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【書籍化1~2巻発売中!】必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~  作者: スクイッド


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アサシンバタフライ戦決着

 俺は、【透過捕捉】を使ってから森が生い茂り、アサシンバタフライの鱗粉せいで黄色く染まっている中ボス部屋を見渡す。

 この木ばかり生えている中ボス部屋で透明化しているアサシンバタフライを探すのは、本来ならかなり骨が折れる。

 だけど、俺の予想通りなら見つけられるはず……


「……見つけた。【鑑定】」


 そんな俺の予想通り、見る、探すという視覚が関係している行為にマイナスしかないこの環境でも、【透過捕捉】はしっかりと機能してアサシンバタフライを見付けることが出来た。

 アサシンバタフライは透明になっている……はずだ。

 正直普通に見えているから、本当にアサシンバタフライの透明化は機能しているのかはわからない。

 だけど、俺の目にはしっかりとアサシンバタフライが見えている。

 その結果で十分。

【鑑定】でアサシンバタフライのHPも確認できるようにしたし、これで問題はなにもない。


「オッケー。やることはやったから中ボス部屋から出るぞ~」


「はーい」


「あれ? 先ほど見つけたとおっしゃってましたよね……? 倒さなくて良いんですか?」


「良いのです」


「あーそっか~虎山のダンジョンでこの方法をやってなかったからディーネはまだ知らなかったもんね。

 大丈夫だよ、カエデの言う通り今は中ボス部屋から出るよ~」


「は、はぁ……」


 シルフィのその言葉に一応納得したのかディーネは少し釈然としないような表情をしながら近づいて開いた扉から、中ボス部屋をでる。

 うんうん。それで良い。


「あ、忘れてた。【魔法矢】……シッ!」


 危ない危ない忘れるところだった。

 ダメージを与えないと中ボス部屋の外に出ても、回復するために扉を閉めないからな。

 ちゃんと忘れずダメージは与えていこう。

 シルフィとディーネが中ボス部屋から出たのを確認してから、【魔法矢】で透明な矢を作り出す。

 そして、作り出した透明な矢を龍樹の弓につがえて、悠長に飛んでいるアサシンバタフライに向けて射ち出す。

 しばらく扉近くで待機してたら、【鑑定】で確認したアサシンバタフライのHPが1030減ったことが確認できた。

 これでよしっと。

 HPがちゃんと減ったことは確認できたので、扉の方に歩きだして俺も中ボス部屋を出る。


「あ、扉が……」


 ディーネが呟いたように、中ボス部屋の扉は俺が出てきたら、また完全に閉められた。

 ディーネは少ししょんぼりしたような表情で扉を見ているが、まあ……うん。

 今はしょうがないよ。


「……よし! じゃあいつも通りシルフィとディーネは待機。俺はもうちょっと試したいことがあるからささっとアサシンバタフライを倒して来ちゃうわ」


「えっと……一人でですか?」


「うん、そうだけど?」


「でしたら私も一緒に……!」


「あーディーネ? カエデは大丈夫だからちょっと待ってよーね~カエデが怪我するわけないから、あたし達は大人しく待ってよー?」


「え、でも……」


「大丈夫大丈夫。ほら、あたし達はここで待機!」


「わ、シルフィ引っ張らないでください! わかりましたから!」


 シルフィがディーネをなだめながら、部屋の隅の方に移動する。

 俺が説明しなくても良いっぽいし、大変ありがたい。


「……さてと、アサシンバタフライのHPが回復する前にさっさと倒すか」


【鑑定】で確認したアサシンバタフライのHPは96000。

 それに対して、部屋を出る前に俺が射ち放った【魔法矢】のダメージが1030。

 それを考えると、単純計算でアサシンバタフライを倒しきるには……【魔法矢】が九十四回かな?

 今のアサシンバタフライのHPは【魔法矢】一回分減っているから九十三回分でいいだろうけど、念のために九十四回分で……


「【魔法矢・全弾発射】! シッ!」


【魔法矢】の使用MP15×94で1410使って、【魔法矢・全弾発射】を使用して矢を作り出し、そのまま弓につがえて射ち放った。

 計算だと、これで倒せるけど……


『レベルが15上がりました』


「っと。倒せたか」


 レベルが上がったシステム音が聞こえてきたのと同時に、閉まりきっていた中ボスの部屋の扉がゆっくりと開かれる。

 問題なく倒せたようでよかったよかった。


「カエデ~」


「カエデさん」


「ん?」


 中ボス部屋の扉が開け放たれてすぐに、シルフィとディーネが俺のところまでやって来た。


「ちゃんと倒せたみたいだね!」


「ああ。問題なしだ」


「よーし! じゃあさっさとこの部屋のことを調べながら魔石とか取りに行こー!」


「とりあえず……突っ込みたいところが色々とあるんですけど、お疲れ様ですカエデさん」


「うん、ありがとう。……その突っ込みたいところっていうのは胸にしまっておいてくれると……説明はまた後でするから」


「はぁ……まあ、元々そんなにしつこく聞く気は無かったですし、いいですけど」


 シルフィは元気よく、ディーネは俺を労いながらそう言ってくる。

 特にディーネに関しては後回しにしてくれて大変ありがたい。

 説明するとなると、余裕でアサシンバタフライのリポップ時間がくるからな。

 とりあえず、倒したアサシンバタフライの回収だ。

 中ボス部屋は早めにアサシンバタフライを倒したからか、想像よりも鱗粉も舞ってないし。


「じゃあ俺はアサシンバタフライを回収してくるから、シルフィはその間にこの部屋を調べておいてくれ。ディーネは襲われることはないとは思うけど、シルフィの護衛を頼む」


「うん、わかった」


「はい。お気を付けて」


 返事を聞いた俺は中ボス部屋に入り、アサシンバタフライが倒れているはずの場所まで歩く。

 さて……とりあえず、【透過捕捉】でも【魔法矢】を使って扉越しにボスを倒せることは確認できた。

 ここまではいつも通りの【捕捉】の新しい能力として確認できたけど、もうちょっと確認したいこともあるし……


「ここからが本番だな」


 俺はそう言いながら、中ボス部屋の中心で倒れているアサシンバタフライを【インベントリ】に回収する。

 そして、シルフィが出しているであろう風を肌に感じながら、中ボス部屋をでてシルフィ達のもとに向かう。

 さて……なにか手がかりの一つでもあれば良いけど。

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