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第45話  決戦は円良田湖! エモバグ軍団VSキュレーショナー Aパート

 大槻月姫(おおつきげつき)ちゃんは路上を一人で歩いてるところを保護された。

 プリジェクションペアーがプリジェクションアンダーとプリジェクションバレッタとバトルしたその夜半の事だった。


 彼女は次の日の朝、大事をとって入院したいろちゃんの部屋にわたしとももと一緒にお見舞いに行ったんだ。


「あたし、お兄ちゃんと妹の気持ちを分かってあげられなくて後悔したから」


 いじめが原因で自殺したいろちゃんのお兄さん。

 それなのに成功と判定されたEPMの心理実験に反発して、マジョリティのキュレーショナーになったいろちゃんの妹、きいちゃん。


「だから月姫ちゃんの事、放っておけなくて」


「いろちゃん……」


 自分を騙して利用していた月姫ちゃん。

 それでもいろちゃんは友達でいる事を選んだ。


「でも負けちゃって、月姫ちゃんに助けられちゃったけどね」


 本当はアンダーはいろちゃんの腕を折ってリタイアさせるつもりだったらしい。

 月姫ちゃん必殺技によってそれは阻止されたのだった。


「あたしもヒーローとしてはまだまだだなあ」


 はにかむいろちゃん。


「そんな事ないよ……。


 いろちゃんはわたしのヒーローだよ」


 何度もすすりあげながら言う月姫ちゃん。


「わたし達はこれからも友達だからね」


 ハグし合う二人。

 二人とも怖い目に遭ったけど、大変な状況を回避できたのは幸運とも言えた。



 さて、月姫ちゃんの情報でガールズルールの新しいアジトが隣の岡部町の廃工場にある事が判明した。

 しかし、アジトはすでに引き払われた後だった。

 まあ止むを得ない事だと思う。


 そして、時を同じくして、ガールズルールの資金源が特定された。

 それはやはり旭日照子(あさひてるこ)の祖父、旭満(あさひみつる)だった。

 即日、彼の資産は凍結。

 ガールズルールは活動できなくなった。


 それでは今彼女達がどこにいるのか。

 美里地区の防犯カメラにそれらしき姿が確認できたという。

 さらに彼女達の行き先まで特定できた。


 どうやらガールズルールは美里地区から円良田湖(つぶらたこ)へ向かったらしい。



 円良田湖とは寄居町と埼北市美里地区に跨る人造湖。

 周囲4.3km、湖面積11万平方メートル。

 自然環境が素晴らしく、ハイキングコースとしても人気がある。

 ヘラブナ釣り、ワカサギ釣りもできちゃう。

 オススメ。



 埼北市に出張している公安警察は、初めから円良田湖に当たりを付けていたみたい。


 話は旭日照子の来日まで遡る。


 親子三代のレボリューションの申し子である日照子は、海外にいた時期から動向をマークされていた。

 それなのに今回は来日後の消息が途絶えてしまった。


 旭日照子は秩父電鉄から徒歩でこの円良田湖のハイキングコースを通って埼北市に入ったのだ。


 円良田湖は寄居市を含んでいるが、観光の促進のためにEPMのプロジェクターが設置されている。

 変身すればハイキングコースを短時間で移動できる。


 それが旭日照子の公安警察の目をくらまし、短時間で埼北市に入れた理由だったみたい。


 今回も同じルートで脱出を図っているという。



 三カ年計画達成のために、わたし達はエモバグの発生を止めなければならない。

 さらに、サイスフィアを生成する「エモーショナルディープラーニング」の奪取はAI量産のためには不可欠だ。


 敵が逃げれば勝利という訳ではない。

 逃がしてはならないのだ。


「もっともわたしはガールズルールも逃げるだけではないと思っている」


 親バートンの見解はこうだった。


「逃げおおせられるとは考えていないだろう。


 向こうから君達に仕掛けてくる可能性は高い。


 油断してはいけない」


 仕掛けられればインフルエンサーは敵うか分からない強敵だ。

 確かに油断してはいけない。


「もう一人のわたしも、わたしより優れている事を示そうと考えているはずだ」


 人とテクノロジーの共存を目指す親バートン。

 人間のレボリューションの可能性を目指すダーク親バートン。


 この両名も雌雄を決しようとしている、という事だ。


 時期は肌寒くなってきた11月、わたし達は決戦の地、円良田湖に向かったのだった。



 お父さんの車で美里町を長瀞方向へ。

 いつも遠くに見えていた山々が近づいて来る。


 広木折原線(国道349号線)は、緑の山々に囲まれながら、しっかり舗装された国道を快適に進む事のできるドライブコースだ。

 オススメ。


 このままハイキングに行けたらさぞかし気分爽快だろうが、そうはいかないのだった。


「エモバグが出たべぇ!」

「エモバグが出たぷー!」

「エモバグが出たっち!」


 ゆるキャラ達が反応を示す。


「色は……よく分からないベェ」


 そんな事あるんだ。


「でも複数体いるベェ。

 数は……、どんどん増えてるベェ!」


 どんどん増えてる?

 やはりガールズルールは仕掛けてきた!



 ドライブコースを覆うばかりのエモバグの大群だった。

 色は白。

 お決まりの抑揚のない大音量は聞こえない。


「エモーショナルディープラーニングをしてない器だけのエモバグのようだ」


「キレキレ攻撃やエモーショナルアーツを使わなくても倒せそうです」


 親バートンとあかねが解析してくれた。


「それでも攻撃力はあるみたいね」


 ももの言葉通り、周囲の木々を破壊している。


「やっつけないと先に進めないね」


 車を降り、スマホを構えるわたし達だったが、


「待ちな!」


 不意に聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「ここはあたいらに任せてもらおうか!」


 そこには意外な、しかし見覚えのある四人の姿が。


<つづく>

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