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【書籍化1~2巻発売中!】必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~  作者: スクイッド


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反撃じゃい!

「複数捕捉」


 俺は足を縛っている縄を見て、体を軽く捻って手を縛っている縄を見て【複数捕捉】を使う。これで前準備は完了だ。


「魔法矢。フッ!」


 両手に魔法矢で透明な矢を作り出し、それらを同時に上に向けて当たれと願いながら手首のスナップを利かせて投げる。


 投げられた二本の透明の矢は上に飛んでいき、途中で曲がって一本は足を縛っていた縄を射ち抜いた。


「うおっ!なんだ!?お前!なにをした!」


 突然のことに驚きの声を上げ、銃口を俺に向けてくる黒ずくめの男。


 だけど、そんなのは関係ない。


 足の縄が切れた瞬間立ち上がり、それと同時に手の縄も、もう一本の透明な矢が射ち抜いてくれた。

 そして、自由になった両手に今度は【魔法矢】で透明な矢を八本作り出す。


「複数捕捉」


 今度は黒ずくめの男達が使っている銃に【複数捕捉】と【魔法矢】を使い、引き金を引く前にすべての銃を破壊する。


「なにぃっ!!?」


 俺がいきなりのことで驚いている隙を逃さず、そのままステージ上の黒ずくめの男の一人に接近して、鳩尾に向かって拳を叩き込む。


「ぐぼぁっ!!」


 すると、黒ずくめの男は吹き飛び、ステージ舞台袖の壁に激突して気絶する。


「まず一人」


「この野郎!」


 もう一人の黒ずくめの男がサバイバルナイフを取り出して突進してきたけど……遅い。


「なにっ!!?」


 黒ずくめの男の攻撃を、一歩引いて回避し、すれ違いざまに手刀を首筋に打ち込んで意識を失わせる。


「これで二人」


 さすがにこうやって正面の戦いなら、だいたい500レベルぐらいの相手には負けないな。


 ……首トンって危ないってどこかで聞いた気はするけどこの男もレベルが上がって耐久も上がってるだろうし、最悪どこかの病院で【回復魔法】でもかけてもらえば良いだろう。


「次は──」


 次に倒すべき相手を探そうとした時、生徒達に銃口を向けて脅していた男達が、ナイフや他にも隠し持ってたであろう拳銃を持って生徒達を人質にしようと動いていた。


「複数捕捉、魔法矢。フッ!」


 だけど、それを俺が許すわけもなく再びすべての武器を【複数捕捉】と【魔法矢】の合わせ技で射ち抜き、全員を無力化させる。


 そして、六人いるうちの近くにいた一人に近づき、鳩尾に膝蹴りを入れて悶絶させて、更に顎を打ち抜いて意識を落とす。


「三人」


 残り五人。


「てめぇ!」


 そして、比較的近くにいた一人が俺の方へ駆け寄ってきて、殴りかかってきた。


 その動きは素人というものではなく、それなりに訓練されていることが窺えるものだ。


 だけど、その動きは俺からしたらスローモーションのように見えてしまい、かなり余裕がある。

 俺は【アイテムボックス】から取り出した鞘に入ったままの疾走の短剣で、避けると同時に男の鳩尾に突き刺す。


「が、がぁっ……」


 すると、男は膝から鳩尾を両手で押さえながら崩れ落ちる。


「四人」


 残るは四人。


 そのうちの二人は俺に突撃してきて、残りの二人はまだ生徒達を人質に取ろうとしてるのか、生徒達に近づいていた。


 ステータスもまだあるかわからない生徒は、500レベルぐらいの男達からしたら武器がなくても簡単に殺せるような相手だ。


 近づかせるわけには……!


「おらぁ!」


 と、生徒を人質にしようとした男達を止めるために近づこうとした次の瞬間。そんな声と同時に生徒達を人質にしようとした男二人が吹き飛ばされた。


「なっ!?」


 俺は突然の出来事に驚き、思わずそちらを見てしまう。

 すると、そこには拳を振り抜いた体勢の中本さんが立っていた。


 中本さんに殴られたってことだよな……?

 てか、ちゃんと手加減はされてるよな?ちゃんと生きてる?


 だけど男達の心配より──


「フッ!」


「ごはっ!」


 ──制圧が優先だ。


 中本さんの拳によって吹き飛んだ男達を見て呆然としていた一人目に接近して、その顔面に拳を叩き込む。


「ぐふっ……!」


 その一撃で鼻血を吹き出しながら倒れる男。


 そして、このまま二人目も……


「フッ!」


「ぐぼぁっ!」


 鞘に入った疾走の短剣を使って、頭を殴りつけて意識を刈り取る。


「よしっ!」


 これで体育館に残ってるのは、俺達や生徒達、先生。そして、気絶している黒ずくめの男達だけになった。


「楓!ナイスだ!さっさとこいつらを縛り上げるぞ!」


 中本さんに言われて、こいつらが懐にしまっていた俺達を縛った縄と同じものを使って、次々と縛り上げていく。


 混乱していた生徒達は、中本さんのパーティーメンバーや結愛、先生達が対応してくれたから大丈夫そうだ。


 警察も先生が呼んでくれてるらしいし警察が来るのも時間の問題だろう。


「楓!そっちはどうだ!」


「もうすぐ終わります!」


 そう言って、縄で縛られた黒ずくめの男達を、後ろ手に親指同士をくくりつけるようにきつく縛り、足も同じく足首と太腿をぐるっと巻き込むようにして縛り付ける。


「これで最後っ!」


 すでにステージ上の二人も拘束し終えているらしく、こちらに向かってくる中本さんと目が合う。


 中本さんも縛り上げたらしい四人の男達を引き摺ってこっちに近づいてきていた。


「楓。こっちは終わったぜ」


「はい、こっちもです」


 そして、二人で協力して縛り上げた黒ずくめの男達を全員ステージ上に連れていって並べていく。


 とりあえず男達を起こして正体を問い詰めようかと思ったけど、今はとりあえず全員気絶したままにしておいた。

 組織的な犯行っぽいし、なにか共通の装備があれば起こす必要もないしな。


 さてさて、それじゃあその正体確かめさせてもらいましょうか?

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