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勇者ゲーム ~13人の勇者候補は願いを叶えるため異世界で殺し合う~  作者: 玄野 黒桜
湿った大地に咆哮す

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ハルヴォニの冒険者ギルド

2020/8/25 改稿

 翌朝、朝食を済ませた俺とスギミヤさんは冒険者ギルドへとやってきた。ハルヴォニの冒険者ギルドは港とは反対の門に近いところにあった。他の建物と同じく石造りで二階建てのやや小ぢんまりした印象の建物だ。


 中に入ってみてもその印象は変わらず、買取受付を入れても受付は5席ほどしかなく、規模としてはウィーレストのギルドの半分以下しかない。朝食後の時間ということもあるが閑散としていた。


 依頼掲示板を確認したいのだが、その前に俺たちは移動の完了報告をすべく受付へと足を向けた。


「いらっしゃい。今日はどういったご用件で?」


 相変わらず若者の少ない受付の一つへ行く。俺たちを応対したのはやる気の無さそうなおばさんだった。


「移動の完了報告です。確認をお願いします」


「はいはい、移動報告ですね。ギルドプレートをお預かりします…えっ、パールぅ?」


 ギルドプレートを受け取ったおばさんは疑わしそうに俺たちの顔を見る。


「そうですけど、何か問題でも?」


「しょ、少々お待ちください。あっ!一緒にス、ステータスカードもお預かりしても?」


「はあ、どうぞ」


 俺たちからステータスカードを受け取るとおばさんは慌てて席を立って奥にある機械へと向かった。


「はぁ、毎回これだとさすがに嫌になりますね」


「少々面倒だが、こちらにやましいところはないんだ。好きなだけ確認してもらえばいい」


 おばさんの様子を見ながらため息を吐いた俺に対してスギミヤさんは淡々とした様子だ。


 暫くするとおばさんが戻ってきた。ステータスカードとギルドプレートが返却される。


「ニシダ様、スギミヤ様、確認に時間が掛かってしまい大変失礼いたしました。移動の手続きは問題ございません。お2人ともエメラルドへの昇格試験資格をお持ちですが試験を受けられますか?」


 昇格試験か…。忙しくて後回しにしていたけど、そろそろ受けておいたほうがいいかもしれない。いつまでも受けないのも変に思われそうだし…。そう思ってスギミヤさんの方を見ると彼はおばさんに話し掛けていた。


「その前に一つ聞きたい。大移動(スタンピード)の噂を聞いたのだが実際はどうなんだ?」


「そのことですか…。ギルドでも調査を行っておりますが、森から逃げるように飛び出してくるクリーチャーは確認されておりますし街道でのクリーチャーとの遭遇率も上がってきております。ギルドといたしましては大移動(スタンピード)が発生している可能性は高いと考えておりますので、冒険者の皆様には極力街を移ることは控えていただくようお願いしているところでございます」


「なるほど。この状況で昇格試験を受ける場合はどういう内容になるんだ?」


「そうですね…。すぐに受けられたいということでしたら、ギルド指定の冒険者とパーティーを組んでの森の調査でしょうか。状況が落ち着いてからということでしたらそのときの状況で内容は少し変わってくるかと思います」


 スギミヤさんは受付のおばさんの言葉を聞くと「だそうだ」と言いながらこちらを見てきた。「どうするか決めろ」ということらしい。


「すいません。もし、受けるとしたら試験はいつ頃になりますか?」


「すぐに受けられるということでしたら数日中には試験官を務める冒険者を決めてお知らせいたします」


 おばさんの返答を聞いた俺は少し考えてから昇格試験を受けることに決めた。おばさんに意思を伝えると再度ギルドプレートの提出を求められたため、俺とスギミヤさんはもう一度おばさんにプレートを手渡した。


 諸々の手続きが終わると試験日は後日伝えるのでなるべくギルドに顔を出すように言われたので了承の返事をしてから受付を離れる。


 そのまま依頼を確認するため掲示板へと移動していると、スギミヤさんが「良かったのか?」と聞いてきた。


「何がです?」


「試験のことだ。暫く動けなくなるぞ?」


「どちらにしても今の状況じゃ動けませんよ。俺とスギミヤさんだけなら何とかなるかもしれませんが、エリーゼちゃんを連れて『閉ざしの森』まで移動するのは無理がありますし」


「そうだな。内陸は殆ど野営になることを考えれば少しでも危険は少ないほうがいい」


 スギミヤさんの言うようにアーリシア大陸の内陸を移動する場合、殆どが野営になってしまう。これは内陸部が湿地帯と森林であり、住んでいる殆どが獣人種のためである。


 以前にも話題に上がったが彼らは種族ごとにコミュニティを形成しており、何か特別な事情が無い限りそのコミュニティを出ることがない。逆に外部からコミュニティに入ることも難しいため、必然的に内陸へ行くと部外者は野営する他に選択肢が無いのだ。


 ハルヴォニのような沿岸部に作られた街はフェルガント大陸の国々が交易のために港を整備した街だが、彼らは内陸へは進出していない。これは今のところアーリシア大陸自体を開発する必然性がないこと、獣人種との交易で需要に対応出来ていること、そして何よりも開発に掛かるコストが膨大であることが要因だそうだ。


 まあ普通に考えてフェルガントの開発だって殆ど進んでいないのに、湿地や森林が広がる大陸の開発を優先する国があったら金の使い方を間違えているとしか言えないだろう。



 さて、スギミヤさんとそんなことを話しながら掲示板の前にやってきた俺たちは貼られている依頼書に目を通した。


「これは…」


「……あまり状況は良くないようだな」


 俺は思わず言葉を詰まらせる。隣ではスギミヤさんも渋い顔をしている。


「恐らくは街道にまでクリーチャーが出るようになったから護衛や討伐系の依頼が優先されているんだろう」


「それにしてもこれは少し拙くないですか?これなんて需要高いしそんなに難しくなさそうなのに2週間以上放置されてますよ?」


 そこに残っていたは大半が採集系の依頼だった。このままいくと大移動(スタンピード)で篭城なんてことになれば薬が足りなくなる可能性がある。


「……(コクリ)」


「……(コクリ)」


 無言で顔を見合わせた俺たちは頷き合うと、近場で達成出来そうな依頼を片っ端から剥がして受付へ持っていった。


「えっ!?あ、あの、一度にこんなに受けられるんですか!?」


「はい、すぐ行きますんで早く手続きお願いします!」


 俺たちが持っていった大量の依頼書に目を白黒させている受付のおばさんを急かして、採集系ばかりの依頼書を受理してもらった俺たちはそのままギルドを飛び出した。


「とりあえず俺は必要なものを揃えてくるのでスギミヤさんはエリーゼちゃんへの説明とレオナールさんに情報収集を依頼しておいてもらえますか?」


「分かった。終わったら門の前で落ち合おう」


 ギルドを出て簡単に打ち合わせを終わらせた俺たちは、それぞれの役割をこなすために一旦別れた。スギミヤさんは宿へ、俺は回復アイテムなどを揃えるために薬屋へ向かう。


 ―30分後、買い出しを済ませた俺はスギミヤさんの待つハルヴォニの門へと向かった。

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