天空
目がさめると、おれたちは空にいた。
空を飛んでいるというわけではない。地面が空にあるのだ。覚醒したとき、おれたちは大地の淵にいた。もう少し泉の出現場所がずれていたら、間違いなくおれたちは地上へ落下していただろう。
この世界では、泉はここに残るようだ。
周囲を見回す。そこは、広大な大地と山々、美しく清らかな川が流れている。
「まるで、天空の城だな」
おれはそうつぶやく。前世でみた有名なアニメ映画をおもいだしていた。
「すごいね」
「まさか、この歳になって、空にあがるとはな」
三者三様の驚き具合だ。
「ここはどこなのでしょうね? 博士?」
「わからない。しかし、この大地は意外と広いようじゃ。少し散策して、情報を集めよう」
さすがは、旅慣れをしている博士だった。的確なアドバイスだ。
「ユウト。この前みたいに、いきなり怪物に襲われるかもしれないよ。気をつけてね」
「ああ、ありがとう」
おれたちは一時間ほど歩いた。この天空の大地には、森があり、泉があり、川まであった。
異形な鳥などに襲われたが、前回とは違い覚悟を決めていたので、そこまで苦戦しなかった。むしろ、村のうらに生息する熊のほうが危険なくらいだった。
そして、おれたちは、ひとつの村に辿り着いた。
「おや、客人とは珍しいですな。どちらから来なさったのです?」
村は農業を中心に生活しているようで、前回のときのように世界が滅亡していないことにおれたちは安堵した。村人たちによって、おれたちはもてなされる。どうやら、久しぶりの客人ということだ。
「これは、これは。こんな辺鄙な村に客人とは。よく来ていただいた。わたくしは村長のカーラと申します」
「わたしは、ハルと言います。学者でして、各地の伝承を集める旅をしております。そして、こちらは助手のユウトとさくらです」
ハル博士は、事前に決めておいたプロフィールを話した。これがどの世界でもピンとくる説明だ。
「なるほど、学者様でしたか。それは、それは。では、今日は宴です。ゆっくりしていってください」
前回の世界とはまるで異なるフレンドリーさだ。おれたちは安心した。




