くへと寄る。


「何を言ってるのかな、新海くん。君が僕にこの世界を魅せてくれた張本人なんだよ?気でも狂ったのかい。」


「あぁ、狂ってたさ。セッ○スは気持いし、ほぼ声を掛ければラブホまで行ける。金にも困らねぇ、毎日が酒池肉林だ。でも気づいたんだよ、オレがして来た事がバカだったて事によぉ。」


新海は瀬名の在り方、そして彼との邂逅を得て己の未熟さ、そして馬鹿らしさに目を覚ましたのだ。


(あいつは言ってた。この世界に来たのなら上の女を抱けと。其の辺の女に満足するようでは三流だってな。童貞の癖して口だけは回る奴だ。)


「もっとも、あの男の周りにいる女は上の上ばかりだけど性格にはかなり難がある奴ばかりだったよなぁ。」


「あの男?....一人で意味が分からない事をぶつぶつと、新海、君も落ちぶっ!?」


頬に拳が当たり後ろへとチャラい女子二人を巻き込みながら倒れる天海。


「てめぇ、気持ち悪いんだよ、カマ野郎がぁ、あぁん!」


新海は倒れた天海へと馬乗りとなり拳を叩き込む。その最中、頭では瀬名との会話を思い出していた。


「こう言う異世界逆転物に多い主人公ってさぁ、なよなよした中性的な奴が多いけど、現実だといないよね。」


瀬名はそう言葉に出しセリフを続けた。


「そもそもの話し、キモイだろ、そう言う系の主人公。オレは嫌い。もっと男らしい奴が増えて欲しいよな。」


新海は笑いながらその意見に賛同する。


「まぁ、確かにオレもそれは二次創作を読んだ時とかはイラつくな。.....でもよ、それが、読者が求める理想の主人公像って奴なんだろ。特にオタクどもは運動しないからデブかガリのどっちかだからな。」


「それは流石に偏見だと思うけど.....」


その時の会話を思い出し目を開け最後の一撃を天海にくれてやろうとするが天海はポケッ卜からハサミを取り出し新海の腹へと突き刺さす。


「はぁ、いきなり....殴りかかりやがって....」


天海はハサミを引き抜き何度も何度も刺しては引き抜いた。


「ぐっ、いい加減にしろやぁぁオラああああぁぁ!!!」


拳に最大の力を入れ顔面へと叩き込む。天海はその攻撃により意識を失う。拳には血がこびり付き顔は目も当てれぬ程にぐちゃぐちゃになっていた。前歯はほぼ欠け鼻は理不尽な程に折れ曲がった。二人のチャラい女性は腰を抜かし怯えながらその様子を見ていた。


「お前らも、こうなりたくないなら早く去れよ。」


二人はブンブンと頷き逃げるように走って行く。その後ろ姿を目で追いながら新海は立ち上がり壁へと背をつけ座り込んだ。曇りの天気は雨へと変わり二人の男へと強くのしかかる。


「ケジメはつけるさ....この世界で好きかってしてたんだ.....これくらい......」


新海の腹からは血が大量に流れ出ていると同時に意識が少しずつと遠のいていた。


「......オレは......ただ......愛さ....」


瞼が完全に閉じられる。


「..........」


新海拓海の第二の人生は幕を静かに降ろした。


そろそろ物語を動かさないとな!

ブクマもしろよ、Cheapskateども!

〜不屈の英雄へ〜の方だぞ!(怒)

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