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勇者ゲーム ~13人の勇者候補は願いを叶えるため異世界で殺し合う~  作者: 玄野 黒桜
湿った大地に咆哮す

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蒼月の雫、夢幻の爪牙

2020/8/30 改稿

 翌朝、一つ目の鐘がある前の薄暗い時間に俺たちはギルドへとやってきた。


「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」


 受付のおじさんに話し掛けるとそう言われた俺たちはおじさんの後に続いた。前回案内された部屋の前を通り過ぎて、おじさんは更に奥にある扉の前で立ち止まると扉をノックした。

 中から「どうぞ」という声が聞こえたのでおじさんが扉を開けた。彼は中に入らず横に避けると俺たちに手で中に入るよう促す。スギミヤさんから先に中に入った。


 部屋に入るとそこは前回の部屋より広い部屋だった。やはり中央に大きな机があり、左右それぞれに10人ほどが座れる席がある。そこにはすでに10人の男女が左右に分かれて座っており、一番奥の所謂“お誕生日席”に扉を正面にして副ギルド長のカレヴァさんが座っていた。


「お待ちしておりました。空いている席にお座りください」


 促された俺たちは机の左側、先に座っている男性と席を一つ空けてスギミヤさん、俺の順番で腰を下ろす。


「それでは始めましょうか。今回はギルドの指名依頼を受けていただきありがとうございます。最初にレイジ君とノブヒト君は始めてでしょうから同行するパーティーを紹介しておきましょう。

 君たちの隣に座っているのが『蒼月の雫』、正面に座っているのが『夢幻の爪牙』です。二組ともエメラルド級のパーティーです。

 そして、彼らはレイジ・スギミヤ君とノブヒト・ニシダ君、先日エメラルドに昇格したばかりですが実力はギルドが保障します」


 二組から値踏みするような視線が俺たちに集まったので軽く頭を下げておく。


「さて、自己紹介は後ほど各々でしてもらうとして、早速今回の依頼について説明します。すでに発表されていますが、先日ハルヴォニの森のセトプケーの小川付近に大型の大鬼熊(オーガーベア)が討伐されました」


 副ギルド長の言葉に参加者たちの顔が引き締まる。


「ギルドでは大きさから元々は森の主の一角だったのではないかと考えています。その個体を討伐したのが彼ら2人です」


 副ギルド長の言葉に再度俺たちへ、今度は少し感心するような視線が集まる。


「そのような個体が森の浅いところにまで出てきていることから、大移動(スタンピード)は我々が想定している以上に進行している可能性が出てきました。

 このためギルドでは森への侵入に制限を掛ける事を決定し、昨日告知しました。しかし、同時に森のより詳しい状況を知るための調査も必要なため、今回君たちへ依頼することとなりました。ここまでで何か質問はありますか?」


 ここで一旦言葉を切ると、副ギルド長は全体を見回す。


「ないようですので続けます。なるべく奥まで調査を行って欲しいのですが、それであなた方を失ってしまっては意味がありませんので期間は本日のみ、夕方七つ目の鐘が鳴る頃には報告に来てください。報酬はそれぞれのパーティーで大金貨1枚です。また、調査の際に討伐したクリーチャーも全て買い取ります」


 報酬金額に部屋にざわめきが起こる。副ギルド長はそれがおさまるのを待ってから「説明は以上ですが質問は?」と聞いてきた。とくに質問の声も上がらなかったため、副ギルド長は「それではよろしくお願いします」と言うと席を立って部屋を出ていった。


「少しいいか?」


 俺たちも席を立ち、どうするのかと周りを伺っていると隣の方から声を掛けられた。そちらを見ると蒼月の雫の1人、金属製の軽鎧を装備した30代くらいの男性が一歩前に出てた。

 身長はスギミヤさんよりも10cm近く高いところを見ると188cmくらいだろうか。黒に近い茶髪を短く刈り上げた精悍な顔付きの男性で、痩せているが身のこなしには隙が無い。


「自分は蒼月の雫のリーダーのアルバン・ビガールという。後ろにいるのはパーティーメンバーのエルネスト、ジルベール、ディーサ、リーズベットだ。今日はよろしく頼む」


 そう言って軽く頭を下げる男性、アルバンさんに合わせて後ろのパーティーメンバーもそれぞれに片手を上げたり頭を下げたりして挨拶してくる。


 男性のアルバンさんが軽騎士(ソシアルナイト)、エルネストさんが斥候(スカウト)、ジルベールさんが重戦士(ヘヴィウォーリアー)、女性のディーサさんが森狩人(レンジャー)、リーズベットさんが治癒術師(ヒーラー)とのことだった。


「俺はノブヒト・ニシダ、こちらはレイジ・スギミヤさんです。こちらこそ本日はよろしくお願いします」


 俺たちも改めて自己紹介をすると頭を下げた。そうして顔を上げると蒼月の雫のメンバーが意外そうな顔でこちらを見ていた。


「へえ、そっちの黒鎧の兄さん、スギミヤだったか?そっちの兄さんがリーダーかと思ったが違ったのか?」


 そんなことを言ってきたのは革鎧を装備した斥候(スカウト)の男性、エルネストさんだ。


「俺たちは行き掛かり上、一緒に行動しているが別にパーティーという訳ではない」


 それにスギミヤさんがやや無愛想に答える。


「そうのかい。まあいいや。よろしくな!」


 スギミヤさんの答えを特に気にした様子もなくエルネストさんはニッと笑った。


「ふうん。主クラスの大鬼熊(オーガベア)を討伐して昇格っていうから調子に乗ってるかと思ったら案外おとなしいねぇ」


 今度は後ろからそんな声が聞こえた。言葉にやや皮肉っぽい響きを感じる。振り返ると夢幻の爪牙の面々がこちらへ回ってきていた。声はどうやら一番前に立つ、アルバンさんよりもやや重厚な金属製の鎧を装備した女性のもののようだ。


 身長は女性としてはやや高めの167cmくらい、顔を覆う形の兜から暗めの青髪が覗き、ややキツめの顔立ちに今は好戦的な笑みを貼り付けている。特徴的なのはその手に持つ大きな斧。やや高めの身長とはいえ、女性はもちろん男でも持つのに苦労しそうなその斧を彼女は軽々と担いでいる。


「あたいは夢幻の爪牙のリーダーでスヴェア・オーケルマンってんだ。後ろはパーティーメンバー」


 そう言って彼女が親指で後ろを指すと、「あたしヴェロニカ!」「カーリンです」「……ドグラスだ」「ランヴァルトといいます」と各々が自己紹介してくれた。


 女性のスヴェアさんは闘士(ウォーリアー)、ヴェロニカさんは剣士(フェンサー)、カーリンさんは弓使い(アーチャー)、男性のドグラスさんは魔法使い(キャスター)、ランヴァルトさんは薬師(メディスン)という編成で、どうやら女性陣のほうがやや押しの強いパーティーのようだ。


「どうも。俺はニシ―「いいよ、いいよ、聞いてたから!」」


 俺が自己紹介しようとするとスヴェアさんに遮られてしまった。


「そんなことよりさっさと誰が仕切るか決めない?時間もないんだしさ。まああたいかアルバンのどっちかだと思うけど」


 面倒臭そうに、だが何やら期待のこもった目で彼女が言うと、「アルバン(さん)お願いしますね」と俺とスギミヤさん以外の全員―何故か夢幻の爪牙のメンバーまで―がアルバンさんに言った。言われたアルバンさんも一言「了解した。」と言って頷く。


「なんでだぁぁぁぁっ!!!!」


 その様子にスヴェアさんが1人絶叫していた。

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