指導開始
「ふわぁ~ねむ……」
赤髪の少女、赤木凛と金髪の少女、金崎莉奈と茶髪の少女、高梨杏樹のパーティーとの打ち合わせで今日の集合時間は朝9時となった。
そのため、俺は8時半ぐらいには家を出て、Eランクダンジョンの巌窟のダンジョン前で待機している。
ポーションもMPポーション含めて買い足しておいたから回復は問題ないはず。
「ステータス」
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レベル605
HP:6070/6070 MP:4045/4045
攻撃力:677(+52)
防御力:627(+12)
俊 敏:1867(+1247)
器 用:782(+152)
精神力:2022(+1412)
幸 運:50
BP:0
SP:15
スキル:【魔法矢Lv.20】【弓術Lv.10】【鷹の目Lv.10】【アイテムボックスLv.7】【捕捉Lv.10】【鑑定Lv.5】【MP増加Lv.10】【MP回復速度上昇Lv.10】【短剣術Lv.7】【索敵Lv.9】【隠密Lv.5】
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龍樹の弓Lv.278
・龍樹の体から作られた弓。
・攻撃力+777
・使用者の成長に合わせて龍の特性により共に成長していく。
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「それに、スキルにステータスも上げられるだけ上げきった。武器も整備した……うっし!これでいつでも行ける!」
BPは俊敏と精神力に全振り。
スキルは【鷹の目】、【MP増加】、【MP回復速度上昇】をスキルレベル10に。【索敵】をスキルレベル9に上げた。
そして、新しく【隠密】のスキルを取得した。
この新しい【隠密】スキルだが、自分の存在を薄く、透明にして周囲の景色に紛れることで、相手から発見されにくくなる効果がある。
「これがあれば彼女達が俺に頼りきりなんてこともなくなるし、これからもソロでダンジョンに潜る俺からしたら腐らないスキルだしな」
そして、最後にSPが大量にあったから【魔法矢】のスキルレベルを20まで上げておいた。
攻撃力の倍率が1.0になったり、消費MPが15に減ったりしたけど、スキルレベルが20。
ユニークスキルのスキルレベルが10の倍数になったおかげで新しい効果が増えた。
今回は新しいスキルとかではなく、新しい効果だ。
その効果は--
「あ!いたいた!天宮さーん!」
そんなことを考えているうちに約束の時間になり、凛達が来たようだ。
声が聞こえてきた方を向くと、そこには先日とは違い、しっかりと武装をした彼女達の姿が見えた。
凛は胸当てと片手剣。
莉奈はメイス。
杏樹は短剣をそれぞれ装備していた。
「おはよう。凛、莉奈、杏樹」
「うん!おはよ!」
「お、おはよぅございましゅ!」
「おはよう、あまみー」
挨拶をしてみれば、元気いっぱいで返事をする凛。
緊張気味ながらもなんとか挨拶をしてくれた莉奈。
そして、マイペースな杏樹がいた。
ちなみに、俺のことをあまみーと呼んだのは杏樹だ。
最初は天宮さんだったのだが、何故か急に呼び方が変わった。
「今日はよろしく」
「こちらこそ!」
「よ、よろしゅくおねがいしまひゅ!」
「よろしくね」
「よし、それじゃあ早速行くか」
挨拶もしたし、戦闘方法は昨日打ち合わせもした。
凛は片手剣を使った近接戦闘、莉奈は近づかれた時の対策でメイスを持っているけど回復魔法を使って、杏樹が短剣で遊撃。
パーティーメンバーが誰も遠距離攻撃ができないのが気になるけど、そこは臨機応変に対応してもらうしかないな。
「うん!それじゃあしゅっぱーつ!」
先頭を凛が歩き始め、その後ろに莉奈、杏樹、最後尾に俺という順番でダンジョンの中へ入っていく。
巌窟のダンジョンは攻撃力や防御力の高いオークが出てくるけど、その分素早さがないから注意すればEランクダンジョンに来たばかりの探索者でもちゃんと倒せる。
そんなわけで--
「それじゃあ俺は近くにはいるけど、危ない場面にならない限り、手を出さないから頑張ってくれよ。じゃ!」
そういって俺は【隠密】スキルを使って凛達の前から姿を隠す。
「え!?天宮さんどこにいったの!?」
「わかんないよ~」
「多分だけど隠密スキル。気配すら感じなくなったし」
こうして聞くとちゃんと【隠密】スキルはちゃんと機能してるみたいだな。
それにしてもさすが【隠密】スキル。
人類にステータスが発現して最初に国がやったのが、【魔道具作成】のスキルで透明になれる【隠密】対策のセンサーを作ることだっただけのことはある。
「そっかぁ~じゃあ近くに居てくれてはいるみたいだしとりあえず、行ってみよ!」
そういうと凛を先頭に3人は進んでいく。
一応巌窟のダンジョンのボス部屋までのルートは調べてきているのか、すらすらとボス部屋までの道を最短ルートで進んでいく。
ふむ……事前に情報はちゃんと集めているか。
……お?これは……さて、情報収集能力はよし。
後は実際に戦えるかどうかだが……
「ん?二人とも、止まって。くるよ」
俺が気づいて、少ししてから杏樹が凛達に警戒を促す。
すると、前方から一体のオークが歩いてきた。
オークはこちらに気づくとすぐに戦闘態勢に入る。
「戦闘準備!」
そして、凛達も凛の声に反応してそれぞれ武器を構える。
「ブモァァアアッ!」
先手を取ったのはオークだ。
持っている棍棒を振り上げ、凛に襲いかかる。
対して、棍棒をギリギリで回避した凛は、そのまま片手剣で斬りかかる。
「せい!」
一応【剣術】のスキルはあるらしいけど、そこはEランクのモンスターで、防御力とHPが高いオーク。
一撃では致命傷を与えることはできなかったらしく、棍棒を横薙ぎにして反撃してくる。
しかし、それは想定内なのか、そのまま屈んで避けて、凛はまた、連続で攻撃していく。
「油断大敵」
凛の方に注目していたオークの背後から短剣を構えた杏樹が接近する。
そして、首元を狙って短剣を突き刺す。
「グギィッ!!」
「まだまだいくよ!」
後ろからの奇襲。
それに驚いたオークは慌てて振り返ろうとするが、既に遅い。
既に、凛の攻撃によって体勢が崩されていて、杏樹が攻撃を成功させて首に短剣が突き刺さっていた。
「えーい!」
すると、今度は莉奈がメイスを構えながら凛達の方に近づいてきており、メイスを思いっきり振り下ろす。
それは技術もなにもない力任せの振り下ろしだったけど、それが逆に功を奏し、メイスは見事に頭に直撃して、オークを怯ませることに成功する。
「ナイス莉奈!杏樹!とどめいくよ!」
「わかった」
凛が叫ぶと杏樹は再び、オークの背後に素早く回り込んで、足の腱を狙って短剣を振るう。
「ブモォ!?」
そして、杏樹が攻撃を終えた後すぐに、凛が再び動けなくなったオークに向かって走っていく。
「これでとどめ!」
凛が片手剣を両手に持ち替えると、そのまま振り上げて、オークの頭をかち割った。
「ブ……オオ……」
「やった!倒したよ!」
オークは断末魔を上げて、倒れ伏すと、そのまま動かなくなった。
なるほど、いい戦闘だったな。
凛はオークの棍棒を受け止めることはせずに攻撃しながらも回避に徹していたし、莉奈は隙をついてメイスを使って強力な一撃を与えていた。
そして、最後に杏樹だが、背後を取るような動きに、とどめの時の短剣による素早い攻撃で足の腱を切断し足止めをしていたのもポイントだな。
それぞれがやるべきことを理解している戦い方だ。
連携も取れている。
これだからパーティーだと少し強いモンスター相手にも戦えるからソロよりもレベルアップの効率が良いんだよな。
俺みたいにステータスが上の相手に勝てなかったら、パーティーの方が安全に戦えるし。
だけど、これならよっぽどの事がない限り大丈夫だろう。
「やったね!莉奈!杏樹!」
「や、やったよ~私でも戦えたよ!」
「うん、勝った。莉奈も頑張った」
3人はハイタッチしながら勝利の喜びに浸っている。
こうして見ると微笑ましい光景だよなぁ……後ろにオークの死骸がなければ。
なんて思いつつ、いたずら心が働いてしまい、俺はこっそりと3人に気付かれないように近づいてから【隠密】スキルを解除する。
「お疲れさま。初戦としてはなかなか良かったぞ」
俺が姿を現すと3人はギョッとした顔をした後、一斉にこちらを見る。
まぁいきなり現れたらそりゃ驚くよな。それが狙いなんだけど。
「あ、天宮さん!?なんでここに?」
「いや、はじめに説明したじゃないか。近くには居るって」
「そ、そうだよ凛ちゃん。杏樹ちゃんも隠密スキルっていってたよ」
「うん。ちゃんといったよ?」
「あれ?そうだっけ?」
どうやら凛は覚えてなかったみたいだけど、二人はちゃんと覚えてくれてたみたいだな。
「さてと、戦闘の方だけど特に俺からいうことはないな。個人の判断もよかったし連携も問題なし。この調子で次からも頼む」
「はい!」
「が、がんばります!」
「はーい」
三人はそれぞれ返事をしてくれる。
それから、ダンジョン攻略を再開して、その後も何回かモンスターと遭遇したが、戦闘は順調で、ボス部屋まで順調に進んでいくのだった。
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