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アルカディアの子ども  作者: 梨香


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ヨシと薬師修業

 学舎の初日は、皆疲れたみたい。ジミーは、学習が大変そうだ。

 

 身体を動かすのは得意だけど、文字は読める程度だからね。


 ヨナは、ジミーよりは勉強することに抵抗はない感じ。

 狩人の村では学ぶ機会がなかっただけかもね。


 ヨシは、やはり体力がないみたい。

 学習の方は問題ないけど、武術訓練、屈伸運動をちょこっとしただけで、グロッキー。


「ヨシは、昼食後は昼寝をした方が良さそうだ」


 オリビィエ師匠は、薬師として体調管理にも詳しい。


「僕も手伝います」とヨシは、言うけど、誰が見ても体力の限界だ。


 ああ、ヨシを見ていると、前世の私を思い出す。


 他の子が何気なくできる事が、できなくて辛かった。


「ヨシ、少しずつやれば良いのよ。今、無理をしたら、病気になるかもしれないわ」


 ヨナも同じ気持ちなのか、二階の部屋に連れて行った。


「昼から、森に行きたい!」


 ジミーは、元気いっぱいだね。


「そうね! ちょっと奥まで行こうかしら!」


 えっ、ジミー! 知らないだろうけど、アリエル師匠はドラゴン・スレーヤーなんだよ。


「ちょっと奥って、川を越えるんじゃないのか? 子どもを連れて行くのは反対だ」


 オリビィエ師匠が止めてくれたけど、ジミーとヨナとサリーを連れて森にいっちゃった。


 私は、オリビィエ師匠とお留守番だ。ヨシが寝ているからね。


「明日は、魔法訓練の日だけど、皆は大丈夫でしょうか?」


 オリビィエ師匠は、薬草を整理していた手を止めて笑う。


「ミクは、自分の事だけ考えていれば良いのだよ。あの子達を引き受けたのは、私とアリエルなんだから。それに、光の魔法を頑張って取得しないといけないのでは?」


 そうだよね! なんとなく、気持ちが軽くなった。


 ヨシがお昼寝から起きてきたので、薬草の整理を一緒にする。


「ほら、こちらの薬草とあちらのは葉の形は似ているけど、嗅いでごらん」


 ヨシと一緒に薬草を嗅いでみる。


「こちらのは、スッとした匂いです。あちらのは、ちょっと土の匂いがします」


 そう、一発で正解! 私は、何回か嗅ぎなおしたんだよね。


 途中から鼻がバカになって、間違えちゃったんだ。


「ミク、この薬草が載っている本を、ヨシに見せてやりな!」


 ふむ、これって私がちゃんと覚えているのかのテストなのかな?


「ヨシ、スッとした匂いの薬草は、弱った胃腸に良いんだ。土の匂いの薬草は、下痢止めになるんだよ」


 オリビィア師匠が「よくできたね!」と頭をぱふぱふしてくれた。


「明日は、これを採りに行くよ。これは、魔の森の浅い場所にも生えているから、覚えておくと良いんだ」


 いずれは、人間の町に行くかもしれない。魔の森の奥にしか生えない上級薬草頼みでは駄目なんだ。


 特に、ヨシは神父になるかもしれない。浅い場所なら、手に入れやすいよね?


 ヨシは、私が持ってきたオリビィエ師匠が書いた薬草の本を嬉しそうに読んでいた。


 少しずつアルカディアの生活に慣れると良いな。


 夕食の用意をしていたら、アリエル師匠がクタクタのサリー、ヨナ、ジミーを連れて帰ってきた。


「お帰り! もうすぐ夕食だけど……先にお風呂に入った方が良さそうね」


 だって、アリエル師匠はいつも通りなんだけど、三人はドロドロなんだもの。


「何を討伐したんだい?」


 オリビィエ師匠も首を傾げている。私は、お風呂の用意をしたよ!


「ちょこっとトレントを討伐させただけさ。甘い樹液をたっぷりと溜めたトレントが二本も歩いていたからね」


 トレント! 甘い樹液は嬉しい!


「風の魔法で根っこを切らしたのか? でも、狩人の弓スキルとトレントは相性が良くないぞ。斧とかの方が良いと思うが……」


「そうよね! だから、ヨナとジミーには斧を貸してあげたの。なかなかの奮闘ぶりだったわ」


 慣れない武器で、初トレントを狩ったんだ。


 オリビィエ師匠は、非難の目で見ている。


「ちゃんと三人には守護魔法をかけてあげたから、怪我は無いわよ」


 お風呂の用意ができたので、三人を入らせる。


「ヨシ、料理を手伝って!」


 ヨシは、料理の才能は無さそうだけど、言われた事はできる。


「シチューを運んでね!」


 今日は、お疲れの皆の為に食べ易いホワイトシチューにした。


 それと、いつもよりは少し固めのパン! シチューにつけて食べるには、固めのパンの方が好きなんだよ。


 デザートは、アップルパイ! やはり調理用のオーブンがあると便利だよね。


 三人がお風呂から出たので、夕食だ。


「自分の得意な事以外も学ばないといけないのよ」


 アリエル師匠の言う事も理解はできるけど、いきなりは駄目なんじゃないかな?


 でも、ヨナとジミーは、食事を終えたら体力も回復したみたい。


「サリーは、先に寝て良いよ!」


 魔力を使い果たしたサリーは、もう眠そう。


「うん、今度ミクが疲れた時には任せてね!」


 オリビィエ師匠の方が乱暴な言葉遣いをしたりするけど、私がヘロヘロになるような事はしないと思うんだ。


 それにヨシの健康面も気にしている。それより、ヨシに薬師の修業を追い抜かれないようにしなきゃ!


 ヨシったら、オリビィエ師匠の本を暗記しちゃったんだもの! 知識スキルって凄すぎるよ!



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