戦い
最初の攻撃は俺からだった。
聖剣を鞘から抜き去ると、居合切りの要領で執行者へと刃を向かわせる。
しかし、刃はあいつには届かなかった。
執行者は余裕の顔で、おれの攻撃をかわし、カウンター攻撃をしかける。
それを防いでくれたのは、さくらだった。
氷の塊が直撃しかけた瞬間、対魔法を発動させ、あいつの氷魔法を無力化させる。
おれたちの完璧なコンビネーションだった。
「小細工だな」
あいつは、少しだけ残念そうにそう言った。
おれの影からは、浦島さんがモリを使っての攻撃を試みる。
おれが死角になっていたため、あいつの回避はおくれてモリがあいつの体を貫通した。
「ぐぬう」
にぶい声をあげる。
執行者がはじめて弱気をみせた瞬間だった。
「ちょこざいなああ」
空気が一瞬にして凍結する。浦島さんは、避けることができずに氷の破片に襲われた。
浦島さんが無言で倒れ込んだ。
おれは、浦島さんをかばうためにあいつを急襲した。
あいつは、氷の刃を作り、おれに応戦する。
いくつもの刃がおれをかすめた。
同時におれの刃も執行者の体に襲いかかる。
あいつの忌々しい顔がおれの近くにうごめいていた。
しかし、あいつの思考は、博士の思考に近かった。
長く一緒にいた博士の思考を読むのは簡単だった。
おれはあいつの刃を受け止めて、さくらが浦島さんの救護を終えるまでの時間を稼いだ。
回復を終えた浦島さんもおれの援護に加わってくれた。
少しずつ、優勢となるおれたち。
おれの剣があいつの左腕をとらえた。
直撃できる確信があった。
しかし、吹き飛んだのはあいつの腕ではなかった。
おれたちの体が宙を舞った。
執行者の右腕が炎をまとっているのが見えた。
そういうことか……。
あいつは空気を瞬間的に凍結させて、右腕の炎で熱することで爆発を起こしたのだろう。
体の節々が痛かった。
「油断したな、ユウト」
「氷魔法以外も使えたんですね」
「言ってなかったか?」
「言ってませんよ」
まるで、博士と話しているような錯覚に陥る。
「では、終わりにしてやろう。楽にしてやるよ、ユウト」
氷の刃がおれたちに迫った。
浦島さんの計画通りに……。




