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【幕間】中学時代Ⅲ

中学生の頃の玉子は、完全に心を閉ざしていた。


クラスの中で孤立しており、休み時間はいつも図書館で本を読んでいた。しかもその本というのは、韓国について書かれた本であるらしい。今から考えてみれば、嫌韓本というやつだったのであろう。


だからこそ気にかかった。


「敦巻さんは、いつも難しい本を読んでるね。」


ある日の昼休みのこと、司は思い切って玉子にそう声をかけた。


玉子は司をねめつけ、何なの――と問うた。


「いや、ちょっと訊きたいことがあってさ――」


「何?」


「その――韓国のことについて。」


それから、司は今までのことを掻い摘んで話した。


「それで、敦巻さんはこのことについて詳しそうだし――」


どう思うのか知りたくて――という言葉は、少しずつ小さくなった。


「そんなの、見たままのとおりだよ。」


玉子は拗ねたような顔で答える。


「韓国人は、自分たちは日本より偉い、むしろ日本人は野蛮な劣等民族だって考えてるの。だからこそ、日本人に対しては何をやってもいいっていう考えになるのね。」


玉子の一方的な物言いは、当然ながら司に困惑を与えた。


「――そうなの?」


「そうだよ。寿さんが見た画像なんてその証拠じゃないの?」


そう――と言い、司は(うつむ)く。


玉子は長い溜め息を吐いた。


「まあ、真実を言っても信じてもらえたことなんかないよ。それどころか、大人ぶって似つかわしくない本を読んでるって言われたこともある。どうせ寿さんもそんなふうに思ってるんでしょ?」


そんなことないよと司は言った。


「私は、敦巻さんの意見を色々と聴いてみたいよ? そのために話しかけたんだし。」


玉子はぶすっとした顔を変えなかったが、やがて鞄の中から一冊の本を取り出した。


「それだったら、これ読んでみたらいいよ。」


本を受け取り、これは――と司は問う。


「韓国人が書いた本で、日本人を批判した本だよ。連中が何考えてるかよく分かると思う。」


本の表紙には『日本がない』と書かれていた。

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