想定外の再会
レインボーバタフライ戦後。
シルフィとディーネと合流して、ボス部屋の中をしっかりと隠し部屋がないか調査させてもらった。
……まあ、なにもなかったんだけど。
これでこの鱗粉のダンジョンは完全に手がかりなしで、空振りに終わったわけだ。
……それでも、ボス部屋までたどり着けて確認できたから良しとするか。
レインボーバタフライの残す鱗粉はすべての状態異常を回復できる、万能薬として売れるからしっかり集めたし。
レベルアップもかねて結構レインボーバタフライは倒せたから、レインボーバタフライの鱗粉は結構な量になったな。
レベルも上がったし、鱗粉で金も稼げる。
情報はなかったけど、これはこれで成長できたってことでよしってことにしよう。
……MPポーションの消費量もばかにならないし。
とりあえず、明日からもしばらくレインボーバタフライを狩り続けてレベル上げをした方が良さそうだな。
レインボーバタフライを乱獲した次の日。
しっかりレベルも上がったし、レインボーバタフライの鱗粉もしっかり集まった。
ということで金稼ぎもかねて今日も鱗粉のダンジョンでレインボーバタフライの乱獲だ。
「……ん?」
レインボーバタフライを乱獲するために鱗粉のダンジョンへとやってきたのだが、なにか入り口辺りが騒がしい。
鱗粉のダンジョンはモンスターが状態異常を使ってくる事から、不人気なダンジョンらしいから結構珍しいんじゃないかな。
俺と同じように万能薬の素材確保のためにレインボーバタフライを倒しに来たのか?
「ん~……カエデさん、どうしましたか?」
内ポケットで眠っていたディーネが目を擦りながら聞いてくる。
シルフィ……? まだ内ポケットの中で夢の中だ。
……あの~? シルフィさん? よだれ垂らすのはやめてくれないかな?
「いや、なんかダンジョンの入り口が騒がしいなって思って」
「騒がしい? ……あ。本当ですね。人がたくさんいます……何かあったんでしょうか?」
「さあ?」
「ちょっと行ってみませんか?」
「まあ、行く分には良いけど」
「それじゃあ、早く行きましょう」
ディーネはそう言うと、俺の内ポケットから飛び出して俺の頭の上に乗る。
「なぜ頭の上に……まあ、良いか」
俺はディーネが頭の上に乗ったことを確認して、ダンジョンの入り口に集まっている人達の所に向かう。
……それにしても、この人だかりは一体なんだ……?
ダンジョンの入り口に近づいていくと、装備を整えていたり、物資の確認などをしている人達がいる。
うーん、やっぱり万能薬の素材目当てでレインボーバタフライ狩りかな?
アサシンバタフライやパウダーバタフライの鱗粉は、万能薬とまではいわないけど状態異常回復のポーションになるらしいけど、それは他のもっと簡単な素材でも代用できるし。
レベル上げも俺みたいに一方的に倒せるならまだしも、この鱗粉のダンジョンだとリスクの方が大きいしな。
「でも……前衛がやけに少ないな……?」
確かに、鱗粉のダンジョンだとモンスターが総じて飛んでいるから、前衛がいても攻撃手段が限られてくる。
だから、前衛はそこまで多くないのはわかる。わかるけど……
「そうですね。後衛の数に対して前衛が少なすぎる気がしますね……」
そう、ディーネの言った通り後衛に対して前衛の数が少なすぎる。
装備からして、後衛が五人に対して前衛が一人。
しかも装備もだが、後衛組に比べて、レベルが低すぎるように見える。
攻撃を捨てた、後衛が攻撃してる間の壁役だとしても、少しおかしいな……
「──楓さん!?」
少し考え込んでいたら、突然背後から誰かに名前を呼ばれたから振り返る。
「……え?」
振り返ると、そこには見覚えのあるある顔があった。
「やっぱり楓さんだ! 久しぶり♪」
「あ、ああ……久しぶりだね。えーっと……今はリーシェかな?」
俺を読んだ人物はなにかと縁のある、金髪の杖を持ったリーシェだった。
今は探索者としてここにいるみたいだから、本名の結愛ではなくリーシェと呼ばせてもらおう。
「ええ。外なんでそうしてもらえると嬉しいです♪
それにしてもすっごい久しぶりな気がしますね! なんか見たことない子もいるみたいですし……」
リーシェはそう言うと、俺の頭に乗っているディーネを見る。
ああ、そっか。リーシェはディーネ達を見たことなかったか。
「紹介するよ。俺の頭に乗っているのが水のフェアリーであるウンディーネ。
で、俺の内ポケットで寝てるこの子が風のフェアリーのシルフィードだよ。
どっちも俺のテイムモンスターだよ」
さすがにこの人が多い中、正直にディーネやシルフィのことについては話せないので、とりあえず言い訳に使っているテイムモンスターとして紹介する。
「へぇ~そうなんですね! え~っと、ウンディーネちゃんよろしくね♪」
「……」
ディーネにもいつもそのことについて言ってるからか、リーシェに挨拶されても俺の肩に移動してきて、できるだけリーシェの目線に近づいて頭を下げるだけで終わらせてくれた。
「それで? リーシェはなんでここに……? てか、そもそもリーシェはここにいるってことはシルバー資格を持ってるのか?」
シルバー資格。
それは探索者協会が定めた試験に合格することで、探索者としての知識、実力を認められた証。
最後にリーシェと会ったのは、俺が資格試験を受けた後だったけどあの時は持ってなかったよな?
「はい♪つい先日手に入れましたよ。
それで、わたし達がここにいる理由なんですけど──「リーシェさん?」ぴゃい!?」
「そろそろ出発することを伝えに来たんですけど……お久しぶりですね。天宮さん」
「ええ。お久しぶりです──篠宮さん」
突然、リーシェの後ろから声がかかり、リーシェは変な声を出して驚く。
そして、リーシェの後ろには見覚えのある、女性。篠宮さんが立っていた。
久々に新作を書きました。
「不運?な事故から始まるレベルアップ生活~夢の中で幽霊をぶん殴ったら現実なのにステータスがありました~」
になります!
ぜひ読んでください!




