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【書籍化】エアボーンウイッチ~異世界帰りの魔導師は、空を飛びたいから第一空挺団に所属しました~  作者: 呑兵衛和尚
Inter Mission~迷宮騒動、大騒動!

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Take It Easy(迷宮調査委員会との攻防)

――国会議事堂・第一委員会室

 いよいよ、迷宮管理特別委員会との戦いが始まります。

 私と有働3佐はしばし、控室でのんびりと待機。

 今の内に、午前中に行った幕僚長との話し合いの内容をもう一度精査。

 そして時間となり、私と有働3佐は委員会室へ。

 すでに委員会室には迷宮管理特別委員会(略称・迷管委員会)の方々が待機しており、私達の到着を今か今かと待っています。


「それでは、まずはご起立願います……これより迷宮管理特別委員会を開始します。では、ご着席ください。まずは、委員長より本日の委員会での審査及び質疑応答についてご説明します……」


 議長が淡々と話をする中、委員長である五井和利議員が壇上に立ちました。


「では。まず如月3曹に質問します。今年の1月6日、貴方は委員会の許諾もなく迷宮を作り出し、そこから資源を回収したと思われますが。これは明らかな違反ではないでしょうか?」


 はて。

 いきなり説明も何もなく、そう来るとはちょっと予想外ですが。

 ちなみにですが、まだ迷宮の資源についての権利に関する条例は出来ていない筈です。

 まあ、質問されたので返答しましょう。


「まず、私は自分の保有する魔石を用いる事で、個人が所有する土地の範囲内に迷宮を構築、そこから資源回収を行っただけです。しましたけれどどのような法律・条例について違反しているのか教えていただけますか?」

「迷宮という危険な存在そのものを管理するのが、私たち迷宮管理特別委員会の責務です。当然、これには自然発生型迷宮だけではなく、人為的に作り出した迷宮の調査および管理も含まれています」


 うん、答えになっていませんね。


「はあ、つまり法的にはまだ制定されていないということですよね? では、私は委員会の方針に従う必要はないと判断します、以上です」


 そう告げて椅子に座り、五井議員の返答を待つ。

 ちらっとそちらに目を配ってみると、どうやら新しい資料などが届けられたらしく、そちらを見てウンウンと頷いています。


「では。如月3曹は自身が作った迷宮において、魔物の討伐を行い、それらから資源を回収してきましたよね? その際、周囲に対しての配慮等は行ったのでしょうか?」

「私が迷宮を作った場合、私以外の魔物および人間の出入りを禁じています。これはダンジョンマスターである私の権限なので絶対、たとえ最下層に古代竜が出現しても迷宮入り口の結界を破壊することは不可能です。また、ダンジョン内部に蓄積されている魔素が周囲に影響を及ぼすことはありませんと断言します」


 もっとも。

 お正月にはその古代竜クラスのやつを倒して素材を回収したので、あの迷宮においては確実に無害と断言しますよ、ええ。


「ですが、それは貴方の意見であり、それを証明することはできませんよね?」

「そうですね。ダンジョンマスターである私の意見ですので、私自身は安全であると断言しますが。まさかとは思いますが、みなさんは魔力もないのに私以上の感知能力を有しているという事ですか? そんな事が出来る逸材がいるというのですか?」


 それは無いでしょう。

 まさか、科学の力でそれを行うとかいいそうですが、そんな茶番を言うほど国会議員は暇ではないですよね。


「我が迷宮管理特別委員会は、各方面のスペシャリストにより構成されています。それらの中には、日本でもトップクラスの技術者がいます。彼らからの報告では、迷宮から発している魔素を始めとした物質の鑑定・調査は可能であるという意見が出ていますが」

「それは凄いですね。では、そちらの技術については今後発生するであろう自然発生型迷宮の調査に、ぜひとも役立ててください。『可能です』ではなく『可能である』。いい言い回しですね。では、そちらの方面については、七織の魔導師として一切の助力を行いませんので」


 よっし、鷹木陸将とは話し合いの通り。

 このままこっちのペースで話を続けることにしましょうか。


「……では次の質問です。如月3曹は、今回のような迷宮を随時、必要に応じて作り出すことが可能でありますか?」

「はい、魔石もしくはそれらに準ずる媒体がある限りは、作り出すことは可能です」

「では、それらを用いて、資源採掘用の迷宮を作り出すことも可能であると?」

「私がお正月に作った迷宮程度であれば、可能ですが」


 ほら、五井議員がニイッと笑った。

 これはあれですね、新宿地下迷宮攻略戦のときのダンジョンについての質疑応答と答えが違うと思っていますね。


「以前、新宿地下迷宮が発生した際の質疑応答では、迷宮をつくることは不可能であると仰いましたが、あれは嘘であったと?」

「あの時点では実験も何もしていませんので、できないと断言しました。流石に何も調べずに『可能です』だなんて無責任な発言は出来ませんので。そして新宿地下迷宮攻略戦後の実験の結果、迷宮構築および管理は可能であるという事が確認出来ました、以上です」

「では、日本国の為に資源採掘用の迷宮を作る事も可能ですね?」

「そうですね、可能です。ただし、私自身はダンジョンコアの管理を行う気はありませんので。迷宮管理特別委員会で『管理可能ならば』、そちらに譲渡します。なお、迷宮を作り出すための素材は全て、日本政府に用意して頂くという事で」


 ほら、またニイッと笑っている。

 

「私たち迷宮管理運営委員会としては、個人が迷宮を好き勝手することについては認めません。よって、迷宮管理条例を制定し、それらに基づく安全かつ正しい迷宮管理を行うことにします。これらが制定された際には、如月3曹は迷宮を自在に作ることができませんが、それでもよろしいのですね?」


 そう説明があった時、私ではなく有働3佐が壇上に立ちました。


「防衛庁としましては、条例施行後に新たに確認された迷宮の管理・運営について、私たち防衛庁は一切手出しいたしません。よって、万が一にもダンジョンスタンピードが発生した場合においても、迷宮管理特別委員会が主導となって、魔物の討伐を行ってください」


 そう告げた時、五井議員が挙手しましたがそれを無視して有働3佐が話を続けます。

 議長も有働3佐の説明が終わっていないと判断、五井議員に手を下げるようにとジェスチャーで指示を出していますよ。


「また、その際に発生するダンジョン周辺の被害に関する補償その他についても、日本国政府ではなく迷宮管理特別委員会で行うようにしていただきます。なお、最悪のケースによりスタンピードが発生、それらの騒動を押さえるべく『該当地域の都道府県知事により自衛隊に出動要請があった』場合。如月3曹を主導とした第1空挺団魔導編隊により『ダンジョンコアの破壊』を行います、以上です」


 淡々と、イケボで説明する有働3佐。

 これには五井議員も顔を真っ赤にしていますよ。

 そして数名の議員が集まり、なにか話し合いを始めていますが。

 そしてようやく興奮が収まったのか、壇上に戻っていきましたよ。


「迷宮管理特別委員会としては、今回の1月6日に如月3曹が独断で迷宮を構築し資源を回収したことについては納得出来ていません。よって、それらの資源を調査・解析のために委員会で接収したいのですが、それは納得していただけますよね?」

「あ、資源ですが、かなりの量を使いましたので、在庫は殆どありません。自衛隊法における『人事交流派遣プログラム』に基づき、国際自動車連盟が主導で計画している国際マギ・フォーミュラ―レース計画の実行に必要である魔導具の作製および貸与を行うために使用しました」


 この私の報告は初耳であったのか、あちこちからざわめき声が聞こえてきます。

 そして五井議員の元に資料が届けられると、それに目を通して真っ赤な顔になっていますよ。


「なんて身勝手な……」


 そう呟き声が聞こえてきますが、敢えて無視です。


「なお、これは自衛隊法に基づく正式な要請であり、統合幕僚監部での正式な手続きを行ったものです。こたびの『如月家裏庭迷宮』の設営及び調査・素材回収・それらを用いた魔導具研究については、全て防衛庁より正式な認可を受けています」


 そう説明すると同時に、アイテムボックスからフリップを取り出して、一つ一つの条項について説明します。

 これぞ、先日の小笠原1尉と製作した『質疑応答用装備・1型』です。

 まあ、端的説明しますと、『ここからは私のターン・ドロー』っていうかんじでして。

 淡々と、理路整然と説明を続けていきますが、やはりあちこちからヤジが飛んできます。

 まったく、暇なのですねぇ。

 だから、ヤジが飛ぶたびに『議長、周囲のヤジがうるさくて説明が不十分となりましたので、再度説明をさせていただきます』と、もう一度最初から説明を開始。

 なお、私はこのフリップ解説を都合4回ほど行いましたが、最後までヤジは収まることなく、委員会の時間が終了となりました。

 

「……残念ですが、こちらの説明が不十分なまま時間となってしまいました。このまま委員会の延長を求めたいところですが、それも出来そうもありませんので本日はこれにて。なお、次回、同じように質疑応答があった場合、この説明から先に行わせていただきますので」


 さあ、また同じ説明を延々と聞かされる覚悟があるのなら、また質疑応答に呼んでください。

 こちらは全ての許可を得て、正式な手続きを行ってやったのです。

 貴方達みたいに権利だけを振り回す議員さんとは違うのですからね。


………

……


――一週間後・習志野駐屯地

 私達第1空挺団魔導編隊と迷宮管理特別委員会との初戦は、無事に終了しました。

 あの数日後には、委員会は『迷宮管理法』の制定のため、法律案の原案作成を開始したそうですが、そんなに簡単に法整備が出来るはずもなく。

 そもそもの『迷宮をどのように管理・運営するか』という部分で魔導師の助力が必要であること、そして日本国唯一の魔導師である私が防衛庁所属であり、防衛大臣が許可出来ないという事になっていますので、ここで原案作成は頓挫しているようで。

 

 私としては、あの委員会での質疑応答ののち、新宿地下迷宮跡に作り出した『如月迷宮』が『防衛庁管区・特別調査迷宮』という名目で正式に認可を受けられた為、堂々と迷宮の門を作りっぱなしにしてきました。

 そして月に一度、調査目的で内部に入ること、その際に日本の地下を流れるマナラインの調査を行うようにと新たな任務を仰せつかりました。


 なお、途中で回収する宝箱の中身については迷宮の所有者である私の物とし、同行者たちは拾得物として報告の後、私が所有を放棄する事で彼らの物となります。


「それにしても……報道局が迷宮に入るので、その護衛任務を私達が仰せつかるというのは、どうなんでしょうかねぇ」

「さあ? 俺はその時期は航空徽章を修得する為にここから離れるから、そっちは任せるわ」

「ですよねぇ……」


 はぁ。

 一難去ってまた一難ですか。

 戦いがないだけ、まだ平和という事でいいのですよね。 

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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― 新着の感想 ―
某議員「羨ましいからそれ禁止です!」 某議員「魔法素材を我々に只で寄越しなさい!」 如月「それは財産権の侵害ですよ。それに今回の件は自衛隊法に基づいた措置ですので、私的要件ではありませんし。」
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