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第二十七話 土の精霊キルッシュ登場させた俺

あらすじ 道に迷った…いやまだ半迷い!!以上

 



 光喜ご一行は森の遺跡に向かって奥へ進むにつれて分かれ道が多くなる溶岩洞に苦戦する。


 進むと出会う洞窟の二股に分かれている道が進むたびに増えた。


 右と左、どちらかの道を選ばなければいけない。回数を重ねていくうちに本当にこっちの道を選らんで正しかったのかと流石に心の迷いが出てくる。


 5人に沈黙が降りた、確かに安全に通れるだろうが時間かかるねこのルートは、でも蔓の群れを相手にするよりは全然マシなのにちょっとつまると不便さばかりが目に付く。


 一番申し訳ない顔をしているのがエーリオだった、彼が土の精霊を出せれば道案内をさせることが可能だのだが。


 魔術師にはいくつかのステップがある。まずは契約をして次に人間が精霊を通して魔法が使えること、今のエーリオにはここで止まっている。さらに精霊を召喚が可能となり、最後は精霊に自主的に魔法を使わせたら貴方も一流魔術師の仲間入りです。


 自主的に魔法を精霊に使ってもらえば魔術師の魔力を消費しないですむ利点はあるが、精霊は基本的に仲良くなった契約者のみを守るので状況を無視して魔法を発動されると逆に迷惑になることが多い、だから召喚できる魔術師でも自分で魔法を使う。


 まあ重症のピンチになったときに魔法で守ってくれるなど、頼りになる相棒なのは間違いない。


 マリとヨミも現段階では精霊を召喚するのが精一杯で、モラセスの相棒の土の精霊であるルヴュールに道案内や地脈を探させる事は出来てもまだ精霊自身に魔法を使うのを強制できない。


 光喜は容赦なく自主的にグリエ自身の魔力で魔法を使わせているが、光喜が規格外の存在なのでほっといてください。


 お忍びでモラセスがやらせた道案内の「手助け」と土の「魔法」を使って貰うのは別のレベルなのだ、二つの違いは魔力を消費するかしないか。


 別に魔法を使って欲しくはないが。是非ともエーリオの精霊に道案内の手助けはして欲しい。


 「今度はどの道へ行く?」


 光喜がまたまた分かれ道になっている二股の道を指差して皆に尋ねた。


 どちらも森への方向だ、近づくに連れて慎重な選択を何度も迫られもうくたくた。


 剣を立てて倒れた方向で、靴を飛ばして近かった方で、「どちらにしようかな天の神様の言う通り」もやった。


 遺跡はこちらあと~メートルという矢印つきの親切な看板はないものか?(あるわけネェーよ)


 闇雲に歩いていても心と体力が磨り減るのでいったん休憩、俺は腕輪から飲み物を出して皆に渡した。


 「やっぱ、このまま勘を頼りに進むの無理じゃねぇ?」


 率直な意見の光喜に皆は頷く。


 飲み飽きた皮袋の水を腕輪にしまい、今度はこの溶岩洞の地図がないか探してみるがやはり公式な地図…空からノア・レザンを見下ろすのしかなかった。


 「やっぱないか…なあ、精霊ってどうやったら召喚できるわけ?」


 腕輪に触るのを止め双子姉妹に光喜は向き合う。ヨミが自分の足元に手をかざすと独特な紋様が現われ、そこからヨミの精霊ソルベを呼び出した。相変わらずでかい蛾がヨミの手に収まる。


 「手段は2通りあります。精霊にも感情があるので長く付き合い友情を築く」


 こりゃ…無理だ。エーリオはまだ土の精霊と契約したばかりだと言っていた。


 「もう一つは魔力の質と量を一定以上に上げることです。そうする事で精霊も期待に応えて召喚は可能になります」

 「僕は元々武人でありまして余り魔術には向いていないのが本音ですが…」


 エーリオはヨミに申し訳なさそうに付け足した、エーリオは王宮からこのヴァニーユを含め近辺の土地に配属される2年前、伯爵から男爵に降格され貴族として力を落とした自分に力を少しでも身につけようと急いで契約をしてはみたものの、目の前の無理難題な勤めの忙しさから精霊に感心を向けなかった。

 

 光喜は考えた、少ない脳みそで(うるせえな)。エーリオは確かにマリやヨミのように魔術を使うよりは弓で戦うスタイルが性に合っていると思う。しかし魔法はともかく今は道案内をしてもらいたい。


 本当はすっごく躊躇うけどエーリオが飛躍的に魔力を高める方法が一つだけあった。


 俺が魔力を注ぐこと、以前知らないとはいえニーダさんに魔力を注ぎこみ本人もびっくりな魔力の量と質を与えたらしい。


 しかしこれは諸刃の刃であって…まーカラクと双子姉妹がいるから大丈夫だろう。時間ももったいないし。


 よし!こうなったらエーリオを反則レベルアップさせますか。洞窟の地面に座っていた光喜は立ち上がり隣に座っていたエーリオの正面に立つ。


 「エーリオ立ってくれ」


 エーリオは何事か分からないまま光喜に手を引っ張られて立ち上がる。


 「どうしたんだい?」 

 「ちょっと待って…確か前にはこうで…だったかな?」


 とは言っても俺もまだ魔術の新米なもんで以前ニーダさんに魔力を偶然に注ぎこんだ状況を再現してみる。エーリオに背中を向けて俺の手首を捕まえさせた。


 光喜の行動にピンとくるカラクに、何をしようとしているのか傍観している双子姉妹を他所にして、光喜は目を閉じて言った。


 「エーリオが暴走したら救出ヨロシクみなさん」

 「え?本当に何…を?……!!!!」


 俺の魔力は蛇口が壊れた水道状態なんで手加減はできません、エーリオの魔力を感じたら逆に俺の魔力を一気に流し込む。ニーダさんと違ってエーリオの魔力はちょっと系統が違っていた。


 俺の精霊がニーダさんと同じ火の精霊なので土の精霊の魔力を感じるのは初めて、何となく大地のイメージが俺に流れ込む。


 もうそろそろ大丈夫かな?と魔力を流すのをやめる。随分大人しいエーリオに光喜は気が抜けた、いやホッとした。ニーダさんは直ぐに暴走したのにエーリオは動かない。


 意外にニーダさんみたいにエーリオは暴走しないのかな?


 エーリオの腕から俺の体を離そうと動いたがビクともしない、あれ?とか思って後ろを振り返ると真っ赤な顔をしたエーリオと目が合った。潤んだ目はあの時のニーダさんと同じで何かいけない情熱といいますか、欲望といいますか…そんなんかが潜んでいる目だった。


 なんとな~く本能的にやばいと思ったのは最近イロイロ(ここ強調)危険な目にあっている経験だろうなぁ、嬉しくもないなぁ。


 「お許しを!!」

 

 ポキッとエーリオの中で何かが折れる音が聞こえた気がする、エーリオは俺を抱きしめ首に噛み付きやがった!!


 いってぇぇぇぇぇ!!


 ため息をつくカラクに、武器を構えるマリとソルベの首を絞めて絶叫するヨミ。


 「死ね!ゲス!!」


 普段なら使わないであろう言葉と共に、横からヨミが自分の精霊ソルベをエーリオの横顔に投げつけ、ソルベは2バウンドして地面に転がった。彼なりに訴えるものがあったのか羽根を数回ビビっと動かして沈黙。


 完全に光喜しか頭になかったエーリオはソルベをぶつけられて慌てて光喜の拘束を解き、顔を真っ赤なのは当然のこと自分の動揺を表しているのか口をパクパクしながら後ろに後退りをして全速力で光喜から離れ。


 対面の洞窟の壁まで走ると、壁に手をつき自分の額を壁に打ち付けた。しかも何度も。


 静かな洞窟にエーリオの頭突きの音が響く、そろそろ止めないと死ぬかも。と思った矢先に止まったので止めようとした手を下ろした。


 振り返ったエーリオの顔は額から血を流している、あれだけ全力で石とキスしたら…ね?


 フラフラと心もとない足取りで俺の前に戻ると、エーリオは再び勢いよく土下座をした。最初の土下座よりも深々と。


 「……首をお刎ねください」


 いや、ちょっと待って。


 「「いいでしょう、痛みを感じる暇もなく一刎ねてねさしあげます」」

 

 双子姉妹がエーリオの左右に立つ、黒いオーラが彼女たちから溢れ今にも天誅をエーリオに下しそう。勝手に死刑執行をしないで、お願いだから。


 俺は慌てて土下座をするエーリオの肩を持って止める、悲しいかなこういう展開に俺は耐久もついている。


 「気にしないから俺は、エーリオが嫌がると思ったから説明しなかったのも俺が悪いんだから」


 必死にマリとヨミを止めてエーリオに顔を上げさせた。


 「それよりエーリオの魔力レベル上がった?」


 双子姉妹をエーリオから離して光喜は聞いてみる、エーリオも自分の手を見つめ得意とはいえない自分の魔力を探った。


 「はい、これは驚いた…十分に召喚できる。よし、応えてくれキルッシュ」


 自分の魔力の高さと純度に驚きこれなら召喚できると確信した彼は手をかざして意識を集中する、エーリオの足元に光る二重の輪が現われた。


 光喜も何度もみた召喚する際に現われる魔方陣みたいなのだ。


 外側の輪の直ぐ内に独特な形の文字か暗号かが浮かび、もう一つの内側の輪の中心から一匹の獣が出てきた。


 可愛い…エーリオの精霊の印象はただひたすら可愛い。実は動物好きな光喜のハートをキュンとさせたエーリオの精霊は羊ほどの大きさのペルビアン種のモルモットだった。


 ペルビアン種はモルモットの中でも長毛種で、たとえるならスタンダートなモルモットに絹の糸のモップを被せる感じに体の全体が毛で覆われ手足と鼻の先とつぶらな赤い目だけが見えた、ただ耳がウサギのロップイヤーの様に地面につきそうな程に垂れて長く羊なみにでかいのが地球にいるペルビアンと違うけど。


 黙って光喜は自分の葛藤と戦った、鼻をフンとかするなよ。可愛い鼻をフンとか動かされたら…。


 フン


 「可愛い!!超可愛い!!持って帰る!!」

 

 たまらず光喜はキルッシュに抱きついた、抱きつかれたキルッシュは動じず鼻をフンフンさせている。


 思わずマリとヨミは自分の精霊を思い出して駄目だと顔を振る。どうやら彼女らの精霊では光喜の寵愛は受けられないらしい。すぐ側に落ちているじゃなくて…倒れているだろう本人ソルベが、悲しいのかまた蛾の羽がビビっと動いた。

 

 抱きつく光喜はご満悦なお顔でモフ~モフ~している、ヤベ顔が毛に埋まる柔らかい。


 いつまでも土の精霊キルッシュに抱きついている光喜に、カラクは痺れを切らして光喜の首根っこを掴んで引き離した。


 「愛玩動物にするなら事が終わってからにしろ」

 

 唇を尖らせてすねるが、カラクの言い分は正しいので素直にキルッシュから離れた。


 「案内を頼む」


 光喜の首根っこを掴んだままカラクはエーリオに精霊に道案内を頼むとエーリオは頷き、キルッシュは耳を時折ピクピク動かしてサツマイモの形に似ている体を揺らして歩いていく。


***


 再び歩き出した俺たちの一番前をキルッシュが進み、カラクと俺とエーリオと双子姉妹が続く。キルッシュに案内を頼んで遺跡近くまでの道が俺の勘を頼りに選んだ選択のほとんどが見当違いな場所に進んでいたことが判明、俺を襲ってエーリオは穴を掘って埋まりたいぐらい羞恥心を感じただろうが魔力を注いでよかった。


 下手をすれば帰り道すら分からなくなっていたかも、一応は目印つけていたんだけど何が起こるかわからない。


 最初は羊ぐらいの大きさのあるキルッシュに乗って進みたかったがカラクに怒られた、どうしても先頭を歩くキルッシュに乗せられるはずがない。


 不貞腐れる俺に双子姉妹とエーリオに笑われたが、前方からの気配にキルッシュは警戒の唸り声をだした。

 

 それを聞いたカラクは背中から刀を抜く、エーリオも矢筒から矢を出して弓を構える。当然俺も剣を腕輪から出して、マリもスティレットを二本両手に持つ。


 エーリオは先頭に立つキルッシュを元に戻して姿を消させると、耳を済ませる。


 最初は何がいるのか分からなかったが沢山の引きずる音と明かりで原因が分かった。


 前方から現われたのは人間だった、しかも死んだ人間の群れ。10人や20人の人数じゃない、森へ一途の望みをかけて狩りへ出かけたルヴュールの街に住む若者にその救出に向かったエーリオの部下たちが光喜たちに向かって歩いてくる。


 確かにキルッシュは遺跡の近くまで案内してくれたようだ、だから遺跡にいる原罪の霧がとり憑いた蔓を操っている本体の核を守ろうと地下溶岩洞に放たれた死体の群れに遭遇したのだろう。

 

 さっぱり嬉しくはないけどね。


 一瞬で相手が死体だと分かる、腹に穴が空いたヤツやら引き千切られた腕がもろ見えなのに出血をしてなかったり。そもそも顔がグロく黒ずみ目は濁っている。


 これで生きているなら医者はいらねぇ、それ以前に彼らの体からは沢山の小さな蔓が這いずり回り体の中に入り込んでいる。そして体の何処かに必ず一本の毒々しい腐ったハイビスカスに似ている形の花を咲かせていた。


 光喜だけではないだろう、寄生されていると率直に思ったのは。


 まるでバイオハザー●だ、ゾンビみたいに動作は鈍くて童心にかえり駆けっこは興じれそうにない。


 「ポシェ…ダクワーズ…」

 

 エーリオが小さく呟いた、寄生された死体の中に帝国兵士の壊れた鎧を着た者も数人いる、彼らの顔の半分はかけて余り直視したくない人体の構造が見え隠れしていた。


 「同情と弔いは後にしろ、いくぞ!!」


 カラクは走り出した、続きマリとヨミも走り出す。エーリオは弓を引きかつての部下の額を撃った。


 額を撃たれた部下の死体は後ろへ上半身を反ったが、平然と矢をさしたまま状態を元へ戻してまた前進を始めた。


 「人体の急所には意味がない足を狙え!!光喜っお前は動けなくなったやつらにトドメをさせ!!」

 「分かった!!」


 俺の返事を待たずにカラクは噛み付いてくる死体を避け、足を狙って刀で横払いを仕掛ける。足ごと切断していく。植物と一体化したことで体は随分柔らかくなっているようだ。


 カラクの馬鹿力を除いても簡単に足は吹っ飛んだ、マリもカラクに続き前線にたつ。


 カラク同様に足を狙って寄生された死体からの攻撃を素早く避けるとスティレットを足に突き立てた、するとスティレットに刺された場所から氷が広がっていって足を動かせず死体はその場に倒れた。

ごきげんようです、小説自体はキリがよくないですが明日にもう一本セカンドライフを更新したいと思っているので見逃してください。


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