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【書籍化1~2巻発売中!】必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~  作者: スクイッド


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中ボス、アサシンバタフライ

 その後、シルフィの探索兼索敵と俺の【透過捕捉】、ディーネの回復のお陰で鱗粉のダンジョンを順調に探索することができた。

 シルフィの探索兼索敵で周囲の探索をしながらパウダーバタフライを探し、俺が報告を受けて【透過捕捉】を使って一方的に倒す。

 そして、時たま俺以外からは見えない木の裏から不意打ちでパウダーバタフライの主な攻撃手段である羽を強くはばたかせることで起こすカマイタチをディーネに防いでもらいながら進んでいく。

 これでノーダメージ! 何て素晴らしい響きだろう!

 さすがにこれまで通りだったら、ここまでうまくは行かなかっただろう。

 直撃とまでは言わなくても、かすり傷ぐらいは負ってたかも。


「……まあ、ここまでなんの成果もないんだけどね」


 俺は目の前にある開かれた扉を前にそう呟く。

 まあ、ノーダメージでここまで来れたのは良いんだけどさ……いや、本当に良かったと思う。

 欲を言えばなにかシルフィ達の仲間の手がかりぐらいは欲しかったけど。


「そうですね……」


「やっぱりディーネがいた時みたいにボスの部屋? みたいなところしかないのかなぁ~……」


「いや、シルフィを見つけた時はボス部屋でもなんでもなかったからそれはないかな~」


「あ~そうだったねぇ……」


「ですけど虎山のダンジョンに続いてここでもなにもないなんて……。二人ともわたしを助けていただいた時もこんな感じだったんですか?」


 ディーネが少し疲れたような表情を浮かばせながら俺達にそう聞いてくる。


「「うん」」


 それに対して、俺とシルフィは声を揃えてそう答える。

 マジでボス部屋までなにもなかったからな。


「そ、即答ですね……」


「まあね。だけど、シルフィと一緒に探索し始めて一つ目のダンジョンでディーネを見つけられたからまだ良かったかなぁ」


「本当だよ。あそこでディーネを見つけられてなかったら成果がなにもなかったもんね~」


 まあ、今も成果無しの状況になりかけなんだけどね!


「ま、とりあえずこの中ボスの部屋になにか手がかりがあることを祈るよ」


 今俺達がいるのは二十階層の中ボス部屋前。

 ここまでなにもなかったんだ。中ボス部屋ぐらいはなにか手がかりぐらいはあってくれよ……!


「よし! それじゃあ行ってみようか!」


「うん!」


「はい!」


 そう言って俺達は扉をくぐって中ボス部屋の中に入る。

 中ボス部屋に入ると、もう何度も何度も聞いた扉が閉まる音が背後から聞こえてきて、最終的には完全に閉じきった音がした。

 そして、その間にもしっかりと俺は中ボス部屋の様子を視界に映す。

 中ボス部屋は一言で言うなら、"森"だ。

 地面から生えている木は種類に統一性はなく、壁はあって一定の広さに押さえられてる。

 だけど、ちゃんと天井は高くされて偽物の太陽を使って光源は確保されていた。

 これまでに探索してきた鱗粉のダンジョンの各階層とほぼ同じ作り。

 そして、そこにしっかりと紛れる中ボス。


「うわ~。ここもパッと見ただけじゃどこにモンスターがいるかわからないね~」


「そうですね……ここは視界が悪くてモンスターがどこにいるかわからないです……」


「ん? ああ、そこは心配しなくて良いよ」


 もともとまともに探す気は無いし。


「えー? あ! あたしがまた風を使って探すの?」


「はい、違いまーす」


 シルフィが元気に手を上げて聞いてくるが、そのシルフィの案は違う。


「え~! 違うの~!?」


「違うな~」


「……もしかして、先程から使っていたカエデさんの【透過捕捉】? を使うのでしょうか?」


「お、ディーネ正解」


 この鱗粉のダンジョンの中ボスはアサシンバタフライという、パウダーバタフライを大きくして全身が黒色に染まったようなモンスターだ。

 パウダーバタフライと同じく、様々な状態異常を引き起こす鱗粉をばらまきながら動く。

 ただ、当然ながらパウダーバタフライと完全に同じというわけではない。

 そんなパウダーバタフライと違う点は……透明になること。

 それだけ? と思うかも知れないけど、この透明になるとになるとは本当に厄介なのだ。

 俺の【魔法矢】もそうだけど、透明になるっていうのはそれだけで強い。

 見えないってことがどれだけ驚異になるかは俺が一番よくわかっているつもりだ。

 そんな透明になるアサシンバタフライが、この森のフィールドで透明になって襲い掛かってくれば……面倒この上ない。

 まあ、普通だったらだが。


「そんな感じの理由からこの空間では【透過捕捉】がどれだけ使えるのかを試してみようかと思ってな」


「なるほどね~」


「なるほどです」


「それに、このボス部屋とアサシンバタフライの性質上、長時間この部屋にいるのも危ないからな。さっさと終わらせよう」


 パウダーバタフライと同じように、アサシンバタフライも鱗粉をばらまく。

 しかも、これまでの開けたような階層でではなくボス部屋という密閉された空間でかつ、鱗粉をばらまくのがアサシンバタフライの巨体でだ。

 それはもうすぐに部屋一帯がアサシンバタフライのばらまく鱗粉で一杯になる。

 PouTubeの動画で実際に見たけど、あれはもう本当にすごかった。

 動画の画角に入るところ入るところ、すべてがばらまかれた鱗粉の黄色に染まってしまっていて、どこを見ても鱗粉まみれだったし。

 出来ればあの状態になる前に倒したいところだな……


「それじゃあ始めるぞ~あ、難しいかもしれないけど息をする回数はなるべく減らしてくれよ」


 なんだかんだ話をしている間に結構鱗粉をばらまかれたみたいで、視界がだいぶ黄色く染まっているし。


「りょーか~い」


「わかりました」


「うん、ありがとう。……よし。それじゃあ始めていこうか。【透過捕捉】」

本日、8月30日に本作、「必中のダンジョン探索~必中なので安全圏からペチペチ矢を射ってレベルアップ~」の第一巻が発売となります!

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― 新着の感想 ―
面白いです、良い物語をありがとうございます。 今後、精霊ハーレムになるのかな?
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