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【書籍化】エアボーンウイッチ~異世界帰りの魔導師は、空を飛びたいから第一空挺団に所属しました~  作者: 呑兵衛和尚
Sixth Mission~フランス迷宮は、蟲蟲大行進

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Got to Be Real(或いは閑話ともいう)

 フランスに発生したコンピエーニュ迷宮での一連の討伐任務について。


 近隣の病院に収容されていた患者の8割は、ヨハンナの献身的神聖魔術により伝染病から無事回復。

 残念ながら残り2割については手当の甲斐もなく命を落としてしまった。

 また、第二次迷宮攻略組のうち、迷宮内で魔蟲に寄生されていたものについては、全員無事に治療を終えたものの、当面は体力の回復と神経系に発生した麻痺症状の治療を行う事となった。


 この迷宮騒動によりフランス陸軍の一割の隊員が損耗し、現在は部隊の再編及び今後の迷宮対策について様々な協議が行われる事となった。


 また、今回の日本国陸上自衛隊第1空挺団魔導編隊第一分隊の活躍については、フランス大統領より感謝のメッセージが届けられることとなった。


――日本国・習志野駐屯地

「ふうん。まあ、表に出せない部分については隠蔽されていますけれど、おおむねこの内容で合っていますよねぇ」


 無事にフランスでの任期を終えて、私達は一週間前に日本に帰還してきました。

 その後、防衛省および日本政府に対しての報告会が執り行われ、今後の日本での迷宮対策についての協議が始められることとなったそうです。

 もっとも、第1空挺団魔導編隊については、現状維持のまま活動を続行。

 私は魔導師育成計画についての任務を命じられ、数日前まで黙々と教本を作成していました。

 

「……うん、如月3曹、この教本には何を書いているのかさっぱり分からないのだが?」

「はっ、有働3佐、そこに記されている事以上に事細かく説明するのは不可能です。それでもかなりかいつまんで、基礎中の基礎部分を書き出してあります」

「その基礎中の基礎部分が、『人体の内部ではない、魂の存在する精神面に発生する魔導回路の開放手段とそのための修練について』という説明から始まっているのだが……これを理解できる日本人が、どれぐらいいるかねぇ」


 まあ、有働3佐が呆れるのも仕方がありません。

 魔導回路は肉体に宿るのではなく精神面(アストラルサイド)に存在するものであって、それを感じ取ることが出来なくてはそれを活性化させることなんて出来ないのですよ。

 ちなみに闘気は肉体の内部に存在する見えない経絡を伝って全身に巡らせるのでして、こっちのほうがまだ説明がしやすいのですよ。

 現に、魔導編隊のみなさんはすでに第二段階まで経絡開放が終わっています。

 しかも、今回のフランスはコンピエーニュ迷宮にて実戦も経験していますので。


「有働3佐、地球の魔導科学では、それ以上の説明が出来ないのですよ。そこを更に簡潔にしろといわれますと、まずは肉体から精神を解き放ち、己のアストラルボディを観察するところから始めななくてはならなくてですね……なんというか、生まれたての赤ん坊にリーマン予想をクリアしなさいと言っているようなものでして……」

「つまり、普通には不可能ということ。うん、このまま提出して構わない。ただし、『この基礎理論を理解する所から、魔術の修行が始まります』と一文付け加えておいてくれればいい」

「はっ!!」


 これで魔術教本は全て完成です。

 うん、私は頑張りました、これ以上の分かりやすい説明なんて不可能ですから。

 それにしても、キスリーラがあのまま引き下がっているとは思えませんけれど、きっと何か企んでいると思うのですよ。

 ただ、その足取りとか、隠れ家については全く不明。

 きっとどこかに地下迷宮を作り出し、そこに隠れているのでしょう。

 もしくは、あのワンコ魔王の元でなにか暗躍しているとか。 

 いずれにしても、今後の対策もきっちりと考える必要があるという事ですよね。


「はぁ……先行き不安ですよねぇ。そもそも確殺の刃(シュアーキリング)が破られたというか、対策されてしまっていますからねぇ。もっと強力かつ無慈悲な魔術を生み出す必要がありますか……はぁ」


 魔術研究って、以外と難易度が高いのですよねぇ。

 休みの日にでも、研究を再開するしかありませんね。

 

 〇 〇 〇 〇 〇


――東京・新宿ジオフロント最下層

 かつて新宿大空洞があった場所、その最下層では、今現在も私たち魔導編隊第一分隊による『魔力瘤』の監視が続けられています。

 この日も魔導編隊第一分隊の作戦行動の一貫としてやってきたのですが、その場に足を踏み入れた瞬間、足元からなにか違和感を感じ取りました。

 

「……う~ん、迷宮ですねぇ」

「え、如月迷宮に何かあったのですか?」

「いや、それとは別の何かだと思うんだけれどねぇ……」


 如月迷宮とは、私がこの地下奥深くに存在する魔力瘤の観察のために作った『人為的迷宮』のこと。

 私が持っているダンジョンコアの欠片を用いて作った、安全設計された迷宮であり、最下層には魔力瘤が確認できるようになっています。

 その如月迷宮に異変でも起こっているのかと思ったのですが、すぐに違和感が消滅しまして。


「んんん? 消えましたよ? これっていったい、何なのでしょうか……」


 すぐさま感知系術式を発動して確認しましたが、魔力瘤にも何も異変はなく。

 むしろ、一か月前の観測時よりも小さくなっているのが確認できました。


「魔力瘤が小さくなっていますか。うん、何処か別の場所に分岐して伸び始めた可能性も考えられますか。ちょっと調べてみる必要がありそうですね……」

「では、今日も迷宮へ?」

「一ノ瀬2曹、このまま迷宮を発生させたのち、最下層にて詳しい調査を行うことを進言します」


 この場所での作戦責任者は一ノ瀬2曹。

 私がそう進言すると、すぐさま許可が下りましたので、直ちに如月迷宮を出現させました。

 あとは魔法の絨毯にのって、一気に最下層へ移動。

 ダンジョンコアのある部屋まで屋ゆってきましたので、持論に剥き出しになっている魔力瘤に触れて魔力を注ぎ込んでみますが。


――ギュルルルルルッ

 私の掌から魔力が噴き出し、魔力瘤にすごく強い力で吸い込まれていきます。

 これは魔力枯渇現象かと思ったのですが、ちょっと様子がおかしいです。


「……この位置からのサーチは不可能。うん、魔力瘤の成長が収まり、別の場所に魔力が流れ始めていますか……って、一ノ瀬2曹、日本のどこかに新たな迷宮が発生している可能性があります」

「如月3曹、その場所はどこか分かるか?」

「現時点では確認不可能です。もう少し細かい調査を必要としますが、今日の残留魔力では、ちょっと対処不可能です」


 ええ、いきなり私の保有魔力の7割を持っていかれましたからね。

 新たなダンジョンが生まれる際、ダンジョンコアが急速成長するときに周辺の魔力を根こそぎ吸収する事案がありまして。

 今、まさに私の魔力がそれで持っていかれたのですよ。

 

「そうか。回復まではどれぐらいの時間がかかる?」

「自然消耗ではなく、奪われた状態です。ここからの回復には一週間は必要かと。その間に、別の部隊で地上からの迷宮捜索が必要であると進言します」

「ベースワンに報告に向かう。如月3曹、同行するように」

「はっ!!」


 まさかとは思いますけれど。

 フランスのコンピエーニュ迷宮のような事態が、日本でも発生している可能性があるのかもしれません……。

 とりあえずは、市ヶ谷駐屯地に向かい、この件の報告を行うことになりました。

 はぁ、また嫌な予感がしてきましたよ。


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