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恋つらたん短篇集~クリスマス2013年度企画など~  作者: イサギの人
【クリスマス企画】藤井ヒナサンタ【SS】
30/34

24 【恋して告白して】

ヒナさん「はー」


シュルツ「はー……」


ヒナさん「終わりですねえ」


シュルツ「終わっちゃうねえ」


ヒナさん「まあ一応、この後21時にも、もうひとつエンディングトークを入れて、それでホントにおしまいなんですけどね」


シュルツ「ああ、そうなんだ」


ヒナさん「なんだかんだで、楽しかったですねえ」


シュルツ「うーん、まあそうね。たくさんお手紙が届いたのは、純粋に嬉しかったかな」


ヒナさん「てゆかシュルツさん、さっきどこにいってたんですか」


シュルツ「えっ?」


ヒナさん「いや、あの、途中からいなくなってましたよね」


シュルツ「ああ、うん、ごめんね。急に用事が入っちゃって」


ヒナさん「用事、ですか?」


シュルツ「うん、まあ、うん。ボクあの仮想空間のメンテナンスもしてなきゃいけないからさ」


ヒナさん「……」(ジー)


シュルツ「……」


ヒナさん「……うそ、ついてません?」


シュルツ「いや、ボクは基本的にヒナさんに本当のことは言わないよ」(キリッ)


ヒナさん「え、そんな関係でした? わたしたち」


シュルツ「呉越同舟だよ。狭い船にビッチとふたりだよ。ビチタニックだよ」


ヒナさん「ビッチとタイタニックをかけるのに、少し無理があるようなんですが」


シュルツ「最初の方は、もうちょっと仲良かったような気がするけど」


ヒナさん「今だって仲良しですよー」


シュルツ「人間、自分の天敵と出会ったら、逃げるかそいつを殺すしかないんだ」


ヒナさん「天敵!?」


シュルツ「あの仮想空間では逃げられないからね。戦うしかない」


ヒナさん「シュルツさんは一体誰と戦ってらっしゃるんですか」


シュルツ「そう、人生とは戦いさ、ビッチ……」


ヒナさん「深い、ですね」


シュルツ「まあいいよ、最後のお便りをもっておいで、ビッチ」


ヒナさん「ああもう普通に言っちゃう感じなんですね。しょんぼりです」


シュルツ「大体、サンタの格好もさ、なんで肩出すのよ、て感じだよね」


ヒナさん「用意してもらいましたし……」


シュルツ「本場のサンタさんだって、自分の格好を女の子が大胆ビッチアレンジしているのを知ったら悲しむと思うよ」


ヒナさん「えー、喜んでくれるかもしれませんよ?」


シュルツ「そんなオッサンは夢を届けられないよ」


ヒナさん「でもほら、サンタさんは、子どもにしか夢を届けられないじゃないですか」


シュルツ「いい子だけね」


ヒナさん「その点、わたしは世界中のみんなに愛を届けられます」


シュルツ「なんで張り合ってんの?」


ヒナさん「子ども大人もおねーさんも、みんなです。みんなにわたしは別け隔てなく愛を差し上げます。どんな人でも、です。そう考えると、むしろわたしのほうが本当のサンタさんなんじゃないでしょうか」


シュルツ「藤井ヒナサンタ?」


ヒナさん「藤井ヒナサンタ、です」(キリッ)


シュルツ「でもヒナさんの愛、重いからな……」


ヒナさん「い、今ではそんなことないですよ」


シュルツ「愛を与えた代わりに寿命の半分を奪っていったりするんでしょ?」


ヒナさん「契約の代償とかないです。ノーリスクノーリターンです」


シュルツ「拒否感のないコークスクリューブローみたいな愛は、ちょっと御免被りたいなあ」


ヒナさん「もー、シュルツさんってば、いっつもわたしをそういう目で」(ブー)


シュルツ「はいはい、お便りいこ、お便り」


ヒナさん「はぁーい」


シュルツ「これが最後のお便りです。お名前【中二病継続中】さんから」


ヒナさん「ありがとうございますー」(ペコリ)


シュルツ「【こんにちはヒナさん。ヒナさんのご活躍いつも楽しみにしています。】」


ヒナさん「ご活躍だなんてそんな。わたしはせいいっぱいやっているだけですよー」


シュルツ「【質問なのですが、ヒナさんは現実では大人しくして本来の姿を隠していらっしゃいますが、そんなヒナさんに誰かが恋して告白してきたらどうするんですか?ふと気になってしまったので聞いてみました。】。だそうです」


ヒナさん「あー」


シュルツ「というわけでヒナサンタさん、最後の質問ですよ」


ヒナさん「はい」


シュルツ「どうぞ答えてあげてくださいな」


ヒナさん「はぁい」


シュルツ「お、姿勢を正した」


ヒナさん「わたしが今の高校で告白されたら、という質問なんですけれど」


シュルツ「ん」


ヒナさん「基本的には、告白をされないように、生きています」


シュルツ「というと」


ヒナさん「知っていましたか? 恋心っていうのは、制御できるんですよ」


シュルツ「え、いや、まあ。ヒナさんの話でしょ? それ。乙女ゲーだけで満足っていう」


ヒナさん「いえ、他人の恋心を、です」


シュルツ「ええー?」


ヒナさん「よく『ストライクゾーン』って言葉があるじゃないですか」


シュルツ「あるね」


ヒナさん「あそこに入らなければいいだけの話なんですよ」


シュルツ「いや、そんなこと言っても……」(ジー)


ヒナさん「?」


シュルツ「ビッチさん、割と身ぎれいにしているじゃない」


ヒナさん「えへへ」


シュルツ「はい顔緩ませなーい」


ヒナさん「ごめんなさい。そうですね、あの、容姿や所作のことは、とりあえず置いておきます。それも十分に制御可能ですし」


シュルツ「ふむ」


ヒナさん「とりあえず性格です。わたしは男性と話すときは、完全に彼らのストライクゾーンには入らないように会話を誘導してゆきます」


シュルツ「牽制が上手ってこと?」


ヒナさん「もう少しあざとい、ですね。地味で、口下手で、話題を探せない、一緒にいると空気が悪くなる感じの子です」


シュルツ「はあ」


ヒナさん「そういう人が好みっていう男子に対しては、逆にガサツで、空気を読まなくて、女の子っぽくない感じで対応します。これで言葉を交わす9割の男子からは『あいつ、ないよな』って思われます」


シュルツ「ふうん」


ヒナさん「残りの一割の、人なんですけど」


シュルツ「容姿とかで惚れる男子だね」


ヒナさん「そういう人の視界には入らないように、気をつけます」


シュルツ「どういうことだよ。ステルスかよ」


ヒナさん「似たようなものですね。ようするにミスディレクションです」


シュルツ「は?」


ヒナさん「わたしの注意を他の子に逸らすんですよ。わたしより可愛い子ならいくらでもいますし。そういう子がモテるように仕向けるんです。そんなに難しいことじゃありません」


シュルツ「そんなわけがない」


ヒナさん「まあ、これらを繰り返すことにより、わたしは絶対に誰からも告白されないように生きているんです。地味で、目立たない、日陰の女の子ですね。なので絶対に男子の話題には昇りません。思われても『単なるいい人』止まりですね」


シュルツ「ははあ」


ヒナさん「そんな感じで」


シュルツ「でも、万が一それでも告白されたら?」


ヒナさん「基本的にはありえないんですけれど……」


シュルツ「そういう質問だしね」


ヒナさん「そうですね……まあ、お断りしますねえ」


シュルツ「ふうん」


ヒナさん「すっごく胸が痛いですけど、でも、わたしが恋しちゃうと、その人は基本的に不幸になっちゃいますからね……」


シュルツ「……」


ヒナさん「なので、はい、そんな感じです。恋は秘めるものです。つらたんです」


シュルツ「……ヒナさんさー」


ヒナさん「はい?」


シュルツ「なんか、あれだね」


ヒナさん「なんですか?」


シュルツ「えーと……」


ヒナさん「?」


シュルツ「……大変だな、って思ってさ」


ヒナさん「あれ」


シュルツ「ん」


ヒナさん「もしかしてシュルツさん、わたしのことを想ってくれました?」


シュルツ「いや、まあ」


ヒナさん「え、ホントですか? シュルツさん、ねえ、ねえー」


シュルツ「ほんの少しだよ、気の迷いだよ」


ヒナさん「迷いでも、嬉しいです」


シュルツ「……」


ヒナさん「ありがとうございます、シュルツさん。でも大丈夫ですよ。わたし、毎日楽しいですから」(エヘヘ)


シュルツ「……はあ」


ヒナさん「?」


シュルツ「でもビッチ、こいつビッチ、マジでビッチ、クソビッチなんだよなあ……」


ヒナさん「ラップみたいに!?」


シュルツ「ヒナさんの心に憑いた呪いが早く解けるといいね……」


ヒナさん「そういう物語でもないですし!」


シュルツ「じゃ、これで24通完了だね」


ヒナさん「あ、はい、そうですねー」


シュルツ「シメに挨拶する?」


ヒナさん「そうですね、ここでもいったんしましょー」


シュルツ「ん」


ヒナさん「お礼は大事ですもんね」


シュルツ「じゃあ、えー、お手紙をくださった皆さま」


ヒナさん「お便りを送ってくださった皆さま」


シュルツ「読んでいただいた皆さま」


ヒナさん「とってもとってもありがとうございます!」


シュルツ「藤井ヒナサンタは、残るエンディングトークを持ちまして終了いたします」


ヒナさん「残る1話、お待ちください」


シュルツ「それでは本当に」


ヒナさん「ありがとうございましたー!」


 シュルツより一言:ビッチだってビッチなりに、一生懸命生きているんだよね。ボクたちはそれを忘れちゃいけないよね。関わりあいには絶対になりたくなかったけどね。

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