食事会
シーンの切り替えの都合で今回ちょっと短めです。
2020/8/23 改稿
そこから更に2日後、漸く少し状況が落ち着いたとのことで都市長からお礼を兼ねた食事会のお誘いが来た。
訪れたのはエーシア湖や森の食材、乳製品などの加工食材を使ったアルガイア料理のレストランだった。
「今日はよく来てくれた。今回の件では君たちには本当に世話になった。都市長として改めてお礼を言いたい。ありがとう。そして、1人の父親としても娘を救ってもらい心から感謝している。本当にありがとう。今日はゆっくり楽しんでくれ」
ブルノ都市長のそんな言葉で食事会は始まった。
参加者は俺たち3人の他に主催のブルノ都市長とその家族、商人ギルドの会長と衛兵長といった面々だ。
テーブルマナーを気にしなくてもいい様に気を使ってくれたのか、それぞれが話しやすいようにという配慮なのか、レストランの個室を借りてのバイキング形式の立食パーティーといった感じの場を用意してくれていた。
そうして食事会が始まると、俺たちのところへ都市長がやってきた。
後ろにはレティシア嬢と恐らくは奥さんであろうレティシア嬢とよく似た女性が付いてきていた。
「ニシダ殿、スギミヤ殿、楽しんでくれているかな?」
「はい。堪能させていただいてます」
都市長の言葉にそんな風に返す。
「それは良かった。そうだ!紹介しよう。これが妻のオフェリアだ」
都市長はそう言うと、後ろにいた奥さんの腰に手を回し前へと促す。
「ブルノの妻でレティシアの母のオフェリアと申します。この度は娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」
そう言うとオフェリアさんは丁寧に頭を下げた。
オフェリアさんはレティシア嬢と同じ茶色の髪にくりくりした目をした20代後半くらいの上品な雰囲気の女性だった。
正確な歳は知らないが40代半ばくらいに見える都市長とは、少なくとも一回りは歳が離れていそうだ。レティシア嬢には3歳上で、今は別の都市に留学中の兄がいるそうなのだが、とても2人も子供がいるようには見えなかった。
「いえ、こちらも連れを助けるため偶然そうなっただけですので、どうぞお気になさらず」
俺は気にしないで欲しいと言って頭を下げる。
実際、失礼な言い方ではあるが、レティシア嬢を助けたのはエリーゼちゃんを助けたついでと言うか、レティシア嬢が攫われたのか確信がないところもあったので、偶然と言っていい状況だったのだ。
「そんなことありません!ノブヒト様はとても素敵でした!」
レティシア嬢が熱弁してくる。
その様子を都市長は少し複雑そうに、オフェリアさんはニコニコと見ている。
「さて、この食事会はあくまでも私たちが礼を伝えるために用意した場だ。君たちへのお礼は別に用意するつもりだが、何か希望はあるだろうか?」
レティシア嬢が落ち着いたところで、都市長からそんな事を聞かれた。
「いえ、先程も言いましたとおりこちらも仲間の救出が目的でしたので、この食事会だけで十分です。それに宿代も出していただいてますしこれ以上は頂き過ぎです」
そう、事件以来、俺たちのバルビエーリの滞在費は都市政府が出してくれていた。俺たちとしてはそれ以上は貰い過ぎに思えてしまう。
「いやいや、それだって君たちを引き止めてしまっていることへのお詫びなのだから、こちらのお礼としては足りないよ。
そうだな…例えば時間がなくてギルドの昇級試験を受けられないと言っていたが、こちらでランクアップの推薦をしてもいい」
都市長はそう提案してくれる。
「いえ、そこはきちんと自分たちで昇級試験を受けますので。お気遣いには感謝します」
スギミヤさんが断る。
そのまま「希望を教えてくれ」という都市長と「十分だ」と断るスギミヤさんのやり取りが何度か続いたが、スギミヤさんが折れ、「フリードアンの首都まで送ってもらう」という話で落ち着いた。
「ニシダ殿は何か希望はないのかね?」
スギミヤさんへのお礼が決まったところで、都市長が今度は俺に希望を聞いてくる。
俺ももう十分お礼はしてもらったと思うのだが、それを言うとスギミヤさんと同じことになってしまう。
「それでは後で少しお話を伺ってもいいでしょうか?」
悩んだ俺はそう聞いてみる。
「何か内密な話なのかね?」
都市長が不思議そうな顔をする。
「そういった訳ではなく、ただ、俺の旅の目的についても関係することですので落ち着いたところで伺いたいと思いまして」
「そういう事なら。私で答えられることならばいいのだが…」
それの要望に都市長は快く頷いてくれた。
明日も恐らく0時更新のみになると思います。
申し訳ありませんがよろしくお願い致します。




