表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/93

荒野

「ここは……」

 おれは確かに遺跡の中にいたはずだ。いたはずなのだ。だが、ここは遺跡ではなかった。

 砂だけが延々と広がる夜の荒野におれたちは倒れていた。

「さくら、博士大丈夫か?」

 おれは隣で倒れていたふたりを慌てて抱きおこす。


「うーん」

「あの光は一体……」

 ふたりは起き上がった。どうやら無事らしい。

 話を聞くと、おれが泉の中に引き込まれるのを助けようとして、光のなかに飲み込まれてしまったようだ。


「遺跡は? ここはどこ?」

「わからない」

 さくらはパニックになっていた。おれの中にもひとつの可能性が思いつく。たぶん、彼女も同じ可能性にたどりついたのだろう。“転生”という可能性に……。

 また、おれたちは別の世界に来てしまったのではないだろうか。

 おれたちは、また死んでしまったのかもしれない。

 動揺しているおれたちをしり目に、博士は砂をいじっていた。


「この砂は、わしたちがいた場所のものとは違うものじゃな。特殊な形状をしている。まるで、一度高温で焼かれているような……」


<じゃり、じゃり>

 おれたちの後ろで、足音が聞こえてくる。その音は人間が作り出した音ではなく、獣がつくりだした野生の音だった。おれたちは身構える。振り返ったおれたちの後ろにいたのは、狼とクモを合成させたような三匹のキメラだった。いくつもの不気味な足と、鋭利な牙をもつ化け物。こんな生き物は、おれたちが生きた二つの世界にこんな生き物はいなかった。


「がるるるる」

 肉食獣のような凶悪な叫び声をあげるキメラたち。明らかにおれたちに敵意をむけている。

「さくら、おれの後ろに隠れろ」

 おれはそういうと、腰にささっていた宝剣を抜く。剣の訓練なんて、ほとんどしたことはなかった。だが、ここでやらなければ、おれたちは……。

「ユウトくん。三十秒ほど時間を稼いでくれ。そうすれば、あとはわしがなんとかする」

 博士は真面目な声でそう言った。大賢者の一言でおれは少し心が落ち着いた。

 あの時、隕石からさくらを守れなかったことの再現はごめんだ。


「うおおおおおおおおおお」

 おれは、三匹の魔物に向かって突撃する。

 やつらは、虫のような足を武器にして、おれに襲いかかる。

 一本、二本とやつらの攻撃をかろうじてかわすことができた。三匹目の攻撃がおれの肩をかすっていく。熱い激痛がおれの体を揺さぶった。


「死ぬわけにはいかない。死ぬわけにはいかねえんだよ」

 無我夢中でそう叫んで、おれは剣をふるった。

 群れの一匹が四散する。切ったような感覚はなかった。とても軽い。

 これならいける。おれは自信をもって次の一匹に狙いを定める。しかし、やつらの動きは軽快だった。


 放心していたおれの足に向かって、足を突き刺す。さきほど以上の激痛だった。あまりの痛みにおれは倒れ込む。

「ユウトくん、伏せろ」

 その直後、博士の大声が響いた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ