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勇者ゲーム ~13人の勇者候補は願いを叶えるため異世界で殺し合う~  作者: 玄野 黒桜
旅路の果てで森は謳う

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魔法

大変お待たせしたした。

更新再開です!

 朝食を終えて宿を出た俺はスギミヤさんに話したとおりブルンベルヘン工房へとやってきた。


「らっしゃい! ってノブヒトの坊主じゃねぇか! 」


 店に入った俺を出迎えたのは工房の主、ドワーフと魔族のハーフであるカトリナさんだった。今日も額にゴーグルを付けたタンクトップ姿だ。俺は「どうも」と言って軽く頭を下げる。


「聞いたぜ! この前の襲撃じゃお前さんとレイジの坊主が大活躍だったそうじゃねぇか!! 」


 身長はレオナールさんと同じくらいのどう見ても幼女にしか見えないカトリナさんは「ガッハッハ」と豪快に笑う。


(俺はともかくスギミヤさんも“坊主”呼ばわり――この人一体何歳なんだろう? )


 何度か会っているはいるが年齢を聞いたことはない。もちろん藪蛇になりそうなのでわざわざそんなこと聞かないけど……


「それで今日は何の用だい? また装備の調整か? 」


 一頻り俺たちの話で盛り上がっていたカトリナさんが用件を聞いてきた。


「それもお願いしたいですが別で聞きたいことがなりまして」


 俺は持ってきた装備入りの袋を手渡しながら切り出した。


「ん? 別の頼みごと? 仕事の依頼か? 」


「はい、実はこれのご相談でして……」


 そう言って俺は()()()を彼女に手渡した。彼女をそれを手に取るとしげしげと観察する。


「魔法銃だな? 調整か? 」


 手渡した物――魔法銃を一通り観察した彼女は俺に顔を向けた。


「まあ調整もお願いしたいんですが……こちらの工房で魔法銃の拡張は出来ますか? もし、難しければハルヴォニで拡張してくれる工房を紹介していただきたいんですが……」


 俺は今日工房を訪れた本当の目的を告げる。そう、今日俺がブルンベルヘン工房を訪れたのは魔法銃の拡張が目的だったのだ。


「一応あたしも付与術師(エンチャンター)の端くれだ。もちろん拡張も出来るけど……とりあえず先に中を見てみてもいいかい? 」


 俺はカトリナさんの言葉に当然とばかりに頷く。彼女は工具を取り出すと「どれどれ」と言いながらカチャカチャと魔法銃をいじり始めた。


「ふむ、こりゃまた随分ムチャな使い方をしてきたもんだねぇ。拡張の前にメンテしてやんなきゃそのうち壊れちまうよ? 」


「す、すみません……」


 銃を分解した途端、呆れた様に言うカトリナさんに俺は恐縮する。


「まあそれは言いとしてだ……拡張出来る魔石は2つみたいだけどどうする? 」


 恐縮する俺を見てどう思ったのか分からないが彼女は話を次へと進めた。


「分かってるだろうけど一応説明しとくよ? いくら魔法銃が詠唱なしで魔法を撃てると言っても付与出来るのは基礎四属性だけだ。当然複合属性は付与出来ないし大きな魔法も付与出来ない。ここまではいいね? 」


 俺はカトリナさんの説明に頷く。


 彼女の言う“基礎四属性”とは所謂“火”“水”“土”“風”の4つの属性のことだ。そして、俺が今まで魔法銃で撃っていたのはこの4つのどれでもない“無属性”と言う。


 本来この世界の空気中を漂っている魔素には属性がない。いや、正確に言うと場所によっては僅かに属性が付いていたり複数の属性が雑多に混じっているだが、それだけで魔法を発動させることが出来ないのだ。これは人体の中にある魔素にも同様のことが言える。


 では、人はどの様にして魔法を使用しているのか? その答えは詠唱である。この世界の魔法使い(キャスター)たちが使っている呪文(スペル)には空気中の魔素から必要な属性の魔素を集めたり魔素の属性を変換する音節や、集めた魔素を望む現象へ変化させるための音節が含まれている。そして、集めた魔素に対して体内にある魔素をトリガーにして魔法が発動させているのだ。


 では、魔法銃はどうかといえば、本来魔素を集めたり変換する詠唱の部分を魔石の魔素を貯める性質を利用することで代用しているのである。具体的には特定の魔法を付与した魔石を回路に組み込むことで魔力を変化させて撃ち出しているのだ。


 この魔法銃のメリットはなんと言っても魔力さえあれば誰でも魔法が使用出来る手軽さだ。詠唱にはかなりの集中力を必要とする。熟練の魔法使い(キャスター)であっても攻撃を躱しながら魔法を放つというのはかなり難しい。だが、魔法銃は本来必要な詠唱の部分は内部の回路が代わりに行ってくれる。魔力を込めて引き金さえ引けば魔法が発動出来るのだ。


 逆にデメリットは発動出来る魔法の種類だ。魔法銃に使用する魔石には大きなの問題もあって1つの魔法しか付与出来ない。魔石に込められる魔力は大きさに依存するので当然大規模な魔法を付与することも出来ない。もちろん先程カトリナさんの話に出てきた“複合属性”も付与することが出来ない。


 “複合属性”というのは四属性以外の属性――例えば氷や雷の属性のことを言う。これらの属性は名前からも分かるとおり複数の属性を合わせることで使用出来る属性だ。氷であれば火+水、雷であれば風+水の魔素を合わせることで発動することが出来るのだが、これを魔法銃に組み込もうとすると回路が大きくなりすぎて通常の魔法銃のサイズでは組み込むことが出来ないそうだ。


 とはいえ、それらのデメリットと比較しても魔法銃の手軽さ・魔法発動の速さはメリットであり、だからこそ俺も今までサブウェポンとして使用してきた。


 だが、ここに来てその魔法銃が牽制程度にしか使えない状況に陥っていた。


 もちろんそれはそれで構わないのだが、牽制は所詮、牽制だ。これから敵がより強力になっていくのを考えたとき、脅威を感じられない攻撃は牽制にすらならない可能性がある。実際大鬼熊(オーガベア)にしても変異種にしても殆ど嫌がらせ以上の効果は発揮しなかった。


 今までも魔法銃の強化、属性の付与は考えていたけど、こうして時間が出来た今のうちに本格的に少しでも戦力強化を図ろうと思った訳だ。




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

「あたしが付与出来るのは良くて中級だ。もちろん手に入る魔石にもよるけど、そこはなるべく希望に沿うようなものを用意してやるよ。それでどうする? 」


「出来れば『風矢(ウェントス・サギッタ)』と『火刃(ラーミナ・イグニス)』でお願いしたいんですが……」


 カトリナさんの質問に俺は彼女の様子を窺いつつお願いする。俺が選んだ魔法はどちらも中級魔法だった。


『風の矢』や『火の刃』と聞くと魔法が創作の世界にしか存在しない世界の人間から聞くと簡単に聞こえるかも知れない。だが、この世界ではどちらもそれなりに高度な部類に入る魔法なのだ。なにせ魔素というのは基本的に拡散するものだ。もちろんそれを圧縮して放出するというのは魔法において基礎的な技術の部類はになる。しかし、『矢』や『刃』のような明確な形に成形し、尚且つ威力を持たせて放つにはやはり高度な技術が必要になってくるのだ。だからこそ中級魔法に分類されているし、相手からすれば脅威になるとも言えた。


「中級か……そうだな。まあ幸いと言っちゃなんだけど今は大移動(スタンピード)の後で魔石は市場に出回ってるからな! なんとかしてみるよ! 」


 彼女はそう言うとビシッと親指を立てた右手を突き出した。


「ありがとうございます! 」


 俺は勢いよく頭を下げる。彼女はやや照れたような表情で「いいよ、いいよ」と言って両手を前にしてブンブンと左右に振る。


「メンテも込みだからな。とりあえず1週間後にでも顔を出しな! 」


「分かりました! よろしくお願いします! 」


「おう! 任せときな!! 」


 こうして魔法銃の属性付与の依頼を終えた俺は、薄い胸を拳で叩くカトリナさんに礼を言って工房を後にした。

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