21話
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「今日はこの辺で休もうか」
昨日と同じく日が落ちてきたので、祭はルスクに言った。
下には丁度、少し行った所に大きな村があった。
空からも人がいると確認できるので、今日は大丈夫だろう。
「分かりました」
ルスクは村から少し離れた場所に降り立った。
「こんにちはー!」
村に入ると祭は元気よく挨拶をした。
すると何人かの村人が祭達の方を見た。
そして1人の村人が4人に近づく。
「どうしました?旅の方ですか?」
その男性の村人はルスクに話しかけた。
「いえ、ギルドの依頼の帰りです」
「そうですか、すみませんがこの村には宿がないんですよ」
「えっ!?」
男性の村人の言葉に祭が声をあげる。
「なんとか誰か泊めて貰えないのでしょうか?」
ルスクも少し嫌な顔をしながら、その男性に聞く。
「そうは言われましても、僕の一存ではどうすることも・・・」
「わかりました。失礼しました」
早く会話を切り上げたいルスクは、あっさりと引き下がった。
「ちょっとルス――-お母さん!?」
人前なので祭は急いで言い直した。
「仕方ありません。野宿です」
今日は野宿に決定した。
「あっ、最後にいいですか?」
ルスクは、その男性の村人に聞いた。
「はい?」
「ここはどこですか?」
バッグから地図を取り出し、それを見せながら言った。
「えっと・‥多分、ここですね」
男性の村人が指さした場所は、ニストゥル王国の中心から少し外れた場所だ。
「ありがとうございます。それでは」
そう言って、ルスクは3人を連れてその場から離れた。
「そう言えばなんでロウはハスト神聖国のギルドの依頼でこの国まで来てるわけ?」
日は完全に落ちて、周囲は真っ暗だ。
祭が安全だと判断したため村から少し離れた場所で、4人は腰をおろし焚き火を囲っている。
火は、ロウが持っていた『火種』と言う花の種を使っている。
これは昔、森でルスクも栽培していた。
「なんかハスト神聖国から出る荷物の輸送経路とファフニールの住処が近いらしくてな。で、オレが来たってわけ」
「・・・この国まで歩いてきたの?」
「風魔法使って全力で走り続けて、1週間くらいでついたぜ!」
「相変わらずバカだね。1週間も走り続けるなんて」
祭は驚きを通り越して、呆れている。
「いや、流石に寝てる時は走ってねぇよ!起きてる時は、終始走ってたけど」
「それでもバカですね。あなたは移動魔法を使えばすぐに行けるでしょうに」
「やだよ。疲れる」
移動魔法は移動の距離が長ければ長いほど魔力を多く消費する。
魔力を消費し過ぎるとまるで貧血に陥った様になる。
しかも魔力の回復は個人差があり、100あったとして0から全回復するのに1日あればいい人も、1週間はかかる人もいる。
ロウは魔力は多いが、魔力の回復が遅いのだ。
「それにオレは魔力を節約するって決めてるんでね」
「節約ねぇ・・・。そんな事しなくてもいいくらいに魔力は多いのに」
「ほっとけ」
そう言ってロウはいきなり立ち上がった。
「? どうしたの?」
「変な気配がする」
鋭い目つきでロウは言った。
「変な気配?ちょっと確かめてみるね」
そう言って祭は魔力を『気体』にして放った。
「ん、確かに変なのが・・・多分、盗賊がいるね」
「!・・・どこ?」
「結構近く。行き先はここじゃないみたいだけど」
「それならどこですか?」
「多分、さっきの村・・・」
「お袋、行くぞ!」
そう言ってロウは、祭達を先導しながら村に向かった。
この村には自警団があるのか、十数人の村人が武器を手に取り、自分たちと同じ数ほどの盗賊と対峙している。
「お袋、殺しちゃいけないんだったよな」
4人は盗賊と自警団の間に居た。
ロウは、そう祭に確かめる。
「うん、殺さない程度だったら大丈夫」
「・・・ロウさんって強いの?」
ミディアは祭に聞いた。
「強いよ。私も魔法使わなきゃ勝てない」
そう祭が言うと、ミディアが見ていたロウがいきなり視界から消えた。
次の瞬間、盗賊の集団は一気に膝をついて崩れ落ちた。
『ッッッ!?』
祭とルスク以外の全員がそのいきなりの出来事に目を丸くする。
「これがロウの戦闘スタイルだよ。風魔法、移動魔法の連続使用による高速移動で相手の死角に入ったり、不意を突いたり。ま、暗殺の技術だね」
そう悠長に祭は説明するが、ミディアは目の前の出来事を理解するの精一杯だった。




