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【書籍化1~2巻発売中!】必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~  作者: スクイッド


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異変

 地上に戻ると、そこには俺達と同じようにダンジョンから出てきたであろう探索者達がいた。


 全員、それぞれが武器を構えていて、これからオークの討伐を始めるようだ。

 というか、すでにあちこちにオークの死体が転がっていることからして、もうモンスターが地上に出始めてきてるんだろう。


「付近にいたEランクダンジョンのモンスターと戦えない探索者に協力してもらい、一般人を巌窟のダンジョン付近から避難は完了しました」

「援軍は?」

「それが、今日が日曜なのもあって探索者が遠出をしていてすぐに来れる探索者がいないようでして……協会には要請したので、おそらく二時間もすれば応援が来ると思われます」


 このダンジョンの監視者であろう男と一人の強そうな探索者の話を聞いて、俺は安堵すると同時に、他の探索者に申し訳なくなる。


 ……ああ、ボス部屋のことを話さなきゃな。


「凛達はあっちの負傷者が集まってるところにいてくれ。俺はちょっと監視者にボス部屋のことを話してくるから」


「わ、わかりました!天宮さんお願いします!」


 三人と別れて、俺はさっき話をしていた監視者と思われる男に、黒づくめの二人を引きずって近づくのだった。


 まあ、これぐらいじゃ探索者だし(以下略


 ***


「よし。ここならダンジョンの入り口が良く見えるな」


 俺は、監視者と思しき男に声をかけると、そのまま黒ずくめの二人を事情説明と同時に引き渡した。


 そして、【隠密】を使ってその場を離れて、ビルの屋上に登り、そこからダンジョンの様子を窺う。


 入り口付近では次々と出てくるオークを相手に盾を持ったタンクや、剣や槍などの近接武器を持つ探索者。

 銃を使う探索者は、俺みたいに必中ではないから誤射を考えているのか、あまり使っていない。

 魔法を使っている探索者は上手くローテーションを組んで、入り口に魔法を放り込んで上手くオークを前衛の探索者を巻き込まないように倒している。


「だけどそれでもオークの数が多すぎるな」


 魔物暴走には俺達探索者がwave(ウェーブ)と呼んでいるものがある。


 これは、ダンジョン内で発生するモンスターが、段階に別れて次々と現れる現象のこと。


 高いランクのダンジョン、例えばAランクのダンジョンなら、このwaveがモンスターが強いからなのか3~5回とかなり少ない。


 だけど、ここはEランクダンジョン。

 モンスターが弱い分、1回のモンスターの数が多く、wave数も多い。


 いや、ほんとマジで。


 PouTubeで動画を見たけど、こんな一気に出てくんの!?って思うぐらいの数出てきてたしな。


「お?危ないぞっと!」


【鷹の目】で上がった視力で見えたオークの棍棒に押し潰されそうになっていた探索者を助けるために、【魔法矢】で作った矢を射ち出す。

 その矢は、オークの頭に直撃して、一撃で倒すことに成功する。


 助けた探索者はキョロキョロ辺りを見渡しているけどビルの屋上にいる俺を見つけられるわけもなく、そのままオークとの戦いに戻っていった。


「これで20wave目か。これなら援軍が来るまで充分持ちそうだな」


 今回、巌窟のダンジョン周辺にいた探索者がレベルの高かった人達で本当に良かった。

 これがもし、普通の低レベル探索者しかいなかったら、あっという間に全滅していただろう。


 てか援軍まだー?


「あと少し頑張……うん?」


 またオークがダンジョンから出てきたから次のwaveが始まったと思ったんだけど、よく見たら普通のオークじゃなくね?


 オークに赤いオーラみたいなものが……てかあれ、多賀谷のやつと一緒じゃね?


「あれは……いや、まさかな。そんなはずはない……よな?」


 俺の頭の中にとある可能性が浮かぶ。

 いや、でもそれは流石に無理があるだろ……


「でも、どう見ても同じだよな……?」


 あの赤いオーラっぽいのは、多賀谷が纏っていたものと同じに見える。


 そして、【鑑定】をしたらステータスにも状態異常と同じように憤怒という表記……多賀谷が叫んでたスキル名と同じだよなあ……


「しかもなんか強くね?」


 さっきまでオークに対応できてた探索者達が、オークに押されている。


 オークのステータスが上がってるのか?

 そうだとしたらこのままだとマズイな。


 俺もオークの数は削っているけど、明らかに削る数よりも出てくるオークの数の方が多そうだ。

 それに、今はなんとか耐えているが、いつ他のモンスターが出てこないとも限らない。


「Eランクダンジョンだから最大であと5waveのはず……それならいけるか」


 Eランクダンジョンの最大wave数は二十五回。

 すでに20wave終わっていて、今のwaveを含めても残りは5wave。


 これならなんとかなるか?


「シッ!」


 今度は数を減らす速度を加速させるめに三本同時に【魔法矢】を作り、それを別々のオークに向かって放つ。


 さすがにこれは通用するよな?


 そんなことを考えながら射ち出した三本の矢は、赤いオーラを出しているオーク達に直撃して、後ろにいたオーク達もまとめて吹き飛ばす。


 うん。普通に効いたわ。


 これなら――


「なんとかなりそうだな!」


 とにかく射つ、射つ、射つ。


【魔法矢】で三本ずつ矢を作って射ち出してオークを狙い射っていく。

 そして、その度に後ろにいたオーク達が巻き込まれて倒れていく。


 今回ばっかりはとにかく射ち続ける。

 MPの消費も減ったし、MPの総量も増えて、MPの回復速度も上昇してるからMPの心配はしなくてもいいからとりあえず射ち続けていく。


 さて、あとはどうなるかな……このまま終われば良いけど。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] mp1000使うスキル使った後なのにそんなによゆうあるの?
[一言] 主人公は普通の矢は使わんのか?MP切れや温存を考えて購入を検討してもいいと思うな、どうせこれからも弓の医療でゴリ押してくんだろうと予想出来るけど…毒矢とか火矢とかさ
[良い点] 面白い [気になる点] ん?何でわざわざ隠密してまで隠れて撃ってるんだろう……? 敵前逃亡とか疑われるんじゃ?
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