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アルカディアの子ども  作者: 梨香


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光の魔法

 次の日は、魔法訓練の日だ。


「光の魔法を覚えられるかしら?」


 ヨナも魔法は自信が無さそう。


「大丈夫よ! 師匠達が森の人(エルフ)は全員光の魔法を生まれた時から持っていると言っていたもの。子どもが成長するのが早いのは、光の魔法をつかっているからなのよ」


 サリーは、ヨナと仲が良い。ワンナ婆さんの家で、私が行くまで女の子同士遊んでいたからね。


 私がワンナ婆さんの家に通い始めた頃は、ヨナに世話になったけど、冬が終わる前に森歩きを始めたから、サリーよりは一緒にいた時間が少ないんだ。


 それに、私やサリーが森歩きし始めた頃には、卒業していたしね。

 ジミーは、まだ残っていたけどさ。


 その日の魔法訓練は、メンター・マグスが三人に光の魔法を渡して、それを感じるところからだった。


 私は、リュミェールに光の魔法の特訓を受けることになった。


「ミク、ちゃんと集中して! あちらは、メンター・マグスに任せておけば良いんだよ!」


 リュミェールに言われると、ちょっとムカッとするけど、その通りなんだ。

 オリビィエ師匠にもりミクはミクのやるべき事をしなさい」と言われたしね。


「集中しても、なんだか魔法がスルッと抜けちゃうんだ」


 守護魔法を掛けても、長時間は無理なんだよね。


「スルッと抜ける? 意味がよくわからないけど……私の苦手な土魔法を使う時、ちょっと掛かりにくい感じと同じなのかな?」


 リュミェールって、全魔法が使えるんだよね! 

 ただ、光の魔法はスキル持ちだから、凄く得意!

 風の魔法と火の魔法もまぁまぁ上手。

 水もまぁ使えるみたい。土は、苦手っぽい。


「ミクは、土の魔法が得意なんだよね。空間魔法も使えるし、魔法が使えないわけじゃないんだから、コツが掴めればいけると思うんだ」


 意外にも、リュミェールは真剣に考えてくれた。


「一緒に、守護魔法を掛けてみよう!」


 手を握って、リュミェールと一緒に守護魔法を掛けてみる。


「わぁ、凄く安定している!」


 リュミェールは、褒め言葉に弱い。


「当たり前さ! 光の魔法のスキルを持っているんだからね! ミクのは、揺れている気がするよ。もっと落ち着いて、自信を持って掛けたら、安定するんじゃないかな?」


「うん、ありがとう! やってみるね!」


 深呼吸して、リュミェールの守護魔法を思い浮かべながら、掛けてみる。


「あっ、良い感じだよ!」


 褒められるのは、私も大好きだ! 自信が出ると、上手く出来る気がする。


「おお、ミク、それにリュミェールも頑張ったな! リュミェールは、教えるのが上達したみたいだ。人に教える事で、自分も成長するのだよ」


 リュミェールは、アルカディアで一番幼い子なので、ちょっと私やサリーに『チビちゃん』なんて呼ぶくせがあったけど、悪い奴ではないんだよね。


「光の魔法、少し感じただけだったわ」


 ヨナは、習えるのか不安そうだ。


「私もそうだったわ! ちょこっと暖かい気がしただけだったの」


 ヨシも感じただけだったみたい。


「ジミーは?」と聞いたら「わかんない」と答える。


「何も感じなかったの?」


「ちょっと変だった」


 ジミーと話をするのが、大変なのを忘れていたよ。


「その変な感じが光の魔法なのよ。それを身体に巡らせるの!」


 ジミーの手を握って、光の魔法を注ぐ。


「ああ、これか!」


 ジミーって、勘が良いんだよね。思ったよりも魔法訓練に向いていそう。

 勉強の方が苦労しそうだよ!





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